医療問題
子育てと当直
私が20年以上前に…
勤務していた病院でのことです。
一人で子育てをしていらした…
女性の先生がいらっしゃいました。
小さな子どもさんが一人いました。
両親に頼らずに…
一人でがんばっていらっしゃいました。
■ ■
その病院には当直がありました。
小さな子どもさんがいるという理由で、
当直免除にはなりませんでした。
院内保育施設もありませんでした。
当時、多くの女医さんが利用していたのは、
無認可の保育所や…
ベビーシッターでした。
夜遅くまで預ってくれる、
認可保育所はありません。
■ ■
女医さんたちがよく言っていた言葉です。
保育料が高くて…
何のために働いているのかわからないゎ。
当直が当たると…
完全に赤字ょ
今はどうかわかりませんが、
女性医師が就業したくても…
子育てと当直はなかなか両立しません。
■ ■
一人で子育てをしていた女医さんは、
子どもさんを連れて、
当直室でいっしょに泊まっていたこともありました。
ベビーシッターの手配がつかなかったのでしょうか?
幸い、
夜間に急患が来るような病院ではなかったので、
子連れ当直でも…
何とかなったのだと思います。
■ ■
20年以上たってから…
たまたま成人した子どもさんに会う機会がありました。
たくましい青年に成長しており、
一瞬、昔、当直室に泊まった子とはわかりませんでした。
『お母さんは苦労して僕を育ててくれた』と…
その子は話してくれました。
さすがに当直室に‘お泊り’したことは…
覚えていないようでした。
■ ■
とても優しい青年になっていました。
私はその苦労された先生の顔と…
たくましく育った青年を見比べて…
『大変だったけど…』
『こんなに立派に成長されて…』
『よかったですね』
と心の中でつぶやきました。