医学講座
多汗症治療の難しさ2014
札幌美容形成外科には、
多汗症で悩む患者さんがたくさん来院されます。
看護師さんも、
お医者さんも、
薬剤師さんも来院されます。
医療関係者に選んでいただけるのは、
大変名誉なことでうれしいことです。
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札幌美容形成外科を開業するまで、
ワキガも多汗症も、
同じ手術で改善すると思っていました。
文献を読んでも、
教科書を読んでも、
わきがと腋窩多汗症は、
同じ手術法が書いてあります。
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脇の皮膚を切開して、
汗腺や毛根を切除すれば、
臭いも汗も少なくなると思っていました。
開業して10年になります。
ワキガと腋窩多汗症は、
別の病態だと考えています。
ワキガを手術で治しても、
手術後数ヵ月で、
ある程度の汗は出るようになります。
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その出てきた汗の臭いで、
ワキガの再発だと言われたこともあります。
腋臭症手術は皮膚の裏側から、
汗腺や毛根を切除する手術です。
ワキガ独特のにおいはほぼなくなります。
手術直後は、
脇に触っても感覚がにぶいです。
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でも、軟膏をつけてマッサージをして、
皮膚がしだいに柔らかくなってくると、
感覚が戻ってきます。
神経が再生してくるからです。
神経や血管は、
切られても植物の芽のように、
再生してきます。
神経や血管がないと困るからです。
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汗腺や毛根はしっかり取ると再生しません。
神経が戻ってきて、
脇の皮膚の感覚が戻ってくると、
エクリン汗腺という汗腺へも神経が届きます。
エクリン汗腺は皮膚の浅い層にあります。
どんなに丁寧に手術をしても、
完全に取り除くことはできません。
このエクリン汗腺からの発汗が腋窩多汗症です。
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先日、脇汗ボトックスで来院された患者さんは、
昔、稲葉クリニックで手術を受けていらっしゃいました。
多少の傷はありましたが、
アポクリン腺も毛根もありませんでした。
ワキガの臭いもしませんでした。
でも多汗症がありました。
稲葉法で皮膚を薄くする手術をしても、
エクリン汗腺までは取り除けません。
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ここ何年か、
米国製のわきが治療機が日本で流行しています。
高価な治療です。
その機器が効果的だと宣伝しているクリニックがあります。
札幌美容形成外科では導入していません。
残念なことですが、
その高価な機器で35万円も払ったのに、
半年したら多汗になったという患者さんも来院されました。
多汗症の治療は難しいと思います。