医学講座

青葉容疑者、死亡率95%超だった…

 今日は2020年5月28日(木)です。
 今日のYahoo!ニュースに、
 京都アニメの犯人が受けた熱傷治療について
 読売新聞の記事が掲載されていました。
 救命された先生は、
 ほんとうに大変だったことと思います。
 コロナで救命救急センターが大変な今だったら、
 救命できなかった可能性もあります。
      ■         ■
 2020年5月28日、Yahoo!ニュースです。
 青葉容疑者、死亡率95%超だった
 懸命に治療した医師君も罪に向き合って
 世界中のアニメファンらに衝撃を与えた京都アニメーション放火殺人事件で、京都府警は27日、全身やけどで一時は瀕死の状態だった青葉真司容疑者(42)の逮捕に踏み切った。発生から10か月余り。殺人事件としては平成以降、最多の36人が犠牲となった事件の取り調べは、異例ずくめの形で始まった。
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 「青葉容疑者の治療に力を尽くしたのは、被害者と真相解明のためだ。罪に向き合ってほしい」。近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)で約4か月、治療にあたった医師の一人が読売新聞の取材に経緯を語った。
 熱傷患者の専門治療ができる同病院に、容疑者がヘリで搬送されてきたのは事件2日後の昨年7月20日。やけどは全身の9割超に及び、最初に搬送された京都市内の病院では手に負えなかった。当時の症状から計算した死亡率は「95%超」。医師は「救命は難しいかもしれない」と感じた。
 実施したのは「自家培養皮膚移植」と呼ばれる治療法だった。焼けずに残った部分の皮膚の細胞を培養で増やしてシート状にし、やけどした部分に移植する。培養に3~4週間かかるため、この間の全身管理が難しい。皮膚の機能がなくなると体内の水分が失われるほか、感染症にかかりやすく、死亡リスクもある。
 青葉容疑者は、事件時に身に着けていたかばんのひもの下や、足の付け根などに、わずかに正常な皮膚が残っていた。数センチ角の皮膚を切り取り、専門の業者に頼んで細胞を培養。その間、やけどの激しい部分の皮膚を取り除いては、動物のコラーゲンでできた「人工真皮」を貼り付ける手術を繰り返した。
 8月中旬に1回目の培養皮膚移植を実施。体の表面の20%程度が覆われると、血圧など全身状態が徐々に改善した。3回目の移植で救命のめどが立ち、移植は9月中旬、5回目で終わった。10月上旬には呼吸管理のための管を抜き、会話もできるようになった。
 青葉容疑者は現在のさいたま市で生まれ、定時制高校を卒業後はアルバイトを転々とした。21歳の頃に父親が職を失って自殺後、窃盗事件やコンビニ強盗事件を起こしていた。
 服役中は刑務官に繰り返し暴言を吐いたり、騒いだりし、精神疾患と診断された。出所後は、生活保護を受給しながら、さいたま市のアパートで暮らしていたが、音楽を大音量で流すなどの奇行が目立ち、住民とトラブルにもなっていた。
 青葉容疑者は近大病院でのリハビリ中、「意味がない」「どうせ死刑だから」「(自分は)意味のない命」などと投げやりな態度を見せた。食べ物の好き嫌いも激しく、病院食を拒むことも多かった。
 しかし、この医師が「私たちは懸命に治療した。君も罪に向き合いなさい」と繰り返し諭し、リハビリをさせると、次第に態度の変化も見られた。
 昨年11月の転院時、青葉容疑者は医師に「他人の私を、全力で治そうとする人がいるとは思わなかった」と漏らしたという。
 読売新聞オンライン 5/28(木)7:30配信

(写真:読売新聞)

関西テレビ 5/27(水)配信
(以上、Yahoo!ニュースより引用)

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 私はJA帯広厚生病院に勤務していた時に、
 帯広刑務所の受刑者を手術したことがありました
 献身的に看護をしてくれたのは、
 東5病棟の看護師さんたちでした
 青葉容疑者の看護を担当した看護師さんが、
 容疑者の心を開いたと書いた記事もありました。
 熱傷患者の看護は想像以上に大変です。
 治療を担当された先生と看護師さんに敬意を表します。

“青葉容疑者、死亡率95%超だった…”へのコメント

  1. なっちゅん より:

    真相解明とは言え
    心を込めた治療や看護は
    私ならなかなか難しいと思います。

    治療を担当された先生と看護師さん、
    本当に素晴らしいです。
    ひねくれた犯人の心を変えるなんて……

    罪を償って欲しいです。

    死亡率95%超なのに救えたのですね。
    日本の医療の高さをあらためて思い知りました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。治療を担当された先生たちは大変なご苦労をなさったと思います。おそらく世界初の救命です。相手が京都アニメの犯人でも心をこめて治療にあったたと思います。脱帽です。

  2. メガネ より:

    この近大の先生の言葉が忘れられません。
    様々な葛藤を横に置き、あるいは飲み込んで、熱傷治療のプロとして目の前のひとりの重症患者の治療に力を尽くされた。
    重症熱傷治療の大変さについては本間先生がこれまで何度もブログで説明してくれていました。とてつもない医療資源が投入されると。疲弊してしまうと。
    この問題、とても私には評論家めいたことは申せません。
    この件で加害者、そしてもちろん大勢の被害者の重度熱傷治療にご尽力されました医療スタッフの皆さま、本当にありがとうございます、というおもいです。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。日本熱傷学会で近畿大学で治療を担当された先生のご発表をお聞きしたことがあります。素晴らしい先生です。看護師さんもすごいと思います。今は毎日コロナの患者さんを救命していらっしゃることと思います。

  3. えりー より:

    何人もの命に対して凄惨な
    罪を犯した人に対して行う最高の治療は
    医療従事者の方にとって苦悩と葛藤だと
    思います。生存させて真実を明らかにし
    ご遺族の気持ちや今後このような事件が
    起きないように治療してくださる、
    お医者さま、看護師さんはすばらしい
    人間力だと思いました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。葛藤はあったと想像します。それでも目の前の患者さんを毎日懸命に処置をされ救命されました。先生も看護師さんも素晴らしいです。医師だけでは熱傷治療はできません。

  4. さくらんぼ より:

    治療された医療関係者に敬意を表します。私なら絶対できません。亡くなられた方々のことを思えば悔しいです。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。さくらんぼさんのお気持ちはうちの奥さんと同じです。実際に救命救急センターに搬送された患者さんを目の前にすると、たとえ犯人でも懸命に治療するのが医療スタッフだと(私は)思います。

  5. 荊棘の実 より:

    札幌美容形成外科 院長 本間賢一先生 御侍史
    偶然HPを拝見しました。

    賛否あるかとは思いますが
    我々は職務を果たす義務があり、それを担いました。
    関わったスタッフ全員が究極の精神状態で従事していたと記憶しています。そのような状態であったチームに対し、先生のように労いの言葉をかけていただくことは、励みになります。取り上げていただいてありがとうございました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。熱傷医療を経験した者でなければ毎日の大変な処置はわかりません。何日も泊まり込みになったと思います。私でしたら救命できませんでした。これからの熱傷治療に大きな進歩となりました。ほんとうに素晴らしい治療です。敬意を表します。

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