医学講座
形成外科の進歩⑤【乳房再建】
田中好子さんが、
55歳の若さで亡くなったことは、
とても残念です。
幅広い世代の人から、
愛されていた女優さんだと、
あらためて思いました。
心からご冥福をお祈りしています。
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皮弁や筋皮弁の進歩とともに、
乳房再建は進歩しました。
30年前と比べると、
夢のような世界になりました。
乳房再建は、
米国で発展しました。
それを日本で改良して…
より良いものにしています。
■ ■
北大形成外科で乳房再建を担当されたのが、
野平久仁彦先生です。
米国留学から帰国されて…
室蘭の日鋼記念病院で、
素晴らしいおっぱいを作りました。
野平先生の後輩が、
北大形成外科の山本有平教授です。
■ ■
山本有平教授も、
米国留学でたくさんの技術を習得され、
英文論文も多数書かれました。
野平先生も、
山本教授も、
乳房再建がお上手です。
筑波大学へ行かれた、
関堂教授も乳房再建がお上手です。
■ ■
大学の形成外科で行う乳房再建は、
皮弁(ひべん)という…
自家組織を使う方法が大多数です。
乳房インプラントなど人工物を使う方法は、
保険外診療になるため、
大学病院では難しいことがあります。
厚生労働省が、
乳房インプラントを認可していないためです。
■ ■
30年前と比べると…
技術的には進歩しましたが、
実際に手術を受けることになると、
かなり不自由な部分があります。
たとえば…
乳輪を作るのは、
刺青が主流です。
この乳輪をつくる刺青には保険が効きません。
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乳癌でない側のおっぱいと、
形が合わなくなることもあります。
健側のおっぱいを手術しようとしても、
形をそろえる手術は自費になります。
乳房再建は、
形成外科医でも、
得意とする先生が限られる手術です。
できあがったおっぱいにも差があります。
ネットなどで調べて上手な先生を見つけてください。