医学講座

手術は教科書通りにうまくいかない

 今日から8月です。
 早いものです。
 札幌も暑い日が続いています。
 たくさんの方に、
 私のつたない院長日記を読んでいただき、
 感謝しています
 少しでもお役に立てるうちに、
 若い先生のために、
 じいちゃん先生からのアドバイスを書いておきます。
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 私は形成外科のことしかわかりません。
 他科のことはわかりません。
 形成外科の若い先生へのアドバイスです。
 タイトルの通り、
 手術は、
 教科書やテキスト通りにはうまくできません。
 学会で見たからといって、
 その通りにはできません。
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 著者の先生を誹謗中傷するのではありません。
 先輩としての忠告です。
 大手医学専門書出版から出る教科書。
 シリーズで出るテキスト。
 いろいろな形態があります。
 形成外科について言うと…
 多くは分担執筆(ぶんたんしっぴつ)という、
 何人かの先生の共同作業です。
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 私のところには来ませんが、
 出版社から執筆依頼が来ることがあります。
 その分野で高名な先生に依頼がきます。
 当然、期限も文字制限もあります。
 忙しい先生が、
 教科書を執筆するのは大変です。
 症例写真を使うにも患者さんの許可が必要です。
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 出版社も生活がかかっています。
 専門書は購読者が限られています。
 やはり売れない本は出版できません
 多くの先生は、
 学会会場や本屋さんで、
 実際に本を見て購入します
 ぱっと本を開いた瞬間に、
 きれいな症例写真が出ていると買う気になります
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 その本に書いてあるように手術をすると、
 自分でもできるような錯覚に陥ります
 でもちょっと考えてください。
 教科書に出ている症例写真は、
 ベテランの先生が手術をなさった
 いちばんいい症例です。
 いちばん悪い症例は載せません。
 患者さんから掲載許可もいただけません。
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 ベテランの先生ですら、
 すべての症例が100%うまくいくとは限りません。
 いちばんいい症例の裏には、
 いちばん悪い症例があります。
 私にしても同じことです。
 不満足な結果もあります
 患者さんからクレームが出ることもあります
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 大切なのは、
 いちばん悪い症例の患者さんに、
 どう対処して、
 どう修正手術をして
 少しでも、
 いちばんいい症例に近づけるか?
 その過程です。
 文字制限がある教科書でなかなか全部を書くことはできません。
 手術は教科書通りにいかない
 …ということを覚えておいてください。

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