院長の休日
福島第一原発、吉田昌郎(まさお)さんの死を悼む
平成25年7月11日、朝日新聞、天声人語です。
美談調や英雄視は、だれよりも本人が迷惑だろう。ただ、背負わされた責任とストレスはいかばかりだったかと思う。人間の創りだしたものが人間を呑(の)み込もうとする修羅場で陣頭指揮をとった。文字どおり「最後の砦(とりで)」だった。
▼おととい亡くなった福島第一原発の事故発生時の所長、吉田昌郎(まさお)さんに重なる故人がいる。28年前の夏に墜落した日航ジャンボ機の機長、高浜雅己さんである。背景も状況も異なるが、ともに制御不能となってのたうつ巨体と必死に格闘を続けた。
▼日航機は、垂直尾翼が壊れたという致命的な出来事を知り得ぬままだった。「これはだめかもわからんね」という機長の声をボイスレコーダーは拾っている。福島原発も内部の様子は分からない。「これで終わりか」と吉田さんは思った。
▼そういえばジャンボも、あの事故まで安全神話に包まれていた。まことしやかな神話が崩壊するたびに、文明の墓場のような光景が繰り広げられる。技術者として人間として、吉田さんにはもっと色々語ってほしかった。
▼本社命令に逆らって海水注入を続けなければ、結果はさらに悲惨だったかも知れない。「あの人だから団結できた」という現場の声も聞く。それでも福島の被害は、かくも甚大である。
▼折しも訃報(ふほう)の前日、電力4社は原発10基の再稼働を申請した。しかし緊急時の作業者の被曝(ひばく)限度などは、具体的な検討が進んでもいない。ご冥福を祈りつつ思う。「身を挺(てい)しても」の気概頼みで原発を操ってはならない。
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58歳の死は早すぎます。
私と同い年です。
心からご冥福をお祈りいたします。
医学的な根拠はありません。
強いストレスにさらされた人は、
長生きできないように思います。
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TVや新聞で見た吉田所長は、
ほんとうによくやってくださったと思います。
一人の人間として、
吉田昌郎さんに、
心からお礼を申し上げたいです。
私たちを救ってくださって、
ありがとうございました。
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天声人語に書かれていた、
日航ジャンボ機の機長、
高浜雅己さんのことは…
すっかり忘れていました。
これはだめかもわからんね…
…という状況で最後まで操縦杆を離さなかったと思います。
人の生死にかかわる職業人のすごさです。
お二人のご冥福をお祈りしています。