医療問題
医進指定校
平成19年12月21日、北海道新聞朝刊のトップ記事です。
道立高に医進指定校
地域医療担い手育成
2009年度にも
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道と道教委は20日、道内で地域医療に携わる人材を育てるため、6校程度の道立高校を指定し、高校生の医学部受験を支援する方針を固めた。
名付けて「地域医療を支える人づくりプロジェクト」。
北海道育ちの医学部生を増やすことで、長期的に道内の医師不足を防ぐのが狙いで、2009年度にも各校に特別コースを設ける。
指定校では、理数系の教員を増員して受験指導を強化、道内医大の協力を得て現役医大生による夏季講習なども行いたい考えだ。
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同プロジェクトによると、
道央(石狩、後志、胆振、日高、空知)、
道南(渡島、桧山)、
道北(上川、宗谷、留萌)、
釧路・根室、
十勝、オホーツク(網走)
の6つの圏域ごとに「医進類型指定校」を選定。
普通科や理数科などに所属する2、3年生の医学部受験希望者を集めた特別コースを設置することなどを検討している。
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教員を増やして受験に必要な理数系の授業を多く選択できるようにするほか、夏休みなどに医学部生を招き直接、受験指導してもらう。
生徒のやる気を引き出すため、病院施設見学などの場も設ける方針だ。
また、「メディカル・キャンプ」と称する宿泊型の医学生体験も実施する。
一方、近くに指定校がない地域の医学部受験希望者に対するフォローも検討。
指定校と連携し、医学部見学やキャンプなどに参加できるように配慮する。
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本年度、道内医大に在籍している医学部生のうち、道内出身者の割合は札医大が73%のほか、北大が53%、旭医大が34%と低迷。
地域別では、札幌を含む石狩管内出身者が3分の2を占め、医師不足で悩む地域からの医学部進学者はわずかだ。
道教委は、高校生の進学状況にも医師不足の原因があると判断し、今回の構想をまとめた。
道と道教委は今後、道内医大と調整を行った上で、来年一月にも具体的な内容を決定、新年度の重点事業に位置づけ、できるものから着手したい考えだ。
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医師不足に長期的対策
〈解説〉
道と道教委が打ち出した道立高校への「医進類型指定校」の設置構想は、深刻化する医師不足問題に対する長期的な対策であり、地域医療の担い手を地域で育てるユニークな試みとして注目を集めそうだ。
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道内の面積当たりの医師数は全国最低で、地域別で全国平均を上回るのは、札幌などごく一部に限られる。
道は、道外から医師の移住を募ったり、道内医学部に地域枠や奨学金を設けるなど懸命の対策を打ち続けている。
今回の構想はその延長線上にあり、実現すれば、医学部に占める道内出身者を増やし、将来的には医師不足緩和に寄与することが期待できる。
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ただ、高校生が医師として独り立ちするまでには十年以上かかるのも事実だ。
医師不足で診療料を維持できない病院が増えるなど、道内の地域医療を取り巻く環境が深刻化しているだけに、これら人材育成策に加え、即効性のある道や国の対策も不可欠だ。(松本創一)
(以上、北海道新聞より引用)
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私は今回の道の方針に懐疑的(カイギテキ)です。
道が指定するまでもなく、すでに医進指定校は存在します。
道立校で‘医進指定校’になっているのは、札幌南、札幌北です。
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札幌南と札幌北で、道立高校から北大(医)、札幌医大(医)、旭川医大(医)への進学者の大部分を占めます。
残念なことに、私が卒業した、札幌西は多くはありません。
道南は、函館中部
道北は、旭川東
釧路・根室は、釧路湖陵
十勝、オホーツク(網走)は、帯広柏葉と北見北斗
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北海道内の医学部進学者は、道立高校から中高一貫の私立高校へとシフトしています。
高校3年間にどれだけ努力しても、中学校から毎週6日間、毎日特訓した生徒にはかなわない現実があります。
もし、道が本当に地域別の医進指定校をつくり、地域に密着させた医師を養成したいなら、地域別の入学枠を設けるべきです。
ただ、そうすると、入学後に学力の差が目立ち、医師国家試験合格率が低下する恐れがあります。
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私は、昭和49年に札幌医大に入学しました。
私が入学した年から、入学定員が100名に増えました。
当時の札幌医大には、道内出身者を入学定員の90%にするという不文律がありました。
そうした、‘内規’が当時の文部省にバレて、国の補助金で運営している公立大学にふさわしくないという趣旨で撤廃されたと聞いています。
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医師不足解消の妙案はありません。
国が日本の防衛のために設立した、防衛医科大学校を卒業した‘先生’が、防衛とは関係のない‘美容外科’で活躍しています。
これが現実です。
医師がここで働きたいという、‘夢とロマン’のある地域医療政策を立てないと、地方のお医者さんは増えません。
医学講座
挿管困難症例(ソウカンコンナンショウレイ)
医師を四半世紀以上もしていると、いろいろな患者様と出会います。
ベテランの麻酔科医が、この人は‘絶対’に麻酔をかけたくないという人がいました。
総合病院で全身麻酔をかける時は、一般的に筋弛緩剤という薬を使い、気管内挿管という手技で麻酔をかけます。
簡単に言うと、薬で呼吸を止めて、その間に口から気管まで管(クダ)を入れます。
その管から、酸素・笑気・麻酔ガスを送って、呼吸させて麻酔をかけます。
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この管を入れる時に事故が起こります。
挿管困難症例とは、アゴが小さい、首が短い、舌が大きいなどの原因で、簡単に管が入らない人のことを指します。
私が市立札幌病院に勤務していた時に、麻酔科の先生が、この人は‘絶対’に気をつけて麻酔をかけないと危険だと言われた人がいました。
その時の麻酔担当は、現在、北海道大学救急医学講座の丸藤哲(ガンドウサトシ)教授です。
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丸藤先生が、挿管困難と言われたのは、私が記憶する限りその方だけでした。
手術は足の手術でしたので、結局、気管内挿管はせずに手術を終了しました。
私は手術の後で、その患者さんと奥様に、ベテランの麻酔科医でも麻酔が難しかったので、麻酔をかけたら危険ですとお話ししました。
外国では、首からDifficult Airway(気道確保が難しい)と書かれたペンダントをかけておくと聞いたことがあります。
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数年後に、その患者さんの奥さんが訪ねて来ました。
『先生、お父さんが死んじゃったの』
『○○病院で手術室に入っていって、バタバタとして、手術をする前に亡くなりましたと…』
『エ~っ、まさか、どうしたのですか?』
『先生から、麻酔をかけたら危険だと聞いていたので、病院の先生には伝えたんですが…』
『その病院の先生は、大丈夫だと言って手術室に入ったら、それっきり…』
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形成外科や耳鼻科では、アゴや首に異常がある方を手術することが多く、麻酔科医泣かせの患者様がいらっしゃいます。
普通の方でしたら、どうってことはない麻酔でも、一つ間違うと死につながる事故になります。
その患者様は、麻酔事故でお亡くなりになってしまいました。
私が忘れられない患者様のお一人です。
麻酔が難しいかどうか、麻酔をかける前に判断することが重要です。
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どれだけ多くの挿管困難症例を経験したかどうかで、判断が分かれます。
車を運転する時でも、危ない道だとわかっていれば、そこを避けたり迂回できます。
一番危ないのは、その道が危険かどうかを判断する経験がない場合です。
事故は思わぬところで起きるものです。
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札幌美容形成外科でも全身麻酔で手術をしています。
日帰り手術ですので、気管内挿管はいたしません。
筋弛緩剤という薬剤も使用しません。
全身麻酔が難しそうな方には、理由をご説明して総合病院をご紹介しています。
手術後は、十分に回復して、歩いて帰れるまでは、院内でお待ちいただきます。
用心しすぎて、しすぎということはありません。
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麻酔は、素晴らしい技術です。
だれでも、痛いのはイヤです。
ただ、注意して行わないと危険なのも麻酔です。
手術前日の、指定時刻以後は、一切食べたり飲んだりなさらないでください。
タバコもできれば一週間前から禁煙してください。タバコで気道が荒れていると、分泌物が多くなります。
安全に手術を行うためには、医師も患者も注意すべきことがたくさんあります。
医療問題
救急コンビニ化
平成19年12月18日、北海道新聞朝刊の記事です。
明日の医療は
軽症患者が夜、気軽に…医師疲弊
道内救急コンビニ化
帯広厚生病院ルポ
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緊急性が低い病気やけがで夜間や休日に医療機関を受診する患者が増えている。
本来は重篤な患者を受け入れるはずの道内十ヵ所の救命救急センターにも軽症患者が押し寄せ、医療スタッフは夜通し対応に追われている。
24時間、365日診察してくれるという患者の利便性や安心感の裏で、救急の「コンビニ化」に苦悩する道内の医療現場を見た。
(報道本部 渡辺玲男)
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午後十時、十勝管内唯一の救命救急センター「帯広厚生病院」(帯広市)。
救急車のサイレンとともに、転落事故で全身を打った男性が担ぎ込まれた。
車にひかれた女性、高熱でぐったりした乳児…。6つある救急ベッドはすでに4つが埋まっていた。
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精密検査や入院手続きに追われ、医師らは一息つく間もない。
さらに待合室では4人の患者が待っていた。3つの救急電話もひっきりなしに鳴る。
「相当待つことになると思いますが…」。緊急性が低そうな患者に看護師がやんわりと日中の受診を勧めるが、「すぐ診てほしい」という患者を断ることはない。
午前零時すぎに一段落した後も断続的に患者は訪れ、午前5時半まで診療は続いた。
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意識が変化
命の危険がある高度な救急医療に24時間対応できる救急センター。
同病院の昨年度の救急患者は約一万四千人で、開設した1999年度の1.5倍に増えた。
ただ、心肺停止などの重症患者は4%の約600人。
76%は入院の必要がないと診断された軽症で、小児科患者が四分の一を占める。
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「夜間に気軽に受診する救急のコンビ二化は全道的な傾向。
医師が疲弊してやめてしまい、医師不足のー因になっている」。
北海道医師会の目黒順一常任理事は指摘する。
受診者増加の背景には高齢者や共働きの増加のほか、夜でも病院に行くことをいとわない受診者側の意識変化もあるとみられる。
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人手足りず 医師が100人以上いる同病院だが、夜間救急は毎晩常駐する小児科医一人を含め実質5人の当直医と3人の看護師が担う。
6人しかいない小児科は、若い医師だと多い月は7、8回夜勤。夜に一睡もできなくても、翌日は通常勤務だ。
日中に比べ人手が少ない夜間は検査も時聞かかかる。
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「重症だと処置に数時間かかる人もいるが、患者が多く、かかりきりになれない」と当直医。
軽症でも緊急性がないとは限らないが「夜の方が待たないから」「あす旅行に行くので、いま診てくれ」といった理由で深夜に来る患者もいる。
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格差に悩む
「共働きで日中は来られない。時間外診療を充実してほしい」と熱が出た5歳の子供の受診に訪れた主婦(35)。
しかし、医師不足の現状では容易ではない。
「日中のような診療を期待されても難しい」。
一瀬広道副院長(57)は患者ニーズと現場実態の格差に悩む。
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道医師会は軽い症状の場合は、日中に受診するよう促す冊子を2万部作り、9月から病院窓口などで配布している。
ただ「患者に万が一のことがあっては…」と、受診抑制には戸惑う医療関係者も少なくない。
患者が運び込まれカーテンで仕切られた帯広厚生病院の救命救急センターの処置室。
医師や看護師が走り回る=午後10時30分。
(以上、北海道新聞より引用)
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私は平成7年1月から平成10年3月まで、3年3ヵ月間、JA帯広厚生病院の形成外科主任部長を務めました。
現在は、病床数748床、従業員数1,009名の十勝管内で一番大きな総合病院です。
形成外科を見ても、私が在籍していた10年前より、患者数も手術件数も増加しています。
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帯広厚生病院へは、北大、札幌医大などから優秀な先生が赴任しています。
臨床研修指定病院としても、人気が高い病院で、若い先生からも人気があります。
私が在籍していた時に、救命救急センター構想がありました。
私も、現在使用されている救命救急センターの設計に加わりました。
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私が勤務していた当時から、どの診療科もとても混んでいました。
2時間待ちの3分診療なんて…よく非難されました。
外来は、一応‘予約制’でしたが、予約しても2時間待ちなんてことがザラにありました。
その理由は、再来と新患を2人で診なければならなかったからです。
少しでも症状が重く、説明や処置にかかる時間が長くなると、たちまち‘遅れ’が出ていました。
飛行機やJRだったら大変なことになります。
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昔から、昼に行くと混んでいるから、夜に行くという人がいました。
確かに、重症ですぐにでも手術や処置が必要なこともありました。
緊急手術も何回もしたことがあります。
お母さんが、遠慮がちに、『いただいた坐薬で熱が下がらなく、ぐったりしてきたので心配で…』と電話をいただいたこともありました。
小児科の先生が、診察し検査したところ、脳に異常があったケースでした。
一概に、救急を受診するなとは言えませんが、コンビニと救命救急センターが違うことは理解していただきたいと思います。
未分類
再生請負人
平成19年12月15日、朝日新聞朝刊のbe on Saturday Businessの記事です。
フロントランナー
ケンウッド会長 河原春郎さん(68歳)
「再生請負人」次の一手は?
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ケンウッドと日本ビクター。オーディオファンなら誰もが知る名門2社が2008年、経営統合に踏み出す。
人懐っこい笑顔を浮かべるこの人が、業界再編の口火を切った統合劇の立役者だ。
「日本の専業メーカーが勝ち残るには大同団結しかない」。
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韓国や台湾との価格競争、デジタル化で膨らむ開発費。規模のメリットを出せない中堅メーカーは剣が峰だ。
重複する事業が多いビクターには2年前にも協業を呼びかけていた。
昨秋からの統合交渉。資金力に勝る米系ファンドが優勢になっても「志は変わらない」と言い続けた。
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再生への確信は関係者を動かす。共同開発に向けて両社で立ち上げた新会社の発足式で、技術者130人にこう呼びかけた。
「力を結集して強い製品を作り、カーマルチメディアで世界一をめざそう」
7月の提携発表から2ヵ月後、シャープとパイオニアも資本・業務提携を発表した。
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社長に就いた2002年は「不良債権処理の嵐」の真っただ中。
銀行はバブル期の貸付金の回収に走り、ケンウッドも170億円の債務超過で会社の存続さえ危ぶまれていた。
そこで講じたのが債務を株式に変える金融手法。会社が再生すれば株価は上がり債権者も利益を得る。
同時に増資もして資本を増強、工場集約などを一気に進め、1年で過去最高益を達成してみせた。
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国内で前例のなかった財務テクニックは、日本長期信用銀行を買収した外資系ファンドのリップルウッドで学んだ。
東芝の役員を引退後、「米国のお金で日本を再建できるなら」と転身。
日本コロムビアの買収を担当し、音響部門デノンと日本マランツとの統合を指揮した。
ビクターヘの出資にも応じた筆頭株主スパークス・グループの阿部修平社長は「決断は速く、迷いがない。彼になら任せられる」と全幅の信頼を寄せる。
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「再生請負人」は名うての工ンジニアでもある。東芝時代に開発した発電所の自動制御システムは今も現役だ。
技術者の視点はケンウッド再建でも生かされ、「何でもアジアが安いというのは間違い」とMDプレーヤーの製造をマレーシアから山形の工場に移した。
向こうで22人かかった工程を熟練工が4人でこなし、不良率は激減。製造業の国内回帰のお手本になった。
金融も技術もわかる「ハイブリッド経営者」は時代の要請ともいえる。
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本業と並んで大切にしている活動がある。
「ベンチャーを支援するベテランの会」。
熟練経営者たちが起業家の事業発表を聞いて助言や指導をする会に、2001年の発足時から加わる。
2005年にはロボット制作会社の技術支援を引き受けた。
3人しかいない「音質マイスター」の一人を派遣し、動いて踊る音楽プレーヤーを共同開発した。
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ベンチャー支援も企業再生も、思いを支えるのは次世代への責任だ。
「高度成長の成功体験を忘れられない僕らがバブルを招いた。
その負の遺産の始末もせずに若い世代の世話になるわけにはいかない」。
日本の専業メーカー再編を「最後の仕事」と任じている。
文・後藤絵里。
(以上、朝日新聞より引用)
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原油が値上がりして、灯油やガソリンが値上がりしています。
好景気が実感できない北海道で、ますます景気が悪くなってきています。
病院や診療所などの医療機関も、経営困難になっているところが出てきています。
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私は、朝日新聞のフロントランナーが好きです。
再建外科という、医学の中でも特殊な外科を担当していたためか、企業の再建にも興味があります。
私はオーディオファンではありませんが、ケンウッドのステレオを持っていました。
トリオの時代から、良い音で有名でした。
ビクターもVHSのビデオを開発した技術力がある企業です。
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どんなに良い技術を持っていても、良い音が出せても、油断していると企業の存続が危ぶまれる時代です。
ファンドや投資機関のお金の行方で、世界経済が変わり、あっという間に不況になることも考えられます。
年金問題のためか?福田内閣の支持率も下がっているようです。
このケンウッドの河原さんのような方が、日本という国を再生して欲しいと思います。
国民が安心して暮らせる国、安心して老後をすごすことができる国に、誰か再生して欲しいと願っています。
医学講座
廃用性萎縮
廃用性萎縮(ハイヨウセイイシュク)と読みます。
筋肉を使わないと、衰えて(オトロエテ)筋肉が細くなることです。
たとえば、足を骨折したとします。
骨折したら骨がくっつくまで、ギプスで固定して動けません。
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骨折の程度にもよりますが、数週間、ギプス固定をしていると、確実に足が細くなります。
だからといって、わざと足を折ったりしないでくださいね。
これは筋トレの逆です。
ボディビルまでしなくても、筋トレをすると、筋肉がついて筋肉隆々になります。
使わないと、筋肉は衰えます。
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この廃用性萎縮を利用して、小顔にするのが、えらボトックスです。
硬いものを噛む癖のある人。
スポーツなどで奥歯を噛みしめる癖のある人。
噛み合わせが悪く、いつもどちらか片方で物を噛む人。
硬いものが好きで、いつでも噛んでいる人。
こういう人は、知らず知らずのうちに、咬筋という筋肉の筋トレをしていることになります。
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毎日まいにち、噛み続けていると、噛む筋肉=咬筋(コウキン)がボディビルをしたように発達してしまいます。
耳の前に手を当てて、奥歯をグッと噛みしめてください。
骨の上で、ボコっと膨らんだのが咬筋です。
咬筋が発達していると、どんなに体重を落として痩せても、ホッペだけ小顔になりません。
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片方だけ、咬筋が発達してしまった病態(ビョウタイ)を片側咬筋肥大症(ヘンソクコウキンヒダイショウ)といいます。
大学病院に勤務していた時に、口腔外科(コウクウゲカ)の先生と一緒に咬筋を減らす手術をしたことがあります。
入院手術をしましたが、術後は逆に悪くなった?と思うほど腫れます。
手術で咬筋を取ると、腫れがとれるまでに数ヵ月はかかります。
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えらボトックスは、耳の前に少量の注射をするだけです。
ボトックスを注射すると、神経から筋肉へ‘収縮しなさい’という‘信号’が伝わらなくなります。
信号が伝わらないので、筋肉は筋トレをお休みします。
噛む力が弱くなりますので、硬いものが食べたくなくなります。
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注射して、数週間もすると、噛んでも筋肉がポコっと膨らまなくなります。
耳の前で膨らんでいた筋肉が薄くなると、小顔になってきます。
残念ですが、ボトックスは筋肉だけに効き、脂肪には効きません。
えらボトックスが効くのは、咬筋が発達している方だけです。脂肪には効きません。
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ボトックスが効いているのは、約6ヵ月間です。
ボトックスの効果が弱くなってきた時に、また‘筋トレ’をすると、筋肉は発達してしまいます。
噛み合わせの異常など、歯科的な問題がある方は、矯正歯科をご紹介しています。
外国では、ボトックス注射を‘歯ぎしり’の治療として行うこともあるそうです。
小顔になりたい方は、一度相談にいらしてください。
顔の脂肪には、カボメッドも効果的です。
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医療問題
未受診妊婦
平成19年12月16日、北海道新聞朝刊の記事です。
未受診妊婦の1割飛び込み出産経験
費用未払いは4割 医師調査
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妊婦検診をほとんど受けないまま、出産時にいきなり病院に来る「未受診妊婦」の一割強は、過去にも飛び込み出産したことのある″リピーター″だったことが15日までに、日本産婦人科医会広報委員の前田津紀夫医師の調査で分かった。
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また、医療費未払い率も4割に上り、同医会は「未受診は母子のリスクが高いだけでなく、(医師や病床などの)医療資源を浪費することになり、社会的にも問題」としている。
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調査は、未受診妊婦に関する過去の文献と、静岡県内の五施設の受け入れ状況調査を合わせ、計586人分について分析。
未受診妊婦は年々増える傾向にあり、対象のほとんどは最近5年以内の事例だった。
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未受診者の妊婦全体に占める割合は、0.2~2%。年齢は10代が14%、20代が43%、30代が40%。10代は、日本の妊婦全体では2%にすぎず、率の高さが目立つ。
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10代の初産婦が多い一方、出産4回目以上の人の割合も16%(全体1%)と高かった。詳しく調査できた291人のうち、12%に当たる三十六人は過去にも飛び込み出産していた。
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入院費は40%が未払い。隣接する公立病院をはしごして、飛び込み出産と未払いを繰り返す例もあるという。
15%は病院に到着する前に路上や車中で出産。妊婦が死亡したケースは8%で、全体の16倍の高率だった。未熟児の割合も、全体の4倍近い33%に上った。
(以上、北海道新聞より引用)
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15%が病院へ到着する前に路上や車中で出産とは驚きです。
このような出産を墜落分娩といいます。
おしっこやうんこがガマンできなくて、トイレに行く前に‘出ちゃった’のとはわけが違います。
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また、妊婦が死亡したケースが8%というのにも驚きました。
12.5人に一人が亡くなるのはかなりの高率です。
以前から書いていますが、妊娠・出産は‘簡単’なものではありません。
昔から、安産の神様がいるのは、それだけ安産でない人が多かった理由です。
ですから、安産の神様やお守りがあるのです。
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私は産婦人科が専門ではありませんが、医師の一人として、妊婦健診はしっかり受けていただきたいと思います。
‘デキ婚’は仕方がないとしても、安易に堕胎を繰り返すのは避けるべきです。
性感染症で不妊症になる方もたくさんいらっしゃいます。
女性のクラミジア感染は、自覚症状が乏しく、自分が原因となって知らない間に感染を拡大していることもあります。
少子高齢化社会を迎え、日本はこのままだと滅びます。自分の身体を大切にして、丈夫な赤ちゃんを産んでください。
医療問題
まな板の鯉
医師にとって、医師本人や医師の身内を治療するのは、ストレスなものです。
相手は、同じ業界で生計を立てているプロです。専門が違っても、医療の裏も表も熟知しています。
私の父を治療していただいた、長岡康裕先生にもご苦労をおかけしました。
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私の父が受けた治療は、経皮経肝的胆嚢ドレナージ(PTGBD)という治療です。
一般的な、治療説明・同意書には次のように書いてあります(高知医療センターHPから引用:()内の注釈は私が追記)。
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1.現在の病状と処置・検査・治療の必要性について
原疾患(ゲンシッカン=もともとの病気の意味)により胆嚢管(タンノウカン)の狭窄・閉塞(キョウサク・ヘイソク=細くなりつまること)が生じています。また胆嚢炎があります。
このような状態を放置すると敗血症(ハイケツショウ=からだ中にバイ菌が回ってしまう病気)を合併し、全身状態の悪化が起こり致命的(チメイテキ=死んでしまうこと)ともなりかねません。
そこで胆嚢にたまっている胆汁を体外に放出することにより胆嚢炎の治療を行います。
2.処置・検査・治療の方法
この治療は局所麻酔で行います。超音波でみながら胆嚢を穿刺(センシ=刺すこと)し、ドレナージチューブ(膿を出す管のこと)を留置します。
3.処置・検査・治療に伴う合併症と危険性、および緊急時の処置について
頻度的には非常にまれなものも含めて、以下のような合併症の可能性があります。
現在の疾患の治療の上で必要な検査、手技です。緊急時の処置は勿論万全を期して施行しますので、ご了解下さい。
1:局所麻酔薬(キシロカイン)に対するアレルギー
2:反応穿刺に伴う合併症として、穿刺部の血腫形成、肝臓からの出血、感染、等
3:胆嚢を傷つけることにより、胆汁が腹腔内に漏れだし胆汁性腹膜炎を起こす場合があります。
内科的治療で軽快しなければ外科的手術(胆嚢摘出および腹腔ドレナージ)が必要となります。
4:肺の近傍を穿刺することによる気胸。程度によっては胸腔ドレナージが必要となります。
5:ドレナージチューブが抜けたり,つまったりした場合には交換が必要となります。
(以上、高知医療センターHPから引用)
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ベテランの先生がすれば合併症も起こさずに済む治療ですが、時には思わぬことが起こる場合もあります。
特に高齢者の場合は、いつ何が起こるか予測がつきません。
治療を受けた父は、おそらく同意書にサインしていると思います。
合併症の危険があろうと、耐えられない激痛を一刻も早く取り除いて欲しいというのが切実な願いです。
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私は自分が治療を受ける時も、身内が受ける時も、いつも次のように言っています。
『どんなことがあっても、絶対に文句は言いません』
『どうか治してください』
『お願いします』
言われる方の立場としては、これも結構なプレッシャーです。
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医師も経験を積んで、立場が上になるほど、ストレスの多い治療を引き受けることになります。
治療は人間がやる人間相手の仕事です。一つとして同じ治療はありません。
どんな治療や手術にもリスクはあります。
植皮術などは、今でも100%成功させるのは至難のわざだと思っています。
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札幌美容形成外科には、たくさんの医療関係者の方がいらしてくださいます。
私はどんな方の手術でも、自分の身内や‘お医者さん’だと思って治療しています。
どんな手術や治療でも緊張して施術しています。
自分を信頼して、治療を受けてくださっている方に、いい加減なことはできません。
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自分が信頼されていないかなぁ~?と感じた時には、手術をお断りすることもあります。
幸い、形成外科や美容外科には緊急性がある治療は多くはありません。
自分が信頼できて、心から『お願いします』と言える先生を見つけてくださいとお伝えします。
ちょっと偏屈な医者だと非難されることもありますが、これが私の考えです。
私は自分が手術を受ける時には、慎重に‘先生’を選んで、まな板の鯉(コイ)になります。
医療問題
膿を出す
私の父は大正15年3月生まれです。満81歳になります。
その81歳の父親が平成19年12月12日(水)に入院しました。
入院する数日前からお腹の調子が悪く、近所の内科で点滴をしてもらっていました。
点滴をしても快くならず、12日(水)に札幌市手稲区の稲積公園病院に入院させていただきました。
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13日(木)の午前中に見舞いに行きました。
すっかり憔悴(ショウスイ)して、
「もう死ぬかもしれない」
「昨夜は痛くて、一睡もできなかった」と言っていました。
入院時検査で、白血球数が2万。CRP(シーアールーピー)という炎症反応を示す数値が13。
かなり重症の感染症でした。
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病院で検査していただいたところ、見つかったのが急性胆嚢炎でした。
急性胆嚢炎は、胆石という石が原因で起こることが多い病気です。石がない場合もあります。
胆嚢炎の痛みは、激痛といわれています。
父が一睡もできない位、痛かったというのも無理はありません。
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病院で検査しても、胆石は見つからなかったそうです。
13日に見舞いに行って、院長の松嶋喬先生と主治医の長岡康裕先生からお話しを伺いました。
炎症が強くなり、白血球が3万、CRPも亢進(コウシン)しているので、胆嚢に針を刺して膿を抜くことになりました。
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エコーという超音波でガイドしながら、腫れている胆嚢に針を刺します。
局所麻酔をして、お腹に針を刺します。
ちょっと怖い気がしますが、このまま放置すると生命に危険が及ぶ可能性があります。
父の病状を考えると最適な治療です。
担当の長岡先生にお願いして13日の午後に行っていただきました。
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13日の夜に、再度見舞いに行きました。
午前中に「もう死ぬかもしれない」と言っていた父は、すやすやと眠っていました。
私たちが行くと目を覚ましました。
父親は、痛みがなくなって元気になっていました。
「いゃぁ~、痛みが楽になって、もう天国だ!」と言っていました。
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おいおい、じいちゃん!
「死ぬかもしれない」と言っていた人が、いきなり天国じゃ、神様もびっくりするぜ。と思わず言いそうになりました。
点滴を交換してくださっていた、優しい看護師さんが、
「本間さん、天国へ行ったように楽になってよかったですね」と声をかけてくださいました。
急性胆嚢炎の痛みは、尋常ではないくらい、強いものだとわかりました。
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稲積公園病院は肝臓病の病院として有名です。
院長の松嶋喬先生は、北大第三内科の助教授から、市立函館病院院長を歴任された、肝臓病の大家です。
私が北大形成外科に勤務していた時にも、肝臓病を患った患者様を形成外科病棟まで往診してくださいました。
現在は、特定医療法人カレスサッポロの一つとして、地域医療に貢献されています。
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“膿(ウミ)を出す”という言葉があります。
外科の基本に切開・排膿という手技があります。
皮膚にニキビができると、赤く腫れて触ると痛くなります。
ひどくなると、直径が1㎝近くまで赤くなることもあります。
ニキビをつぶして上手く膿が出て、ニキビの芯がでると炎症がおさまります。
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ニキビですら、痛くなるのですから、胆嚢がパンパンに腫れて膿がたまると、死ぬほどの痛みが出ます。
たまった膿を出して、腫れた胆嚢が縮むと痛みがウソのように楽になります。
父の場合は高齢でもあり、また膿がたまる可能性もあります。外科的な手術が必要になることも考えられます。
それでも、痛みをとっていただき、夜に眠れるようにしていただいただけでも感謝かんしゃです。
長岡先生、ありがとうございました。
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生態系からとらえた企業戦略
今日は北海学園大学経営学部・大学院経営学研究科 ニトリ講座寄附講座、2007年度・後期講座の最終回へ行ってきました。
今日の講師は、株式会社アレフの庄司昭夫社長でした。テーマは生態系からとらえた企業戦略
株式会社アレフはビックリドンキーで有名な企業です。
庄司社長は、環境問題に早くから取り組んでいらっしゃいました。
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レストランで発生する生ゴミのリサイクル。
雨水を貯水タンクを設置して、トイレの流し水に使用。
ソーラーパネルや廃油ボイラーなどを早くから導入。
企業として環境問題に積極的に取り組んでいます。
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アレフは食材の生産から消費までの流れの中で、安全・安心へ取り組んでいます。
その取り組みが、自然環境の保全に役立ち環境を守ります。
人間の食物は、太陽・大地・空気・水がつくりだした自然の恵みです。
自然を大切にする環境への取り組みは、人間の生命・健康に直結します。
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アレフの2006年度、環境報告書から、
水資源の枯渇と生態系に及ぼす影響、環境問題についてご紹介します。
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●水資源の枯渇
トウモロコシ1㎏を生産するのに、約1100㎏の水が必要とされます。
そのためアメリカの穀倉地帯といわれるコロラドやカンサスなどでは、以前から川の水枯れや地下水の枯渇が問題になっていました。
トウモロコシの増産は、この傾向にさらに拍車をかける心配があります。
2000年時点で地球上の約5億人の人ぴとが慢性的な水の不足に悩まされています。
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●生態系に及ぼす影響
単一作物による大規模な農業は、それだけで生態系のバランスを崩す怖れがあります。
しかも、栽培されるのは、環境リスクの点でも疑問の多い遺伝子組み換えトウモロコシです。
トウモロコシ畑をつくるために、また中南米の森林が伐採されれば、森林のもつCO2を吸収し、酸素をつくりだす機能が損われます。
もちろん、森林に生きるさまざまな生きものも、その場所を失います。
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●不足する食糧とエネルギー
現在、世界で約8億5000万人の人ぴとが飢えや栄養不足に悩んでいます。
毎日2万人以上の子供たちが、栄養不良やそれに関連する病気などで死んでいます。 世界の穀物生産量は2000年に消費量を下回り、年とともにその差が開いています。
食糧となりうるトウモロコシをエネルギーに変えなければならない必然性にも疑問が湧きます。
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●環境問題の現れ方と本質
環境問題には3つの特徴があります。
①長い時間をかけて進行し、結果として広範囲で多様な被害を生じさせる
②個々の問題が環境や経済を通して繋がっていて“で問題群”をかたちづくっている
③因果関係がまだ科学的に解明されていない問題が多い
これらが環境問題を難しく、複雑にしています。
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しかし地球は―つしかなく、その資源や自然の機能にも限りがあるという事実は変わりません。
すべての経済活動も、突き詰めれば、地球の一部を加工したり、その機能を利用したりして人間の暮らしに役立てていることになります。
たとえぱ森林の二酸化炭素を吸収し、酸素をつくりだすという働きを人工的に行うとして、その費用はいくらになるのでしょう。
このような考え方で地球上のすべての価値を金額に検算するすることができます。
この、地球の価値は、この先減ることはあっても決して増えることはありません。
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農業の時代、一人あたりの1日のエネルギー消費量は釣1万2000kcal程度でした。
しかし産業革命を節目にして、いまでは25万kcalにまで増えています。
このままでは、地球も人間の社会も近い将来に破綻してしまうことは明らかです。
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環境問題への取り組みには、つねに難しさがつきまといます。
しかし、大きくて複雑な問題への取り組みこそ、私たちの生き方や社会、そして文明を前進させるチャンスだと思います。
さまざまな試行錯誤や模索を怖れず、勉強を重ねながら、取り組んでいきたいと考えています。
(以上、㈱アレフ2006年度環境報告書より引用)
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今年の日本をあらわす漢字は『偽』だそうです。
これほど食品の偽装が問題になった年はありませんでした。
今日のお昼は家内とびっくりドンキーへ行きました。
日替わりランチが一人\617で、二人で1,234円でした。美味しいお味噌汁がたっぷりついていました。
今日の日替わりランチにも、新鮮な野菜とハンバーグがついていて、ご飯もとても美味しかったです。
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自然を大切にして、自然と共存して、安全・安心して食べられる食材を入手する。
企業が儲かるとか、売上がいくらではなく、いかに社会に貢献できるか、地球に優しいかで企業価値が決まる。
これが64歳になられる庄司社長からのメッセージでした。
庄司社長も小学生の時は成績が悪く、いつもビリかビリから2番目だったそうです。
ビリを争ったのがミノル君だったとお話しされました。
この他にも中国の仙人のお話しとか、陰と陽のお話しなどためになるお話しがたくさんありました。
私たちも限りある地球の資源を大切にして、毎日生活したいものだと考えました。
医療問題
診療情報管理士
平成19年12月11日(火)朝日新聞朝刊の投稿-私の視点-からの引用です。
◆カルテ 長期保存支える体制整備を
診療情報管理士 枝光 尚美(エダミツ ナオミ)
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山口普史氏の「カルテ長期保存し診療に生かせ」 (11月2日付本欄)を興味深く読ませていただいた。
そのなかで山口氏はカルテなどの診療録が廃棄される背景として、医療紛争の増加に伴い診療録が裁判に使われる心配があるためと指摘されていたが、私の意見は少し違う。
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医療機関が診療録を廃棄しているのは、来院しない患者の診療録を管理するために膨大な費用が必要で、保管場所の確保が困難なこと、法的にも長期保存が求められていないことが主な理由であると考える。
■ ■
私が勤務する大阪府内の医療機関の医師は、自分たちの行った先進的な医療には数十年後にならないと評価できない場合があり、その評価を終えるまで診療録の廃棄はあってはならない、という。
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実際に、薬害エイズやC型肝炎の原因となった血液製剤使用の確認では、医師法で保存が義務付けられている5年間を過ぎた問い合わせが相次いだ。
その際、多くの医療機関で診療録が廃棄されていたために使用の有無の確認ができない事例が発生した。
過去の診療録は、山口氏が述べておられるとおり、患者さん個人だけでなく国民の財産であることは明白である。
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私の勤務先では、開院以来26年間すべての診療録が保存されている。開院後18年目に保管庫の確保が困難となったため、過去の記録の廃棄を検討したが、診療録の長期保存は、患者さんはもとより日本の医療の質向上のために不可欠であると判断し、スキャナーで読み取りデジタル化して保存するようになった。
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しかし、このように長期保存をしても、診療報酬上の評価はほとんどない。いまの診療報酬制度では、診療情報を適切に管理している施設に対し、1入院につき30点(300円)の加算が認められているのみ。診療録は各医療機関の使命感によりかろうじて残されているのが現状だ。
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私は今年6月、韓国の先進的な病院を訪問する機会があった。そこでは1958年の開院以来、過去の入院診療録約100万件をすべてデジタル化して保存しており、診療録管理室には約50人のスタッフが配属されていた。
日本の医療機関でもここ数年、診療情報管理の必要性についての認識は高まっているものの、配置されている診療情録管理士は、まだまだ少ない。
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診療情報管理士は一般には知られていない職種だが、1972年から養成が始まり、これまでに約1万4千人が誕生している。
診療録を点検して記載の不備があれば医師や看護師に要請して、きちんと完成してもらうとともに、診療が終わると迅速に回収し、保管・管理にあたるのが仕事だ。
貴重な臨床経過であっても、記録が不完全であれば、たとえ長期間保存しても将来、患者さんや医療の質向上には利用できない。
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これら貴重な診療情報を社会に還元させるためには、長期保存を支える診療報酬上の評価を行うとともに、適切な診療録を作成できるような体制を整備するため、医療機関への診療情報管理士配置を義務付けることが望まれる。
(以上、朝日新聞より引用)
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私が今までに勤務した病院の中で、一番診療録(カルテ)の管理がしっかりしていたのが、労災病院でした。
当時の労災病院は、労働福祉事業団という労働省の外郭団体が経営していました。
北海道の労災病院は、岩見沢、美唄、釧路と産炭地に建設されました。
産炭地では、珪肺症(ケイハイ)など、長期にわたって治療や経過観察が必要な疾患があります。
労災では、必ず補償が絡むため、診療録の長期保存は必須です。
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労災病院には、ベテランの診療情報管理士がいらっしゃいました。
恥ずかしい話しですが、医学生はあまりカルテの記載方法について学びません。医師国家試験にも出題されません。
偉い先生が書かれたカルテでも、ミミズが這ったような字で、何が書いてあるかさっぱり解読不可能なものもありました。
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今はどうかわかりませんが、私が医師になった頃の最初の仕事は、カルテに検査伝票を貼る、‘紙貼り’という単調な仕事でした。
糊のつけ方が悪いと、カルテがくっついてしまいます。貼り方が悪くて先輩によく叱られたものです。
内科では、患者さんが退院する時に、サマリーというまとめを書きました。これが結構厄介で、レポートとしてまとめるのが学生の勉強の一つでした。
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労災病院では、カルテがしっかり書かれていないと、診療情報管理士(当時はカルテ室と呼んでいました)からお呼びがかかり注意を受けました。
医師といえども、注意されたらしっかり書かなくてはなりません。注意していただいたおかげで勉強になりました。
私どもの診療所を含めて、これからの時代は電子カルテだと思います。電子化なくしては、カルテの長期保存は不可能です。
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電子カルテと診療報酬請求書(いわゆるレセプト)をドッキングさせたシステムが必要です。
できればフォーマットを決めて、医療機関同士がお互いにファイルを交換できるようなシステムが望ましいと思います。
こういう仕事は国が率先してして欲しいのですが、日本の厚生労働省では無理なようです。