医学講座

放置されていた対策案

 今日は2020年4月24日(金)です。
 新型コロナのPCR陽性者数増えています。
 残念なことですが、
 私はもっと陽性者数が増えると予測しています。 
 理由は院内感染です
 院内感染が起きると、
 病院は徹底的に調査します。
      ■         ■
 保健所長としても、
 院内感染でPCR検査を要求されると、
 検査拒否はできません。
 これがPCR陽性者数が増えている原因です。
 一時的に陽性者数が増えても、
 院内感染が収まると減ってきます
 病院は病院の存続をかけて院内感染を撲滅させます。
      ■         ■
 2020年4月23日(木)の北海道新聞朝刊に、
 とてもいい記事が掲載されていました。
 私が尊敬する、
 元小樽保健所長の外岡立人先生のお言葉です。
 放置されていた対策案
 常設組織で感染拡大阻止
 元小樽市保健所長 外岡立人
 新型コロナウイルス感染症の旅行に対する日本社会の警戒感は、買いだめなどの例外はあったものの、当初は筆者が予想したほど高くなかった。
 世界大戦や、感染症の世界的大流行(パンデミック)などの危機に対して、どこかで“神風”の到来を信じ切っているような甘さが、日本社会にはある。一方で、危機的事態が去ってしまうと、渦中で昧わった恐怖感を忘れてしまうのもまた、われわれの常のようだ。
 10年以上前の新型インフルエンザ流行時の騒ぎを思い起こす。感染拡大への恐怖心が社会に広がっていた頃、専門家や行政の担当者らは、さまざまな対策の可否と必要性を検討していた。
 学校を休校にするかどうか、不足する病床をどう確保するかなど、新型コロナで課題とされた問題は既に提起されていた。廃校やホテルを利用して病床を増やすことも提案された。感染者の隔離、取り扱いに苦労したクルーズ船だが、逆に病院船として活田ずる案も出ていた。
 感染者と一般患者を分けて診察するために野球やサッカーの大きなドームや発熱外来を開くアイデア、あるいは、大量の検査のために今各国が取り入れている「ドライプスルー方式」も当時、既に考えられていた。
 だが、新型インフルの沈静化とともにそれらの対策案は放置され、忘れ去られた。明確なガイドラインは未完のまま、新たな感染症の発生を迎えたのである。
 中国・武漢での深刻な状況が報じられ、バンデミックの可能性は当初から指摘されていたのに、国の反応は鈍く、全ての対応が後手に回った。
 致死率か決して低くはないことは、中国の情報から予知できた。例えばドイツは1月中旬には診断のための検査キットの製造備蓄を始め、流行に備えた。治療薬に関しても、有効な薬の有無や候補薬についての情報収集は、1月下旬には始める必要があったはずだ。
 この脆弱な日本社会の危機意識を補完する新組織の創設を提案したい。
 新興感染症の発生時に「どの程度の危機か」を鋭敏にキャッチし、感染拡大を阻止できる常設組織だ。そうした専門家集団は米国はじめ韓国、中国にも存在し、絶えず行政各部局、政権幹部と意見交換をしている。
 機能として、感染症の侵入と拡大を防ぐ戦略を担うため、予想される致死率や感染力の推定、治療薬の有無の検索、迅速なワクチン製造の必要性について把握、検討する。世界保健機構(WHO)や各国の防疫担当部局と連携し、迅速な情報収集にも当たって、国内の関係省庁、機関の間で対策の検討や調整をする。
 バンデミックは戦争と同様の、多くの人命が失われる国家の危機である。内閣官房内で各省庁とは独立し、有事の際には首相に次ぐ強い権限を有することが望ましい。
 バンデミックは政治問題ではない。それは公衆衛生学的危機であり、専門家組織が中心になって危機に対処するべきなのだ。国連とWHOの関係を思い出してほしい。あるべき専門家集団は日本におけるWHOなのである。それは、政府が緊急時
になってから招集、編成するような安直な組織であってはならない。
 とのおか・たつひと 1944年札幌市生まれ。69年北海道大医学部卒。独マックスプランク研究所などを経て、2001~2008小樽市保健所長。専門はパンデミック感染症。

(以上、北海道新聞より引用)

      ■         ■
 日本の厚生労働省は、
 医療費の削減しか頭になくて、
 予防医学の重要性を軽視していました。
 地方自治体の中には、
 ICUや救急医療を、
 金食い虫
 …だと思っていた議員さんもいました。
 どんなに経済が順調でも、
 疫病で一瞬にして経済破綻です。
 目立たない基礎医学にも予算を配分してほしいです。

“放置されていた対策案”へのコメント

  1. えりー より:

    日頃から何もない時にこそ非日常の
    緊急事態の時の備えは大切なことだと
    思いました。「どんなに経済が順調でも、
     疫病で一瞬にして株価暴落です。」
    これを救ってくれるのが予防医学そして
    基礎医学なのですね。ICUや救急医療の
    重要性をさらに考えました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。私はいざという時のための軍事力よりも疫病対策が大切だと思っています。ICUや救急医療、ドクターヘリなどはお金がかかりますが命を救ってくれます。金儲け主義でもありません。予防医学や基礎医学研究にもっと予算を配分していただきたいです。

  2. さくらんぼ より:

    予防医学にお金をかけなかったから、こんな事になったのですね。私が脊髄腫瘍の手術をした時誰もICUがなかったのか入りませんでした。子宮の時は別の病院で入りました。もうピークが過ぎてもいい頃なのに増え続けています。ステイホームを守りましょう。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。この外岡先生の記事を読むまで新型インフルエンザの時に対策案が出ていたとは知りませんでした。今回の世界恐慌以来の経済不安で疫病対策の重要性が認識されたと思います。戦闘機一機分でかなりの医学研究ができます。

  3. ラズベリー より:

    年間インフルエンザで亡くなる人は1ヶ月で250人(年間3000人)、コロナウィルスでの死者数は4月23日現在、328人です。
    BCGワクチン説も日本から世界に接種有効説を発表しても良いと思いました。
    新型コロナ、死者数328人 朝日新聞デジタル
    インフルエンザ(鳥インフルエンザを除く)は第5類感染症で、コロナウィルスは第2類感染症です。

    新型コロナ以外の患者6%陽性 地域の状況反映か 慶応大学病院 | NHKニュース

    陽性の患者はこれからも減らずに増えていきますが死者数は圧倒的に少ないです。
    日本経済を救い、感染症対応病院を救う手立ては第2類感染症→第5類感染症に変更・改訂し、標準の感染症対策に切り替えると丸くおさまるのではないかと思っています。

    コロナウィルス感染症とは①準災害と②人災(政府の渡航禁止を早期にせず、他対策が後手後手で出来てなかった)、③そして企業の感染予防対策(労働契約法5条、労働安全衛生法等)④個人の感染予防。

    【コロナウィルスを災害と位置付ける考え方】
    災害指定は補償問題等が起こり政府は嫌がりますが準災害といって良いと思います。
    コロナウィルス感染症蔓延は災害、災害対策基本法
    下記「」内は東洋経済から抜粋してます。
    「自衛隊法第83条第1項では 天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる」「その他の災害が新型コロナウィルスに該当」という考え方が出来ます。
    「全国弁護士会災害復興の支援に関する規程」では、災害とは何かについて「感染症のまん延」を含めている。」とあります。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。ラズベリーさんのご意見は、日本では新型コロナの死亡者数がインフルエンザよりも少ないので第2類感染症→第5類感染症に変更するのがいいというお考えです。第2類感染症に指定されているので病院が「感染症指定医療機関」に限定され負担が大きくなっています。私の知っている医師の間でもこの指定を変えるべきだという意見があります。PCR陽性だけが報道されています。何度も私が繰り返しているように不顕性感染がかなりあります。抗体を持った人が増えると感染も終息してくると(私は)予測しています。

  4. ラズベリー より:

    本間先生ありがとうございます。
    日本は予防と言いながら保険診療もほぼ無かったように思います。疫学も統計学も力入れていなくて保健師もあまりいなくて削減してPCR検査の件数も抑制してました。
    世の中、3通り位は考え方があるのかなっと思っています。
    ①感染者数がこんなに増えてるのだからこれからもっと死者は増えるはず説。②BCGワクチン接種している日本は70歳以下は免疫獲得している(亡くなる方は高齢者や呼吸器疾患等ある方)
    ③コロナ騒ぎの1月頃に既に中国の観光客等から既に感染して免疫がついている説
    私は、②と③だと思っています。
    第4類と第5類感染症を見ていくうちにインフルエンザとありました。インフルエンザの死者数が3000人。コロナの死者数はそこまでではないとなると第5類感染症で通常の感染症対策で良いのではないかと思いまして(インフルエンザでも届出と通常の感染症対策は要)
    まだ、アメリカのように死ぬ説を考えている方々もいます。しかし、このままでは待っているのは医療物資も満足にない中、【軽症の陽性患者数】が増えホテルもしだいに満員で無くなり【感染症対応病院の院内感染による人手不足による崩壊】と【経済死】だと思いましたので思いっきりって安倍総理が陽性の患者は増えてますが死者数は増加はあまり見られませんので第5類感染症に変更しますと宣言すれば少しずつ【経済】が動き出すと思いました。
    スウェーデンのようにそのままとは言いませんが多少、参考になると感じました。
    スウェーデンのように自粛だけで集団免疫を目指している国もあります。

    スウェーデン個人尊重、自主性、集団免疫目指す

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    私も
    ②BCGワクチンを接種している日本は70歳以下は免疫獲得している(亡くなる方は高齢者や呼吸器疾患、免疫抑制等がある限られた方)
    ③コロナ騒ぎの1月頃に中国の観光客等から既に感染して免疫がついている説
    ②と③だと思っています。
    誰もが死ぬ病気ではないと思います。抗体検査をするべきです。

  5. なっちゅん より:

    お疲れ様です。
    頭痛のため、休ませてください。

    本間先生のクリニックに
    お邪魔した夢を見ました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    お大事になさってください。夢でもいらしてくださりありがとうございました。

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