医療問題

子育てと当直

 私が20年以上前に…
 勤務していた病院でのことです。
 一人で子育てをしていらした…
 女性の先生がいらっしゃいました。
 小さな子どもさんが一人いました。
 両親に頼らずに…
 一人でがんばっていらっしゃいました。
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 その病院には当直がありました。
 小さな子どもさんがいるという理由で、
 当直免除にはなりませんでした。
 院内保育施設もありませんでした。
 当時、多くの女医さんが利用していたのは、
 無認可の保育所や…
 ベビーシッターでした。
 夜遅くまで預ってくれる、
 認可保育所はありません。
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 女医さんたちがよく言っていた言葉です。
 保育料が高くて…
 何のために働いているのかわからないゎ。
 当直が当たると…
 完全に赤字ょ
 今はどうかわかりませんが、
 女性医師が就業したくても…
 子育てと当直はなかなか両立しません。
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 一人で子育てをしていた女医さんは、
 子どもさんを連れて、
 当直室でいっしょに泊まっていたこともありました。
 ベビーシッターの手配がつかなかったのでしょうか?
 幸い、
 夜間に急患が来るような病院ではなかったので、
 子連れ当直でも…
 何とかなったのだと思います。
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 20年以上たってから…
 たまたま成人した子どもさんに会う機会がありました。
 たくましい青年に成長しており、
 一瞬、昔、当直室に泊まった子とはわかりませんでした。
 『お母さんは苦労して僕を育ててくれた』と…
 その子は話してくれました。
 さすがに当直室に‘お泊り’したことは…
 覚えていないようでした。
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 とても優しい青年になっていました。
 私はその苦労された先生の顔と…
 たくましく育った青年を見比べて…
 『大変だったけど…』
 『こんなに立派に成長されて…』
 『よかったですね』
 と心の中でつぶやきました。

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