医療問題
医療事故と航空機事故
2008年8月9日に、
美容外科価格破壊の弊害
という日記を書きました。
私が申し上げたいのは、
医療の分野に
あまり価格競争とか
市場原理を働かせ過ぎると、
‘安全’という、
医療にとって一番大切な、
医療の根幹が脅かされるという危険性です。
■ ■
飛行機と同じです。
絶対に落ちないという‘保証’はありません。
医療も…
絶対に安全
絶対に何もない
という保証はありません。
何かあった時に
冷静に…
的確に…
対処できる能力、設備、人脈が必要なのが、
医療業界の難しさです。
■ ■
航空機事故は一度に大量の人命が失われます。
航空機事故調査委員会で、
事故原因が詳細に調査され、
安全運行の指針となります。
残念ながら…
医療事故については、
このシステムは生かされていません。
大部分の死亡事故は、
報道されていません。
私たちにも伝えられません。
■ ■
私たちは…
口伝えに…
『○○美容外科でこんな事故があったそうだ』
『○○先生が辞められたのは…』
『サクション(脂肪吸引のこと)で…』
『亡くなったからだって…』
と聞くだけです。
同じような事故を…
自分も起こす可能性があります。
■ ■
『そんな事故は下手な先生がするからだ』
と考える‘先生’は、
そのうち自分も事故を起こします。
過渡期の医療過誤防止システムという日記を、
2009年5月7日に書いています。
偏差値が高くて、
優秀な成績で有名国立大学医学部へ入学し、
一発で医師国家試験に合格した‘先生’でも、
一瞬にして医療事故を起こします。
卒業した大学とか…
成績とかは…
関係なく医療事故が起こります。
■ ■
私たちはフールです。
ミスを犯す生きものです。
学会でも…
『私はこんな失敗をしました…』
なんて発表はしません。
医局制度があった頃は…
あの先生でも…
こんなことがあった…と
先輩から口伝えに教えられたものです。
■ ■
経験を積んだ医師が上手なのは…
自分や
他人の
失敗からたくさん学んだだけです。
私も同じです。
偉そうなことは言えません。
自分も同じ事故を起こす可能性がある、
という認識をして、
真摯(しんし)に聴く耳を持つことが、
一番大切だと思います。
(2009年5月7日の繰り返しです)