医学講座

形成外科医としての強み

 神戸大が美容外科開設
 という院長日記を2007年9月28日に書きました。
 その一部を引用します。
 大学病院で美容外科を担当する‘先生’はどこで美容外科を習得するのでしょうか?
 大部分の‘先生’は、民間で開業している美容外科や形成外科へ行って、美容外科手術を習得します。
 形成外科医は眼瞼下垂症手術などは得意ですから、手術のアルバイトに行って、ついでに他の手術も覚えることもあります。
 国立大学では、おおっぴらにアルバイトに行くことは禁止されていますから、土日の休みなどを利用することもあります(厳密に言うと土日でもバイトは禁止ですが…)。
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 大学病院で美容外科診療をしようとすると、料金も大学の規則で決めなくてはいけません。
 市立病院や公立病院では、条例で料金を決めなくてはならない場合もあります。
 美容外科で普通に使っている、厚労省が認めていないコラーゲンやヒアルロン酸も使えません。
 手術を決めて、麻酔科に麻酔を依頼すると、自由診療だからと麻酔科から断られることもあります。
 さまざまな制約を受けるのが大学病院の美容外科です。
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 ただ、全国的に見ると、国立大学でも形成外科を形成外科・美容外科とするところは増えています。
 医学部の学生が美容外科手術を見学したいと願っても、なかなか実現しません。普通の美容外科でしたらまず断られます。
 医学部の教育の中で、美容外科が一般化するには、形成外科が普及した以上に時間がかかると思います。
 日本の医学部・医科大学の中には、形成外科すらない医育機関がまだかなりあります。       ■         ■
 形成外科医には、
 褥瘡(じょくそう)やフットケア(足のきず)など、
 キズの処置が得意な先生と、
 美容外科手術など、
 細かい手術を得意とする先生がいます。
 私は美容外科学会の会員ですが、
 フットケア学会には入っていません。
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 形成外科医は、
 創傷治癒という、
 キズの治りに関する知識が豊富です。
 頭蓋顎顔面外科という、
 顔の骨を切る手術を得意としていると、
 美容外科でも骨を切るのが得意になります。
 (私は骨を切る手術はしていませんが…)
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 形成外科から美容外科を志し、
 転向しようとした時に、
 形成外科の知識は役に立ちます。
 美容外科しか知らない先生との…
 一番の違いは、
 キズがトラブルになった時の対処です。
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 キズを治すプロである形成外科医は、
 美容外科手術でトラブルになったキズを治せます。
 手術後に…
 もし万一トラブルになったとします。
 二重埋没法と…
 ヒアルロン酸やボトックス注射、
 包茎手術しか知らない先生は、
 トラブルに対処できません。
 形成外科でキズの処置をしていると…
 どうしたら治せるか?
 わかるようになります。
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 また、ふつうの美容外科では、
 手術用顕微鏡は使いません。
 私のように、
 マイクロサージャリーに慣れた形成外科医は、
 たとえ老眼になっても、
 顕微鏡という強い武器があります。
 細かさとキレイさでは、 
 若い先生の肉眼に勝てます。
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 世の中には、
 どんなにわがままな望みでも、
 はい承知いたしました
 手術をいたします
 と聞いてくれるのが美容外科だと…
 勘違いされている人がいます。
 美容外科でもできない手術はあります。
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 美容外科で手術をしてもキズは残ります。
 できない手術はできません。
 技術力だけでは解決できないこともあります。
 どこまでやっても大丈夫で、
 これ以上やると危険だというのは、
 いろいろなトラブルを見たことがある、
 形成外科医の方がよく知っています。
 また形成外科専門医でも、
 医療事故は起こします。
 形成外科出身だからと安心もできません。
 難しいところです。

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