医学講座

小児救急、適切な対応のために

 平成28年9月7日、朝日新聞朝刊(北海道版)の記事です。
 けんこう処方箋小児救急、適切な対応のために 高橋 豊/北海道
 お子さんが夜間高熱を出してぐったりしたら、オロオロして救急車を呼ぶ。医療知識がない一般の方であれば無理からぬことと思う。
 私たちは可能な限り小児救急患者に対応したいと考えている。かかりつけの患者さんはもちろん、市の小児二次救急当番を最も多く担当し、小児内科の病気は断らずに受け入れている。昨年度の小児救急搬送は600件を超え、道内最多である。
 救急は医療の原点であり、医療に関わるものは誰もが適切に対応したいという「思い」を持っていたはずである。一時期、それに水を差すような事例・報道が相次ぎ、救急には手を出さない方が安全といった風潮もあったように思う。私たちは常にその「思い」を失わずにいたいと考えている。
 ただ最近、救急を担当するスタッフの負担が増している印象がある。8月初めの休日に小児二次救急当番を当小児センターが担当したが、夕刻から翌朝まで14件の救急搬送があり、1時間に5件が集中した時間帯もあった。経験豊富なスタッフが担当したのでなんとか対応できたが、担当医は一睡もできなかった。
 夜間2時過ぎに下痢・発熱で搬送されたお子さんは、前夜も他の病院に救急搬送されて点滴処置を受けており、当院でも同様の処置を受けて帰宅された。翌日、保護者の方から、担当した医師の対応がぶっきらぼうだったので医療費は払いたくないとの電話をいただいている。報われないことも多い仕事ではある。
 その患者さんの救急車利用が適切か否かの判定は保留するとしても、その日の救急搬送の3分の1は不要と考えられたので、それがなければもう少し優しく対応してあげられたかもしれない。
 冒頭の高熱の患者さんは、解熱剤を使用して元気になれば救急車を呼ぶ必要はない。小児科学会では「こどもの救急(ONLINE―QQ)」というウェブサイトを運営していて、発熱、けいれん、嘔吐(おうと)、泣きやまないといった19の症状についてチェックリストを作成している。画面でチェックすることで、すぐに病院に行くべきか、家で様子をみてもよいか、また受診が必要としても救急車を呼ぶべきか、自家用車やタクシーで良いかといった判断もしてくれて便利だ。
 日頃からそのようなサイトを登録して利用できるようにしていただけると、救急を担当する者の負担が少し軽減するものと思う。
 (KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊)
20160907 

<イラスト・佐藤博美>(以上、朝日新聞より引用)

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 高橋豊先生のけんこう処方箋は、
 北海道以外の方にもぜひ読んでいただきたい、
 とても内容が充実したコラムです
 私は、
 恥ずかしながら、
 こどもの救急(ONLINE―QQ)というウェブサイトを知りませんでした。
 自分に関係がある、 
 やけどを見てみました
 選択肢をチェックすると適切な回答が出ました。
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 高橋先生が書かれているように、
 8月初めの休日に小児二次救急当番を当小児センターが担当したが、
 夕刻から翌朝まで14件の救急搬送があり、
 1時間に5件が集中した時間帯もあった。
 経験豊富なスタッフが担当したのでなんとか対応できたが、
 担当医は一睡もできなかった

 救急当番にあたると一睡もできないことがあります。
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 多くの医師は、
 病棟に担当の入院患者さんがいて、
 救急当直の翌日も外来勤務をします。
 人手不足なので、
 当直明けの休みはまずもらえません。
 病院という名のブラック企業と呼ばれても、
 仕方がない病院ががあります。
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 小児科医になる先生は、
 子供好きで優しい先生が多いです。
 私の子供が病気になった時も心配しました。
 函館の想い出③という、
 2009年5月13日の院長日記に書いてあります。
 小児科の大先輩の先生から…
 なるべく子どもさんと遊んであげてください
 と助言をいただいたことがありました。
 長女が原因不明の高熱と、
 肝機能異常で、
 天使病院に入院した後で、
 小児科部長だった、
 南部春生(なんぶはるお)先生に
 お礼に伺った時でした。
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 長女の病名は伝染性単核球症でした。
 かかりつけの小児科で点滴をしても治らず…
 血液検査で異常が見つかったので…
 大きな病院に入院して治療…
 と言われて…
 家内はパニックになって電話をしてきました。
 ちょうど長女が一歳頃で、
 私が形成外科メモリアル病院に
 勤務していた時でした。
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 これには面食らいました。
 肝機能の数値も3桁になっていて、
 どうしたの…?
 とにかく天使病院だったら安心だから…
 程度しか私にも言えませんでした。
 一歳頃は、
 母体からの免疫が薄れてきて…
 いろいろな病気で熱を出します。
 伝染性単核球症は、
 わかってしまえば怖くない病気です。
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 当時の天使病院は、
 子どもでも親の付き添いは無しでした。
 結局、一週間の入院で無事に治りましたが…
 診断がつくまでは心配でした。
 考えなくてもよいような、
 最悪の病名まで頭に浮かびました。
 なるべく子どもさんと遊んであげてください
 という南部先生のお言葉は、
 当時はよくわかりませんでした。
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 仔犬と同じで、
 子どもは小さいうちが一番可愛いのです。
 大きくなったら…
 どんなに遊ぼうと言っても…
 勝手に自分たちでどこかへ行ってしまい…
 親とは遊ばなくなります。
 そのうち、家にはいなくなります。
 自分たちもかつてそうだったことに…
 自分が親になって気付きました。
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 子供が熱を出したり、
 病気になるととても心配です。
 今日の朝日新聞朝刊に載っていた、
 こどもの救急(ONLINE―QQ)というウェブサイトを利用したり、
 札幌市の
 救急安心センターさっぽろ
 http://www.city.sapporo.jp/hokenjo/qq7199/
 札幌市で運営する24時間365日、
 市民からの救急医療相談に看護師が対応する電話による相談窓口
 「救急安心センターさっぽろ
 …を利用してください。
 短縮ダイアル#7119または011-272-7119(通話料がかかります)です。

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