医学講座
第20回日本熱傷学会北海道地方会③
第20回日本熱傷学会北海道地方会で印象に残った発表です。
4.植皮術を必要としたアルカリ損傷の2例
○三浦隆洋、七戸龍司、堀内勝己、川嶋邦裕、吉田哲憲(市立札幌病院形成外科)
古川洋志、前田 拓(北海道大学形成外科)
化学損傷は、組織内に浸透した化学物質が、完全に中和あるいは除去されるまで組織障害が続くため、通常の熱傷と比較して進行性であり深達性損傷となりやすい。
特に水酸化化合物の強アルカリは組織障害が強い。
今回、我々は植皮術を必要とした強アルカリによる化学損傷2例を経験したので報告する。
症例1は59歳男性。仕事中に水酸化カリウムが両足および右手にかかり受傷した。2週間後に当科を紹介となり、潰瘍となった左足に対しデブリードマンを行い1週後に分層植皮術を施行した。
症例2は51歳男性。水酸化ナトリウムで自宅台所の排水管清掃を行っていた際に右手背から前腕にかけて受傷した。一部黒色壊死を起こしており,翌日当科を紹介され,10日後にデブリードマンおよび分肩植皮術を施行した。
■ ■
三浦先生は若い先生なのに、
発表がとてもよかったです。
内容も申し分なかった上に、
パワーポイントの使い方が上手でした。
センスの良さを感じました。
学生時代から上手だったそうです。
■ ■
アルカリ損傷は怖いです。
私には痛恨の誤診経験があります。
北海道で起こった事故で、
複数の救命救急センターが治療しました。
ドクターヘリで搬送して、
東京のスキンバンクからも、
皮膚をいただきました。
残念なことに…
どの施設でも救命できませんでした。
■ ■
狭い範囲のアルカリ損傷も怖いです。
三浦先生のご発表のように、
深くなって植皮術を要することがあります。
アルカリは身近にあります。
配管洗浄用の洗浄剤、
表示を良く読んでください。
強アルカリは怖いです。
■ ■
三浦先生のご発表によると、
受傷直後に、
できるだけ長時間流水で洗浄することが、
アルカリ損傷を深くしないコツです。
どんな薬剤を
どの程度の濃度で
どの位の時間接触したか?
できるだけ正確に伝えてください。
アルカリ損傷は深くなります。
注意してください。