医学講座
骨の発育と義眼
先天性無眼球症
まぶたの再建2019
…の続きです。
生まれつき眼球がない赤ちゃんにも、
まぶたはあります。
まつ毛もあります。
…でも、
そのままでは義眼は入れられないのです。
■ ■
義眼を入れるスペースがありません。
赤ちゃんの顔は小さいです。
ミルクを飲んで成長します。
顔にはたくさんの骨があります。
眼球が入る部分の骨を、
眼窩がんかといいます。
外側は厚い骨で、
内側と底は薄い骨です。
■ ■
眼球が入っていて、
眼球が成長すると、
眼窩がんかも大きくなります。
ところが、
先天性無眼球症で眼球がないと、
眼窩がんかの骨は成長しません。
眼球の代わりになるものを製作して、
眼球の位置に入れるのが、
拡張器かくちょうきです。
■ ■
市販の拡張器はありません。
患者さん毎に、
手づくりでひとつひとつ製作します。
小さすぎても、
大きすぎてもだめです。
入れるのも大変です。
無理に入れると血がでますし、
炎症を起こすこともあります。
■ ■
ここで必要なのが、
義眼師さんと、
形成外科医の協力です。
いちばん大変なのは、
拡張器かくちょうきを製作する義眼師さんです。
まぶたのことをよく知っていて、
技術力もある義眼師さんでないと無理です。
アツザワプロテーゼ九州の、
光安哲人さんのは最高でした。
福岡大学形成外科との協力もすばらしいです。
拡張器かくちょうきで、
眼窩がんかの骨を成長させて、
はじめて義眼を装着できるようになります。
“骨の発育と義眼”へのコメント
コメントをどうぞ
先天性無眼球症で眼球がないと、
眼窩の骨を成長させないと
ダメなのですよね。
何歳位で義眼が
装着出来るようになりますか?
親御さんはその間、
不安に包まれますね……
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。学会でお聞きした光安さんの場合は生後1ヵ月から拡張器を開始し、その2ヵ月後くらいから義眼を装用したそうです。義眼のサイズを月に一度のペースで更新し成長とともに変更、4歳頃からは2~3ヵ月に一度、8歳頃からは半年に一度のペースで義眼を変更しているそうです。
本間先生の日記を拝読
するまで、拡張器のことも、
それを製作する義眼師さんの
ことも知りませんでした。
医療は、お医者さまだけでは
なく、さまざまな人が関わって
力を尽くしてくださり患者さんや
ご家族が救われるのですね。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。赤ちゃんの義眼は成長に合わせてつくり変えなければいけませんし、骨を成長させるために拡張器も必要です。ほんとうに大変です。熱意ある義眼師さんでなければ無理です。
義眼師も国家資格何ですか?経験を積まないと難しい仕事ですね。形成外科との協力が大事なんですね。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。私もよく知りませんが国家資格ではないと思います。片側の場合は健側の目に合わせて作成するので高度の芸術家のような印象です。ふつうは眼科との協力ですが、骨の発育などの問題は形成外科ですね。