院長の休日
桜木紫乃さん直木賞
桜木紫乃さん直木賞受賞おめでとうございます。
TVで受賞記者会見を見ました。
ホテル屋の娘に生まれて良かった。
子供たちに、頑張って続けていけば必ず何かになるよと、
言葉ではないところで伝えられたのがうれしい。
…という言葉がとても印象的でした。
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平成25年7月19日、北海道新聞朝刊の社説です。
桜木紫乃さん
道東の風土が紡ぐ物語
釧路市出身の作家桜木紫乃さん(48)の短編集「ホテルローヤル」が第149回直木賞に道ばれた。
道内出身の在住者としては、藤堂志津子さん、佐々木嬢さんに次いで3人目である。
江別市に住み、候補になって2回目で栄誉をつかんだ。受賞を心から喜びたい。
郷里に深い愛着を持ち、作品のほとんどが道東に着想を得ている。
受賞作もまた釧路郊外のラブホテルで展開される。客や経営者の家族、従業員らのさまざまな人生模様を描いた。
「日本人に多くいるであろう人々の喜びと悲しみ、生き方が表現されている」と講評された。
小説の舞台は、実家が経営していたホテルだ。桜木さん自身、15歳のころからベッドメークや風呂掃除を手伝った。「『あの家の娘だから』と言われるのが嫌で校則を破らず、恋愛もしなかった」と心情を語る。
そうした日々の葛藤もまた作風に反映されたに違いない。
桜木さんに作家になる夢が芽生えたのは、中学時代だった。
同郷の作家、故原田康子さんの「挽歌(ばんか)」を読み、住み慣れた自分のまちが作家の目を道すと全く違って見えることに感銘を受けた。
裁判所の職員を務めた後、結婚して2人の子どもをもうけ、文筆活動は一時、中断した。
30代になって再び創作意欲がよみがえり、釧路の同人誌「北海文学」に参加して詩を発表し始めた。
桜木さんを作家として世に出したのは、主宰者の故鳥居省三さんだった。「小説を書いてみないか」と勧められて出した作品が、同人たちを驚かせる出来栄えだった。
その後、オール読物新入賞をはじめ、多くの文学賞を獲得してきた。
「北海文学」からは、やはり鳥居さんの後押しで、原田さんが全国に名を知られる作家になった。これも不思議な因縁だ。
釧路から2人の女性作家を輩出したのは、逸材を見抜く眼力を待った地元の評論家の存在が大きかった。
かつての勢いこそないが、同人誌の存在意義は失われていない。桜木さんの受賞が地域の文芸活動の活性化につながることを期待したい。
全国各地の文学賞も、その役割の一端を担っている。財政難から廃止が相次いでいるが、地方文化の担い手の登竜門として、地域ぐるみで守っていってほしい。
厳しい自然やアイヌ文化、開拓や産業の盛衰と寄り添い、生きてきた道民には、他の地方にはない独特の感性があるのではないか。
それを土台に、新たな物語を紡ぎ出す作家が続くことを望みたい。
(以上、北海道新聞より引用)
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とても素敵な女性です。
とても頭の良い方だと思います。
ホテルローヤルは出版元の集英社でも欠品中です。
私はラッキーなことに…
昨日の休診日に購入できました。
研修生の店員さんがPCで在庫を調べてくださいました。
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本を読むのは久しぶりでした。
四月、路肩の緑が芽吹き始めた。一か月先は枯れ葦(あし)のベージュに半分追いつくだろう。霧に湿った銀ねず色の街に、遅い桜も咲き始める。
30年前に住んだ釧路の風景が浮かびました。
桜木さんの作品ははじめて読みました。
きっと2冊目3冊目も買うと思います。
北海道から素晴らしい作家が受賞できたことを、
心から喜んでいます。
これからのご活躍を期待しています。