二重・眼瞼下垂
眼瞼下垂症【固定に使う糸が切れる?】
毎日たくさんのメール相談をいただきます。
ネットで【検索】して、
不安になる人もいるようです。
ネットには、
正しいことも書いてあれば、
いい加減なことも書いてあります。
うそ八百どころか、
全面うそだらけのHPもあります。
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目の手術にも糸を使います。
よくある誤解が、
糸が切れるです。
糸が切れて埋没法が取れた
糸が切れて二重が戻った
なんちゃって美容外科医がした手術でも、
糸が切れることはまれです。
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医療承認を受けて製造販売されている糸は、
簡単に切れることはありません。
医療用ナイロン糸が無かった時代には、
透明な釣り糸で二重を作りました。
釣り糸で、
♡絶世の美女♡になった女性もいます。
釣り糸だって、
簡単に切れるのは売っていません。
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創の縫合に使う糸も、
二重埋没法に使う糸も、
眼瞼下垂症手術で固定に使う糸も、
簡単に切れることはありません。
二重が元に戻ったり、
眼瞼下垂が再発するのは、
糸が切れるからではありません。
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眼瞼下垂の再発③に書いたように、
まぶたには、
眼輪筋(がんりんきん)という…
目を閉じるための筋肉があります。
薄い筋肉です。
お腹や胸には、
皮膚の下に脂肪層がありますが、
まぶたは皮膚の下がいきなり筋肉です。
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眼瞼下垂の原因になる筋肉は、
眼瞼挙筋(がんけんきょきん)です。
まぶたの奥深いところにあります。
眼瞼挙筋は…
眼輪筋よりも薄い筋肉です。
筋肉というより…
膜(まく)のように見えます。
実際に縫って固定するのは、
筋肉についている筋膜きんまくです。
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手足の筋肉がケンタッキーなら、
眼瞼挙筋はぎょうざの皮です。
私たちは、
穴が開いたぎょうざの皮を、
髪の毛みたいに細い糸で、
丁寧に縫合します。
丸いぎょうざの皮が、
変形しないように…
左右対称になるように縫います。
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まぶたを縫う糸は、
形成外科では一番細い糸を使います。
眼瞼挙筋を縫う糸も、
細い糸を使います。
ごろごろしないためです。
ぎょうざの皮を縫ってあげると、
自分の血液が糊のりになって、
糸で縫った部分以外もくっついてきます。
ぎょうざを焼くと固くなるのと同じです。
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眼瞼下垂症が再発するのは、
どんなに丁寧に治しても…
細い糸で縫ってあり、
もともと弱いぎょうざの皮です。
持って帰るときに、
上に重いものをのせるとぎょうざは変形します。
眼瞼の組織も無理をするとこわれます。
目をこすったりすると
眼瞼下垂症が再発する原因になります。
自分ではこすっていないつもりでも、
夜寝ている時に痒くてこすることがあります。
糸が切れなくても再発するのは、
この機械的な力のためです。