医学講座
美容外科選びのポイント2013
今日は大晦日です。
2013年で私が一番嬉しかったことは、
週刊文春の病院情報ファイル2013で、
私の院長日記を紹介していただいたことです。
筆者の恵原真知子さんには、
以前にも取材していただいています。
医師以上に医療に詳しい方で、
とてもよく勉強していらっしゃいます。
■ ■
今年は、
美容外科選びに、
私の院長日記を紹介してくださいました。
毎日苦労して書いていても、
どなたが読んでくださるのか…?
どんな反響があるかもわかりません。
ネット時代には、
正しい情報もあれば、
間違った情報もあります。
素人には判断できないこともあります。
■ ■
毎日書いていると、
いいこともあるものです。
テストで100点をいただいた気分です。
これを励みに来年もがんばります。
恵原さんありがとうございました。
週刊文春、平成25年11月7日号です。
病院情報ファイル2013
医療ユーザー編
美容外科の選び方
再生医療の導入、切らない治療法なども次々登場。
医師の技術や美感が響く分野。
取材・構成恵原真知子
容姿のコンプレックス解消やアンチエイジング目的に、美容整形治療を考えたことはおありだろうか。
美容外科は形成外科を母体とする外科の一分野であり、この十数年の外科の進歩に相侯って、メスを使わない治療や使用機材、注入物質、あるいはモニター上で仕上がりを検討できる技術の開発などもあり、努力すれば満足度の高い治療を選択しやすくなってきた。
醜形恐怖症(赤面恐怖症などと同種の心の病気)に陥って積極性を損なうくらいなら、原因部分を改善解消することも一案だろう。
さてその診療内容だが、薄毛や目鼻立ちの改善、刺青を消す、妊娠線や肉割れを消す、黒子を取る、しわ・しみ・たるみの軽減、顔の輪郭修正、乳房を大きく・小さくする、陥没乳頭、脚を細くする……と多岐に渡る。
治療を受けたい人は、まず目的の治療について、ネット検索により情報を集めよう。そこで、隠れた疾患がある可能性があれば、先に適切な診療科の受診を優先するべきだ。例えば眼瞼下垂などは、先に眼瞼診療を得意とする眼科医に相談したほうがよい。また、陥没乳頭は授乳障害を来すので、美容外科でも健保扱いがあれば保険が適用されるが、自由診療のみの施設では使えない。先に乳腺外科や形成外科、一般外科で相談を。
ともかく美容外科を目指すような問題は、治療の遅れが生命に響く心配もなく、あくまでも生活の質の向上に向けた治療で、時間的にも余裕がある。しかも大部分がほぼ100%保険外の自己負担だ。治療後に不満なく満足度の高い治療に辿り着く、賢い選択に力を尽くそう。プチ整形などの軽い言葉に惑わされず、慎重に。
治療費相場は比較して把握
美容外科の仕事は患者をきれいに変えることだが、安全性や確実性が重要なのは一般外科と変わらず、医療の基本だ。ところが数年前、一種の美容整形ともいえる近視手術において多数の感染被害が発生した。激戦区の大都市で値下げ競争の果てに、衛生管理や消毒等に不備が生じたためだ。
安すぎる治療費や割引の誇大広告を掲げる施設(ポイント付与や紹介に対する謝礼的割引など)は要注意!
日本の保険診療における技術評価は、ピンからキリまであるはずの医師の技量にかかわらず一律で、かつ全般的に低く、ゼロといってよい。しかも手術の不具合により追加治療が生じても健保は適用され、病院にとっては下手な医師のほうが利益を上げるといった珍現象も起きうる。美容外科は、そうした矛盾に縛られず、医師の専門性を発揮できる世界だが、最近では救急など様々な外科で技術を習得し、きれいに治すことに腕を振るおうと美容外科を目指す医師も少なくない。治療費は技術に対する自信の表明という一面もあるので、HPの医師略歴や治療の考え方なども熟読を。
格差は医師の腕だけでなく、再生医療の導入や、「大きく・高く」する治療の注入物にも表れる。例えば豊胸手術に異物であるシリコンを使わず自分の脂肪に幹細胞を加えて使うなどの先進的な医療も数年前から一部施設で行われている。また、メスなしの隆鼻治療も注入物が色々ある。医師はすべての治療法を説明するよりは、自分が得意で施設で採用しているものを勧める。数十施設のHPから治療法を探し、吟味のうえ目指す医師へ。なお札幌美容形成外科のHP内の「院長の日記」は八年に及ぶ日記で、治療法の解説や変遷、美容外科医の情報などが書かれていて参考になるところ大。学会HPとともに拾い読みだけでもぜひ!
美容外科選びのポイント
・日本形成外科学会専門医か日本美容外科学会専門医である
・総合病院形成外科等で数年以上の勤務経験がある
・HPに略歴や治療実績を開示し、治療法の解説などにも熱心である
・治療費は多様な情報から相場を把握したうえで、診療の特色や得意分野の明記(範囲が広いので万能ではあリ得ないから)と比較してみる
・できれば一般診療科の同世代医師や看護師に評価を尋ねてみる