医学講座
脂肪吸引をやめた理由
美容外科医を辞めようと思う時
2016年10月28日の院長日記です。
私だけではなく、
他の美容外科医も、
美容外科をやめよう
…と思う時があるようです。
美容外科医の悲哀
美容外科医は、
決して楽でもうかる仕事ではありません。
■ ■
私は目の手術が好きです。
自分には何の責任もないのに、
生まれつき目が細くて小さいと
損をします。
ちびまる子ちゃんに出てくるキャラクター、
みぎわ花子さん
永沢くん(永沢君男)
二人とも目が小さいです。
■ ■
目の手術は繊細です。
0.1㎜でも左右差の原因になります。
眉の位置、
眉の動き、
おでこのしわ、
黒目の大きさ、
まつ毛の向き、
顔全体の左右差、
とにかくよく見ながら手術をします。
■ ■
手術用顕微鏡を使って、
62歳でも職人の技を生かしています。
同じ美容外科手術でも、
脂肪吸引は違います。
0.1㎜の誤差は許されます。
脂肪吸引は体力勝負です。
超音波を使った機器など、
最新の機器を使っても疲れます。
■ ■
脂肪吸引で一番大切なのは、
事故を起こさないこと
死亡吸引にしないことです。
目の手術が0.1㎜の時計職人だったら、
脂肪吸引は身体の彫刻家です。
余っている皮下脂肪を、
脂肪吸引の管で彫刻します。
■ ■
彫刻の時に、
間違って管をお腹に突き刺すと、
死亡吸引
脂肪吸引を一日に2件もやると、
右手も左手もくたくたになります。
ふつうは、
利き手の右手で脂肪吸引管をがっちり握ります。
左手で脂肪をがっちりつかみます。
左手でつかんだ脂肪層に右手の管を入れて吸引します。
■ ■
手もとが狂って、
お腹に突き刺すとアウトです。
範囲が広いと、
だんだん疲れてきます。
脂肪吸引の手術ビデオを見ると、
術者の術衣が汗だらけになっていることがあります。
大変だなぁ~と思います。
62歳には無理です。
■ ■
一番こわい合併症は、
脂肪塞栓しぼうそくせんです。
吸引でこわれた脂肪のつぶが、
肺につまってしまいます。
大腿骨骨折などで起こることがあります。
脂肪吸引でも起こる可能性があります。
こんなことをHPに書いている美容外科はないと思います。
脂肪注入で、
目の血管に脂肪が入って失明もあります。
簡単に細くなれると思うととんでもないことになります。
裁判事例もあります。
私が脂肪吸引をやめた理由です。