医学講座
えらボトックス
廃用性萎縮はいようせいいしゅく
2007年12月17日の院長日記です。
ボトックスで小顔になる
2008年2月23日の院長日記です。
えらボトックスについて
マンガページの解説です。
咬筋こうきんという筋肉に、
ボトックスを注射する治療です。
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廃用性萎縮はいようせいいしゅくと読みます。
筋肉を使わないと、衰えておとろえて筋肉が細くなることです。
たとえば、足を骨折したとします。
骨折したら骨がくっつくまで、ギプスで固定して動けません。
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骨折の程度にもよりますが、
数週間ギプス固定をしていると確実に足が細くなります。
これは筋トレの逆です。
ボディビルまでしなくても、
筋トレをすると、筋肉がついて筋肉隆々になります。
使わないと、筋肉は衰えます。
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この廃用性萎縮を利用して小顔にするのがえらボトックスです。
硬いものを噛む癖のある人。
スポーツなどで奥歯を噛みしめる癖のある人。
噛み合わせが悪く、いつもどちらか片方で物を噛む人。
硬いものが好きで、いつでも噛んでいる人。
こういう人は知らず知らずのうちに、
咬筋という筋肉の筋トレをしていることになります。
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毎日まいにち、噛み続けていると、
噛む筋肉=咬筋こうきんがボディビルをしたように発達してしまいます。
耳の前に手を当てて、
奥歯をグッとかみしめてください。
骨の上で、ボコっと膨らんだのが咬筋です。
咬筋が発達していると、
どんなに体重を落として痩せても、
ホッペだけ小顔になりません。
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片方だけ、咬筋が発達してしまった病態びょうたいを
片側咬筋肥大症へんそくこうきんひだいしょうといいます。
大学病院に勤務していた時に、
口腔外科こうくうげかの先生と一緒に
咬筋を減らす手術をしたことがあります。
入院手術をしましたが、術後は逆に悪くなった?と思うほど腫れます。
手術で咬筋を取ると、腫れがとれるまでに数ヵ月はかかります。
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えらボトックスは、耳の前に少量の注射をするだけです。
ボトックスを注射すると、
神経から筋肉へ収縮しなさいという信号が伝わらなくなります。
信号が伝わらないので、
筋肉は筋トレをお休みします。
噛む力が弱くなりますので、
硬いものが食べたくなくなります。
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注射して、数週間もすると、
噛んでも筋肉がポコっと膨らまなくなります。
耳の前で膨らんでいた筋肉が薄くなると、
小顔になってきます。
えらボトックスが効くのは、
咬筋が発達している方だけです。
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ボトックスが効いているのは約6ヵ月間です。
ボトックスの効果が弱くなってきた時に、
また筋トレをすると、筋肉は発達してしまいます。
噛み合わせの異常など、
歯科的な問題がある方は、矯正歯科をご紹介しています。
外国では、ボトックス注射を歯ぎしりの治療として行うこともあるそうです。
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ボトックスを注射すると、数日で効果が出てきます。
笑いすぎてアゴが疲れたのと同じように、
アゴがだるくなります。
噛む力かむちからが弱くなります。
自分で柔らかいものを選んで食べるようになります。
食欲も少し落ちます。
食べたくなくなるそうです。
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日常生活では、特に不便なことはありません。
ただ、口を大きく横に開く『イー』っという表情ができにくくなります。
一番、『イー』ができにくくなるのが、注射後3ヵ月頃です。
ボトックスの効果が出て、筋肉が一番弱くなっている時期です。
モデルさんなど、
口を横に大きく開く必要がある職業の方は要注意です。
それ以外の方は、口も小さくなります。
ガミースマイルといって、
笑った時に歯茎はぐきが見えてしまう方には、効果的です。
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病的な咬筋肥大症でも、
残念なことにえらボトックス注射は保険適応になりません。
かみ合わせが原因となっていることもあります。
札幌美容形成外科では、
二期会歯科クリニックをご紹介しています。
咬筋肥大の方は、
まず歯科口腔外科で口の中を診てもらってください。
歯科で異常がなければ、
ボトックス注射を試してみる価値があります。