医療問題

医療事故と航空機事故

 2008年8月9日に、
 美容外科価格破壊の弊害
 という日記を書きました。
 私が申し上げたいのは、
 医療の分野に
 あまり価格競争とか
 市場原理を働かせ過ぎると、
 ‘安全’という、
 医療にとって一番大切な、
 医療の根幹が脅かされるという危険性です。
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 飛行機と同じです。
 絶対に落ちないという‘保証’はありません。
 医療も…
 絶対に安全
 絶対に何もない
 という保証はありません。
 何かあった時に
 冷静に…
 的確に…
 対処できる能力、設備、人脈が必要なのが、
 医療業界の難しさです。
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 航空機事故は一度に大量の人命が失われます。
 航空機事故調査委員会で、
 事故原因が詳細に調査され、
 安全運行の指針となります。
 残念ながら…
 医療事故については、
 このシステムは生かされていません。
 大部分の死亡事故は、
 報道されていません
 私たちにも伝えられません。
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 私たちは…
 口伝えに…
 『○○美容外科でこんな事故があったそうだ』
 『○○先生が辞められたのは…』
 『サクション(脂肪吸引のこと)で…』
 『亡くなったからだって…』
 と聞くだけです。
 同じような事故を…
 自分も起こす可能性があります。
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 『そんな事故は下手な先生がするからだ』
 と考える‘先生’は、
 そのうち自分も事故を起こします。
 過渡期の医療過誤防止システムという日記を、
 2009年5月7日に書いています。
 偏差値が高くて、
 優秀な成績で有名国立大学医学部へ入学し、
 一発で医師国家試験に合格した‘先生’でも、
 一瞬にして医療事故を起こします。
 卒業した大学とか…
 成績とかは…
 関係なく医療事故が起こります。
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 私たちはフールです。
 ミスを犯す生きものです。
 学会でも…
 『私はこんな失敗をしました…』
 なんて発表はしません。
 医局制度があった頃は…
 あの先生でも…
 こんなことがあった…と
 先輩から口伝えに教えられたものです。
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 経験を積んだ医師が上手なのは…
 自分や
 他人の
 失敗からたくさん学んだだけです。
 私も同じです。
 偉そうなことは言えません。
 自分も同じ事故を起こす可能性がある、
 という認識をして、
 真摯(しんし)に聴く耳を持つことが、
 一番大切だと思います。
 (2009年5月7日の繰り返しです)

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