医学講座

電通、労基法違反容疑で立件視野_本支社一斉抜き打ち

 平成28年10月14日と15日の朝日新聞の記事です。
 WEB版から引用しています。
 死んでしまいたい電通の女性新入社員自殺
 2016年10月8日の院長日記、
 社内の飲み会の準備は仕事?
 2016年10月9日の院長日記の続きです。
 亡くなられた高橋まつりさんのご冥福を心からお祈りいたします。
      ■         ■
 電通に労働局が立ち入り_長時間労働、全社で常態化疑い
 広告大手、電通の女性新入社員(当時24)が昨年末に過労自殺し、労災認定されたことを受け、東京労働局と三田労働基準監督署は10月14日午後、労働基準法違反の疑いで電通の本社(東京都港区)と支社数カ所に一斉に立ち入り調査に入った。違法な長時間労働が全社的に常態化していた疑いがあるとみて、労務管理の実態を詳しく調べる。
 この日の立ち入り調査は、労基法に基づく「特別監督指導」と呼ばれるもので、調査の結果、法令違反が見つかり、悪質と判断されれば刑事事件として立件することができる。今回の労災認定は、過労自殺した新入社員の問題にとどまらず、雇用者の刑事責任が問われる事態に発展する可能性が出てきた。
 労災認定を受けたのは、入社1年目だった高橋まつりさん。2015年12月25日、都内の電通の女子寮で自殺した。三田労基署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認め、9月30日に労災認定した。三田労基署は、高橋さんの1カ月(2015年10月9日~11月7日)の時間外労働を約105時間と認定している。
 遺族側の代理人弁護士によると、高橋さんの時間外労働は、電通が労基署に届け出た上限の時間を大幅に超えていた。東京労働局はこうした事実が労基法違反にあたるとみて問題視している。電通では、1991年にも入社2年目の男性社員(当時24)が長時間労働が原因で自殺し、遺族が起こした裁判で最高裁が会社側の責任を認定した。若手社員の過労自殺が繰り返されたことも重くみている。
 全社的に労働時間の把握がずさんで、長時間労働が野放しになっている可能性もあるとみて、抜き打ちで調査に入って実態解明に乗り出す。本社には午後1時から、長時間労働の調査を専門に行う「過重労働撲滅特別対策班」のメンバーなど8人が立ち入り調査に入った。
 塩崎恭久厚生労働相は10月12日の衆院予算委員会で、「(同じ企業で)再び自殺事案が発生したことは本当に遺憾の至りだ」と述べ、「過労死等に関する労災請求があった事業場に対し、監督・指導を徹底したい」と強調していた。東京労働局長は10月11日、電通の幹部を呼び、再発防止に向けて労働時間の適正管理や、実効性のある過重労働の防止対策を講じるよう求めていた。(千葉卓朗)
 平成28年10月15日の記事です。
 電通、労基法違反容疑で立件視野 本支社一斉抜き打ち
社員「過労自殺2度目なので…」 電通の労務管理焦点に
日本を代表する広告会社の電通に対し、東京労働局が抜き打ち調査に踏み切った。女性新入社員の過労自殺をきっかけに、違法な長時間労働が常態化していた疑いが表面化し、刑事事件に発展する可能性が出てきた。今回の調査には、長時間労働の是正に取り組む安倍政権の姿勢も垣間見える。
 「自分も当然のように深夜残業をしている。過労自殺は2度目なので、労基署が入ることは意外とは思わない」。電通の中堅社員は14日、こう漏らした。
 別の30代の社員も「ここ3カ月は残業が月100時間を超える。何とかしてほしいと思っていた。労基署が入って会社が変わってくれるならいい」と話す。
 電通の労働時間の管理はどうなっているのか。広報部は、社員が始業・終業の時刻を申告し、上司が承認して管理していると説明する。
 労働基準法は、1日8時間、週40時間が労働時間の上限と定める。ただ、労使で結んだ協定を労働基準監督署に届ければ、上限を超えてもいい。電通が届けている時間外労働は原則として月50時間。この範囲で残業させるように管理職に指導しているという。
 しかし、自殺した高橋まつりさんの時間外労働は月100時間を超えていた。労基署に届け出ている時間を大きく上回る。入退館記録などをもとにした遺族側の代理人弁護士による集計では130時間に達したこともあった。
 広告業界をとりまく環境変化が働き過ぎを助長しているとの見方もある。スマートフォンの普及、オンライン動画やソーシャルメディア(SNS)の利用者の増加につれてネット広告が急増。電通の調べでは、国内の2015年のネット広告費は1兆1594億円で、5年前より49.6%伸びた。電通の売上高に占めるネット・モバイル広告関連の割合も増加傾向にある。
 ただ、条件が事前に決まる新聞やテレビなどの広告と違い、ネット広告は表示や閲覧回数などを踏まえて代金が決まる。社員の多くは「ネット広告への理解度が薄い」(業界関係者)との見方もある。
 9月にはネット広告を扱う部署で、一部の広告を契約通り掲載しないといった取引が判明。山本敏博常務執行役員は記者会見で「仕事量に対して力量と時間が足りていなかった」と、管理体制の不備を認めた。
 電通の社内では、経営環境の変化のスピードに対応しきれず、長時間労働が常態化していた可能性がある。今後の労働局の調査では、電通が労働時間の実態を正しく把握して労務管理をしていたかが焦点になるとみられる。
■特別チーム「かとく」が抜き打ち調査
 本社への抜き打ち調査には、東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班」が加わっていた。通称「かとく」と呼ばれる特別チームだ。所属メンバーは労基署が行う日常的な業務はせず、過重労働が疑われる企業を集中的に調査している。ターゲットの企業を徹底して調べるのが特徴で、東京・大阪の両労働局だけにあるチームだ。
 発足したのは昨年4月。働き手を酷使する「ブラック企業」の問題の深刻化を受けて、悪質なケースの取り締まりを強化するのが狙いだ。主なターゲットは全国規模で事業展開する大企業。事業所ごとの案件を調べるのではなく、会社全体の労務管理の実態を解明し、過重労働を防ぐことをめざしている。行政指導にとどまらず、企業や経営陣の刑事責任を追及するケースが目立つ。
 最初に手がけた案件は靴チェーン店「ABCマート」の違法残業。都内2店舗で横行していた月100時間前後の違法残業について、東京の「かとく」が昨年7月、店の責任者やチェーンを運営する会社の役員を労基法違反の疑いで東京地検に書類送検した。
 東京の「かとく」は今年1月、ディスカウント店を展開する「ドン・キホーテ」の違法残業も立件。大阪の「かとく」も全国チェーンの飲食店の運営会社2社を立件した実績がある。
 電通への調査では、関西支社(大阪市)に大阪の「かとく」のメンバーも加わった。厚生労働省の担当者は「省としてしっかり取り組む案件だという認識の表れ」と解説する。
■政府の「働き方改革」、議論始まったばかり
 「電通の社員の方が過労死、いわば働き過ぎによって尊い命を絶たれた。二度と起こしてはならない。働く人の立場に立った『働き方改革』をしっかりと進めていきたい」
 立ち入り調査前日の13日夜。安倍晋三首相は、自ら議長を務める「働き方改革実現会議」に関連して開かれた多様な働き手との意見交換会で、社名を挙げて過労自殺の防止に言及した。
 首相は働き方改革を政権の「最大のチャレンジ」と位置づけ、改革に向けた議論を9月末に本格化させたばかり。主要テーマの一つとして、長時間労働の是正を挙げている。
 過労自殺した電通の新入社員が労災認定されたのは、その矢先の出来事だった。それからわずか2週間後に行われた抜き打ち調査。厚労省幹部は「働き方改革で長時間労働を是正しようという流れがあり、首相も『働く人の立場に立った改革』と言っている。塩崎恭久厚労相にも(電通に)厳しい対応をしなければいけないという思いがあったと思う」と解説する。
 政府は長時間労働を是正するため、残業時間の上限を厳しくする新たな規制の導入を検討している。実現会議が年度末にまとめる実行計画に具体策を盛り込む予定だ。菅義偉官房長官も14日夕の記者会見で、「働き過ぎによって尊い命を落とすことは決してないように、長時間労働の是正を行いたい」と話した。
20161015-1
(以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 何度読んでも涙が出ます。
 電通というとなじみがない会社に聞こえますが、
 私たちが毎日見ているTVやネットの広告の多くは、
 電通が代理店をしています。
 東京オリンピックにも、
 電通が大きく関与していると報道されています。
 美容外科の広告も扱っていたと記憶しています。
      ■         ■
 問題なのは、
 社員のことなんか…
 どうでもいいと感じられる姿勢です。
 休日返上で作った資料をボロくそに言われた
 もう心も体もズタズタだ

 どんなにつらかったことか、
 会社の体質としか考えられません。
      ■         ■
 二度と同じような事件が起きないように、
 徹底的に解明していただきたいです。
 3時間の特番で放送してほしいです。
 見開き2面の全面広告で
 高橋まつりさんに謝罪してください
 企業は電通を代理店に使わないでください。
 高橋まつりさんのご冥福をお祈りしています。

“電通、労基法違反容疑で立件視野_本支社一斉抜き打ち”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ