医療問題
平成26年度診療報酬改定の影響②
保険医療制度はよく変わります。
私が医師になった30年前とは大違いです。
一番変わったのは…
DPC(でぃーぴーしー)と呼ばれる料金体系です。
Diagnosis Procedure Combination
診断群分類包括評価
わけがわからない名前です。
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2003年4月から全国82の特定機能病院などではじまりました。
平成15年4月です。
今では全一般病床の半数以上が、
このDPCという制度です。
何が違うか…?
ホテルの冷蔵庫を想像してください。
ホテルの冷蔵庫です。
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昔はビジネスホテルの冷蔵庫にも、
ビールやジュースが入っていました。
お客さんは…
ちょっと割高でも…
部屋のビールを飲みたければ飲めました。
飲んだ分のビールはチェックアウト時に精算です。
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高いビールを飲みたくない人は、
自分で買って冷蔵庫で冷やして飲みました。
私は高いビールは絶対に飲まない人間です。
会社の経費で飲める人は、
どんどん追加でビールを注文できます。
遠慮して飲まない人もいます。
良識が問われるところです。
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昔の病院は、
飲んだビール料金を全部患者さんに請求できました。
ビールを出す出さないはお医者さんの判断です。
良識のないお医者さんは、
ビールが飲めない人にも、
じゃんじゃんビールを出して…
病院の売上を増やしました。
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入院して…
不必要な検査や投薬が増える原因でした。
そこで厚生労働省は考えました。
冷蔵庫のビールを止めたのです。
一泊4,980円のホテル。
冷蔵庫にビールはありません。
ビールで売上を伸ばそうにも、
お医者さんはビールを出すと…
自腹を切らなければならなくなりました。
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たとえば…
虫垂炎(もうちょう)で入院し手術をしたとします。
包括評価診療料という料金で計算されます。
盲腸の手術で…
どんなに高い点滴をしても、
どんな手術をしても、
同じ料金になりました。
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同じ料金なら…
病院は少しでも経費をかけずに手術をします。
手術前の検査も、
30年前は入院してからも検査をしました。
今はほぼ全例、
外来で採血や心電図など術前検査をします。
病院が損をするからです。
平成26年度診療報酬改定では、
このDPCが増えました。