医学講座
B型肝炎ワクチン2016
平成28年7月27日、朝日新聞朝刊、北海道版の記事です。
(けんこう処方箋)予防接種、赤ちゃんは忙しい 高橋豊 /北海道
2016年10月1日からB型肝炎ワクチンの定期接種が開始される。対象は今年4月以降に生まれた新生児で、生後2カ月、3カ月、7〜8カ月の3回接種される。
B型肝炎ウイルスは、免疫機能が未熟な乳幼児は持続感染になることが多く(慢性化、キャリア化)、肝硬変や肝臓がんの原因になる。我が国の肝臓がん死亡患者は年約3万人。25〜30%がB型肝炎ウイルスが関係するとされており、このワクチンはがん予防ワクチンともいえる。
感染経路はウイルスを持った母親から分娩(ぶんべん)の時にうつる「垂直感染」、父親や家族から唾液(だえき)、汗、涙などを介してうつる「水平感染」、ウイルスに汚染された血液の輸血や性行為などがあり、新規感染者は年1万人とされる。
またこのウイルスは、治ったと思われている人でも肝臓内に永久に残り、がんなどで免疫を抑える治療をすると再度活性化して、重篤な肝炎を引き起こすこともわかってきた。さらに近年、欧米から新しい遺伝子型が性感染症として持ち込まれ、新規感染者の約半数はこの型となった。この遺伝子型の感染は成人でも持続感染になる割合が高く、大きな問題となっている。
我が国では、1980年代に世界に先駆けて垂直感染予防に取り組んだ。しかし、この方法ではB型肝炎の撲滅はできないことが早い段階から明らかになり、国際保健機構(WHO)は1992年に、すべての小児にワクチン接種をする「ユニバーサルワクチネーション」を勧告していた。
2013年の時点で既に加盟国の約93%がこの勧告に従っていたことから、今回の定期接種化は遅きに失した感はあるが、実現したことは素直に喜ぶべきであろう。
我が国はかつて、海外先進国で一般的に使用されているワクチンが受けられず、「ワクチンギャップ」として問題にされていた。しかし、ここ10年でほぼ遜色ない状態となっている。
現在、日本小児科学会などが生後2カ月から1歳0カ月までに推奨する予防接種は、定期・任意合わせて6種類、単独で接種するとその回数は計15〜16回となる。このため、接種可能な月齢になったらすぐに受けることと、同時に複数のワクチンを接種する「同時接種」が勧められる。予防接種についてしっかりした知識を持つ小児科医をかかりつけ医にし、アドバイスを受けるとよい。
赤ちゃんはとても忙しいのだ。
(KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊)
■ ■
朝日新聞、北海道版の記事です。
タイトルは赤ちゃんは忙しいでしたが、
あえてB型肝炎ワクチンにしました。
私たち医療従事者は、
B型肝炎ワクチンを接種しています。
法律で定められてはいませんが、
札幌美容形成外科では職員全員の抗体を検査して、
病院負担でB型肝炎ワクチン接種をしています。
自分たちの健康を守るためです。
■ ■
KKR札幌医療センター・小児科特任部長高橋豊先生の文章にあるように、
B型肝炎はうつります。
私たちがこわいのが、
針刺し事故による感染です。
美容外科では当日手術で、
血液検査もしないで手術をするクリニックがたくさんあります。
B型肝炎ウイルスで私たち医療従事者が感染します。
■ ■
感染経路はウイルスを持った母親から分娩(ぶんべん)の時にうつる「垂直感染」、
父親や家族から
唾液(だえき)、汗、涙などを介してうつる「水平感染」、
ウイルスに汚染された血液の輸血や
性行為などがあり、
新規感染者は年1万人とされる。
札幌美容形成外科では、
B型肝炎ウイルスの検査を手術前にしています。
■ ■
他の病院でも手術前にB型肝炎ウイルスの検査をします。
分娩時予定のお母さんにもしています。
私が札幌医大の学生だった30年以上前のことです。
学生はB型肝炎の検査を受けて、
肝炎のワクチンを大学負担で打ってくれました。
今から考えるといい大学だったと思います。
私は抗体ができにくく、
今までに何回かワクチン接種をしています。
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大人も、
B型肝炎ワクチンを接種することをおすすめします。
抗体がある人は大丈夫ですが、
抗体がない人はB型肝炎ワクチンを接種したほうがいいです。
ネットで検索すると、
B型肝炎ワクチンを接種してくれる病院が見つかります。
申し訳ありませんが自費です。
大きな副作用もありません。
もっと普及するといいと思っています。