昔の記憶
母親の葬儀⑤
母親の付きそいのおかげで、
私と弟は仲良くなりました。
バアさんが残した一番の遺産です。
一週間もいたのは無駄ではありませんでした。
残念だったのは、
弟と弟の子どもが最終便まで待っていたのに、
帰った翌日に亡くなったことでした。
これも運命です。
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私は3日も臨時休診にして、
患者さんに多大なご迷惑をおかけしました。
深くお詫びいたします。
バアさんが亡くなった11月7日(火)は、
朝から手術をしていました。
臨時休診で予定を変更していただいた方です。
手術中に亡くなっても行けないのでごめんなさい。
…と思いながら仕事をしていました。
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バアさんは私の仕事が終わるのを待っていたかのように、
2023年11月7日(火)20:56に亡くなりました。
私は東札幌病院までタクシーで行き、
弟に連絡をしました。
弟も十分に看病できたので、
思い残すことはありませんでした。
亡くなってから、
東札幌病院の看護師さんが髪を洗ってくださり、
花井幸子さんの服を着せてくださり、
バアさん愛用の化粧品でお化粧をしてくださいました。
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私は看護師さんの処置の前に、
口を開いたまま亡くなったバアさんの、
口を閉じる処置をしました。
形成外科医の腕の見せどころです。
葬儀社に聞いても、
看護師さんに聞いてもご存知ないようでした。
亡くなった方の口を閉じる方法です。
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なんちゃって美容外科医は知らないと思います。
亡くなった方の口を閉じるには、
死後硬直の前に顎間固定がっかんこていをします。
形成外科医や歯科口腔外科医ならわかります。
私は札幌医大の学生時代に口腔外科の実習で習いました。
形成外科医になってからも外傷患者さんの手術でしていました。
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手術時の顎間固定はワイヤーや金具を使います。
亡くなった方の顎間固定は、
残っている歯があれば糸でできます。
うちのバアさんには自分の歯が残っていました。
ぐらぐらしていない歯に、
病院の看護師さんにいただいた絹糸けんしをしっかり結びます。
絹糸がなければデンタルフロスの糸でもいいと思います。
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上の歯に左右2ヵ所(上顎の3番と4番でした)
下の歯に左右2ヵ所(下顎の3番と4番でした)
それぞれ糸を結んで、
下顎を持ち上げながら上と下の糸を左右とも結びます。
そうするとぽっかり口を開けていたのが、
ちゃんと閉じます。
この糸でする顎間固定は医師免許も歯科医師免許も不要です。
死体損壊罪にもなりません。
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ネットで検索しても、
死後顎間固定は出てこないようです。
私は祖母の時にもしました。
やすらかな顔になりました。
うちのバアさんには美容形成外科医として、
もう少し処置をしました。
口を閉じたものの頬はやせこけていて、
生前の面影はありませんでした。
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亡くなったバアさんにヒアルロン酸注射をしたのではありません。
バアさんが使っていた高級なティッシュを、
少しずつ口の中に入れました。
ティシュ1枚は多いので、
少しずつ丁寧にいれました。
上手にティッシュをつめると、
頬がふっくらとして少し笑っているように見えます。
おばあちゃん笑っているみたい
孫にも好評でした。
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本間賢一のちょっと変わった死後の処置です。
死後顎間固定と頬にティッシュです。
ネットで広まってくれるとうれしいです。
うちのバアさんには何も形成外科の手術はしていません。
眼瞼下垂症手術もしていません。
それでも95歳まで身ぎれいにして、
おしゃれを楽しんでいました。
しあわせな95年間でした。
たくさんのお言葉をいただきありがとうございます。