医学講座

第28回日本形成外科学会基礎学術集会(仙台)③

 有意義だった第28回日本形成外科学会基礎学術集会が終わりました。
 仙台空港から札幌に戻るところです。
 新千歳空港が雪のためか?飛行機が65分遅れています。
 臨床に直結した基礎学術集会は勉強になりました。
 今回の学会で一番印象に残ったのが、
 Surgeon-scientistを目指して
 荒井陽一先生(宮城県立がんセンター総長)

 …の特別講演でした。
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 学会長の館教授が、
 会長挨拶で次のように書かれています。
 今回のテーマは、「Surgeon-scientistを目指して」とし、臨床をアクティブに行いながらリサーチマインドを持った将来の形成外科医の姿が見えるような学術集会となるよう企画いたしました。Surgeon-scientistを目指すというテーマ通り、できるだけ臨床に直結した研究を取り上げる予定です。
 特別講演は宮城県がんセンター総長の荒井陽一東北大学名誉教授にお願いしております。荒井先生は前立腺癌が御専門で、だれも手術を考えなかった時代から一貫して取り組まれ、安全な手術療法を確立された、いわばSurgeon-scientistを実践された先達でございます。

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 Surgeon-scientist
 難しい英語です。
 日本語に訳すと、
 科学に根ざした外科医でしょうか?
 科学的な根拠に基づいて、
 常に新しい視点でものを追及する外科医の姿が、
 日本形成外科学会基礎学術集会にふさわしい講演でした。
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 荒井陽一先生は泌尿器科医です。
 2019年3月まで東北大学泌尿器科教授でした。
 京都大学医学部をご卒業後、
 卒後2年目で、
 京都府の公立豊岡病院へ、
 地域で唯一の泌尿器科医として赴任を命じられました。
 一人しかいないので、
 とにかく何でも診て手術もしなくてはいけません。
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 荒井先生は当時珍しかった前立腺癌の手術を、
 弘前の日本泌尿器科学会で講演された、
 米国のMyer先生から特別に個人レッスンを受けて教えていただき、
 公立豊岡病院で一人で前立腺癌の手術をなさったそうです。
 手術がお上手だったので、
 無事に癌の手術は終わり成功しました。
 すばらしいことです。
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 ところが、
 80歳の男性患者さんは、
 手術が成功したのに、
 喜んでくれなかったんだそうです。
 実は80歳の男性患者さんには、
 若いパートナーがいらして、
 手術後に性機能不全となったことで、
 とても怒っていらっしゃいました。
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 当時は前立腺癌が治るだけでもラッキーでした。
 80歳の男性に、
 まさか若いパートナーがいるとは、、、
 それから荒井先生は、
 前立腺癌の手術で、
 いかに男性の性機能の温存するかを研究されました。
 米国に留学され、
 世界最先端の手術を見学され勉強されました。
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 今ではロボット手術で、
 前立腺癌の手術でも性機能は温存できるそうですが、
 荒井先生のご研究で、
 勃起や射精に関係する神経が、
 どこにあるかよくわかるようになりました。
 性機能を温存できる手術は、
 術後の尿漏れも少なく、
 安心して手術を受けられるようになりました。
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 80歳の男性にパートナーがいるのもすごいですが、
 患者さんの不満足から研究をはじめられ、
 世界中に役に立つ知見を得られらことはすばらしいです。
 私がもし前立腺癌になったら、
 性機能は諦めても、
 尿漏れにはなりたくありません。
 荒井先生のような先生に手術をしていただきたいと思いました。
 Surgeon-scientist
 科学に根ざした外科医はいいです。

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