昔の記憶

病室のボス

 私が医学生だった…
 30年以上前の話しです。
 患者の大先輩
 病室のボス
 とも言える患者さんがいらっしゃいました。
 胸部外科で、
 心臓手術を受けた人でした。
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 昨日の院長日記に書いた、
 手術なんてこわくない…
 手術室さ入ったら…
 点滴から薬入って…
 眠っちまったらわからねぇ…
 おしっこの管(くだ)は…
 次の日に看護師さんが抜いてくれる…
 注射器で水抜いて…
 引っ張ったら抜けておしまいだぁ…
 抜糸は痛くねぇ…
 ちょっとちくちくするだけ
      ■         ■
 この文章は、
 その時の光景を思い出して書きました。
 30年前の心臓手術は大手術。
 弁置換術(べんちかん)という、
 心臓の弁(べん)を、
 人工弁にする手術や、
 もっと難しい手術もありました。
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 私たち学生にも、
 おら…
 そこの学生さん… 
 …と親しげに話してくれました。
 胸の傷を勲章のように…
 私たちに見せてくれました。
 迫力がありました。
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 大きな手術を乗り越えて…
 また入院して手術。
 病室では、
 社会的地位も、
 貧富の差もありません。
 病気の先輩が、
 病室のボスでした。
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 病室のボスは、
 さる山のボスのように、
 面倒見のよいおじさんでした。
 その後どうされたかはわかりませんが、
 内科病棟とは、
 明らかに違う雰囲気がありました。
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 下の写真の前列右から二人目が、
 当時の小松作蔵胸部外科教授。
 そのお隣が、
 安倍十三夫助教授(後の教授)です。
 7人の医学生は、
 小児科2人、
 精神神経科1人、
 外科1人、
 胸部外科1人、
 脳神経外科1人、
 形成外科1人です。
 私はその病室のボスだった患者さんのおかげで、
 外科系が好きになったのかも知れません。

札幌医大6年生の臨床実習
胸部外科

成人の日から

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