二重・眼瞼下垂
顔面神経麻痺による下垂③
顔面神経麻痺による下垂①
顔面神経麻痺による下垂②
…の続き3回目です。
顔面神経麻痺で、
片側だけまぶたが下がってしまった患者さんは、
ふつうの眼瞼下垂症よりつらいです。
■ ■
顔面神経麻痺になったほうの目だけ、
下垂しているのに、
目を閉じる力が弱いからです。
動物にも、
人間にも、
目を守るために、
瞬間的に目を閉じる機能があります。
瞬目しゅんもくとか
瞬目反射しゅんもくはんしゃ
…と呼ばれています。
■ ■
目を閉じる機能は、
眼輪筋というまぶたの皮膚のすぐ下にある、
筋肉の働きです。
眼輪筋に収縮する命令を出すのが、
顔面神経です。
顔面神経には、
5つの枝があります。
外傷などで顔面神経が切れた場合は、
5本の枝の一部だけ切れることもあります。
■ ■
水痘帯状疱疹すいとうたいじょうほうしんウイルス
…というヘルペスウイルスが原因でなった、
ハント症候群の患者さんは、
5本の顔面神経の枝が、
全部麻痺しています。
額にしわができなくなって、
まぶたが閉じにくくなって、
口角からものがこぼれます。
口笛も吹けなくなります。
■ ■
目を閉じる機能が弱くなっているのに、
ふつうの眼瞼下垂症手術をすると、
大変なことになります。
風が吹いた程度の、
ちょっとした刺激で涙が出ます。
涙で視界が悪くなって、
かえって見えにくくなります。
顔面神経麻痺で片目だけ下垂した患者さんには、
ふつうの眼瞼下垂症手術はしません。