医学講座
目の上のくぼみ②
膠原病(こうげんびょう)とか、
自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)は、
内科の病気です。
皮膚に症状が出ることもあります。
皮膚は皮膚科で治療をします。
女性に多い病気で、
20歳台の…
人生で一番キレイな時期に、
発症することがあります。
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とてもまれな症状ですが、
顔の形が変わることがあります。
頬の脂肪が減ってしまったり…
瞼(まぶた)の脂肪が減ることがあります。
少しずつ症状が進行します。
一番の治療は、
内科で原疾患(もとの病気)を治すことです。
強い薬を使ったり…
入院して治療することもあります。
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患者さんはとても心配です。
病気そのものに対する不安。
自分の顔がどうなってしまうの…?
という不安が、
病気の不安よりも…
強いことすらあります。
顔は女の命です。
はじめて、
内科の先生から相談を受けたのは、
市立札幌病院に勤務していた時でした。
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元市立札幌病院免疫血液内科部長で、
現在はこうの内科を
開業していらっしゃる、
河野通史(こうの_みちふみ)先生。
ご専門は、
膠原病
リウマチ
アレルギー免疫疾患
血液疾患など
私が最も信頼する内科医の一人です。
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河野先生は
日本内科学会(総合内科専門医・北海道地方会評議員)
日本リウマチ学会(専門医・評議員)
日本アレルギー学会(専門医)
日本血液学会(専門医・代議員)
日本臨床免疫学会(評議員)
日本臨床リウマチ学会(評議員)
北海道膠原病談話会世話人
という素晴らしいご経歴で、
現在も円山公園の近くでご活躍中です。
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河野先生から、
本間先生
内科的には落ち着いていて
病状も安定している患者さんが
目の上のくぼみを治したい
…っていうご希望なんだけれど…
形成外科で何とかできますか…?
とご相談を受けたのが20年前でした。
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形成外科では、
事故で残ったキズを治したり…
がんの手術後に変形した顔は、
何度も治していました。
内科的な病気で、
組織移植をしても…
また元に戻るのでは…?
という不安がありました。
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私は文献を調べたり、
北大形成外科の先輩に相談をして、
こうの先生にご紹介いただいた、
患者さんを手術しました。
手術してもまた悪くなるのでは…?
という不安があったので、
片目ずつ手術をしました。
症状が重かった…
左目から手術をした記憶があります。
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私の心配は杞憂(きゆう)でした。
手術した目はとても快くなり、
患者さんが…
早く反対の目もしたい!
と希望されるほどでした。
病気になって諦めていた目が治って…
お化粧もできるようになって…
患者さんの表情がとても明るくなりました。
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反対の目も手術をして、
その後、数年間経過観察をしました。
移植した組織は吸収されることもなく、
とても良好な経過でした。
内科的な治療がよかったこともありました。
内科の病気が治ったのではなく、
寛解(かんかい)という状態でした。
目のくぼみが治っただけで、
こんなに喜んでいただけるのだと…
今でもよく覚えています。