医学講座
脂肪吸引の手術
脂肪吸引という言葉は、
女子中学生でも知っています。
この脂肪吸引を、
正規授業で教えている…
医学部、医科大学、
看護学部、看護学校は
おそらく日本のどこにもないと思います。
形成外科専門医の試験にも…
出るか出ないか…?
脂肪吸引の手術ができなくても…
形成外科専門医になれます。
■ ■
私がはじめて脂肪吸引手術をしたのは、
変形した顔に、
脂肪注入の手術をするためでした。
形成外科医になって…
10年以上たってからでした。
脂肪吸引で細くするためではなく…
注入する脂肪を採取するために…
脂肪吸引手術をしました。
■ ■
手術手技自体は、
難しい手術ではありません。
脂肪吸引の器械があれば、
比較的初心者の先生にもできます。
ただ…
キレイにするのは難しいですし…
デコボコがなく、
ほっそりスマートにするのは、
かなりの技術を要します。
■ ■
美容外科手術で一番事故が多いのも、
脂肪吸引手術です。
脂肪吸引→死亡吸引とも言われます。
脂肪吸引の手術で事故になる原因は、
麻酔関連のトラブルによるもの。
脂肪の取りすぎによるもの。
手術時の感染によるものなどです。
以前にご紹介したトラブルは、
感染症によるものです。
■ ■
なぜ脂肪吸引でトラブルが発生するかというと…
取りすぎるからです。
日本美容外科学会などで報告されるトラブル症例は、
多くは…
ガッツリ取ります!
根こそぎ脂肪吸引
などと宣伝しているクリニックです。
下手な先生が根こそぎ取って、
デコボコになったケースは、
どんな名医でも修復不能となります。
■ ■
女性の身体は、
適度な皮下脂肪があって…
適度な丸みを帯びているので…
美しいのです。
私に脂肪吸引を指導してくれた恩師は、
取りすぎはダメ。
足りなければまた取れるが、
取った脂肪は戻せない。
と教えてくださいました。
■ ■
今回の品川美容外科での事故は、
腹部の脂肪吸引で1時間の手術。
1時間の休息後に徒歩で帰宅された…
と報道されています。
脂肪を取りすぎたとも思えませんし、
手術後に徒歩で帰宅されていることから、
手術中に…
重大なトラブルが発生したとも考えられません。
もし手術で腸管に損傷が起きれば、
歩いては帰れないというのが…
外科医の常識です。
亡くなられた前田京様のご冥福をお祈りいたします。
札幌美容形成外科で使用している脂肪吸引器
予備のため2台用意しています