医学講座
第54回日本形成外科学会(徳島)⑦
今年の学会運営は、
ほんとうに大変だったと思います。
震災で招待講演のキャンセル。
懇親会の中止→返金。
会長の中西秀樹先生や、
事務局長の橋本一郎先生に、
心から感謝いたします。
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今年の学会で感じたことを書きます。
bFGF(ベーシック・エフ・ジー・エフ)という薬があります。
商品名をフィブラストスプレーといいます。
やけどや、
キズの治りを、
劇的に改善する薬です。
日本の科研製薬が販売しています。
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このフィブラストスプレーを、
若返りの治療に使う発表が増えています。
自分の血液から取り出した成分に、
bFGFを混ぜて使う治療や、
bFGFを薄めて使う治療です。
劇的に改善した例があります。
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子どものやけど治療に使うと、
今までの治療にない効果が得られます。
痕(あと)が残りそうなやけどでも、
キレイに治ることがあります。
やけどに使った発表や論文は、
たくさん出ています。
エビデンス(根拠)もあります。
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私も、子どものやけどに承認が下りたら、
是非使いたいと思います。
残念なことに、
このフィブラストスプレーは、
やけどに使うことは、
正式に認められていません。
厚生労働省の認可がないからです。
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まして、
美容目的に使うことは、
認められていません。
美容目的で、
皮膚に注射して使うことは、
厚生労働省はもちろん、
メーカーも認めていません。
添付文書にも書いてあります。
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私は、
この薬で、
もし万一副作用が出たら…
訴訟になったら…
大変なことになると懸念しています。
美容医療に使う薬は、
100%安全でなくてはいけません。
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確かに効果はあります。
将来、
bFGFが美容医療の主流になるかもしれません。
私は…
臆病者なので…
形成外科学会や、
美容外科学会で、
おおやけに論文として、
エビデンスが出るまでは使いません。