医学講座
電気メスの使い方講座⑤
電気メスの使い方講座最終回です。
電気メスの使い方、
とても大切な項目です。
残念なことですが…
医学部で教えることはありません。
どうやったら…
腫れが少なく皮下出血も少なくできるか?
世界中の美容外科医が苦労しています。
■ ■
私が丁寧な止血を確立したのは…
美容外科の教えではありません。
自分で苦労して習得しました。
きっかけは…
ラットを使った動物実験でした。
私の研究テーマは微小血管でした。
データー捏造(ねつぞう)はできません。
■ ■
大浦武彦先生から、
世界一きれい
『今までこんなキレイな微小血管造影は見たことがない』
…ととお褒めの言葉をいただいた結果です。
この血管造影、
ちょっとでも出血すると…
写真全体が真っ黒になってしまいます。
丁寧にていねいにしないと撮れません。
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簡単なようで難しいのが止血です。
私はラットの細い血管と格闘しながら、
上手に止血するコツとポイントを見つけました。
詳細は企業秘密です。
死ぬまでに誰かに伝えます。
私の研究はノーベル賞をもらえるような研究ではありません。
最先端の分子生物学とも無縁です。
でも臨床に役立っています。
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最近、若い形成外科医の研究が、
インパクトファクターの高い、
分子生物学的な研究にかたよっている気がします。
私のように…
仕事が終わった夜遅くに…
解剖学教室の暗い部屋で、
たくさんのご遺体と対面して、
血管を地道に調べる研究も大切だと思います。
最後は電気メスとは直接関係のないことですが、
要は血管を見つけて地道に丁寧に止血することが、
腫れと皮下出血が少ない手術につながります。
私が撮影した血管の写真です。
ラット(ネズミ)の皮膚です。