医学講座

関東近郊の小児科医・産婦人科医不足が危険水準

 今日は2025年8月27日(水)です。
 8月下旬なのに暑いです。
 札幌の最高気温は30℃、
 さくらんぼさんの山形も30℃です。
 昨夜は雷が聞こえました。
 今朝は晴れてていましたが雨になりました。
 早く涼しくなってほしいです。
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 昨日のYahoo!ニュースです。
 自治体病院9割赤字”で“関東近郊小児科医産婦人科医不足が危険水準に 「このままでは病院がなくなるのでは」という声も
 先ごろ、全国自治体病院協議会(全自病)は自治体が運営する公立病院の2024年度決算を調査し、結果を公表した。調査で明らかになったのはその衝撃的な経営状況だ。調査に対して回答のあった自治体病院は8割を超えたが、そのうち86%が経常赤字、95%が医業赤字を出したというのだ。全自病などの関連団体は総務省・厚労省に緊急要望書を提出するなど焦りをにじませるが、自治体病院の赤字は我々の生活にどのような影響を与えるのか。社会学者で流通科学大学准教授の新雅史氏に聞いた。
 今、ここまで自治体病院の赤字が明るみに出ている背景の一つには、新型コロナが終息したことがあります。コロナ禍では自治体病院が積極的に病床を提供し、その分病床確保費などの形で多額の補助金を政府から受けていました。そのためコロナ禍が明けた今、補助金で黒字になっていた自治体病院の多くが再び赤字に転落し、注目を浴びているのです。
 ただし、自治体病院の86%が経常赤字、95%が医業赤字という数字の裏には、新型コロナ禍における補助金が無くなったこと以外に人件費などの問題などが隠れています。
 2024年の人事院勧告によると国家公務員の給与を平均で4.4%引き上げる方針が示されており、自治体職員である公立病院職員もこれに準じた給与引き上げが求められます。一方で、2024年の診療報酬改定で増額されたのは2.5%程度。病院は人件費支出が上がったからといって勝手に医療費収入を引き上げるわけにはいきません。人事院から求められる人件費の引き上げを行うには必然的に自治体病院の財布から持ち出しをするしかなくなり、負担が増加しているのです。
 さらに電気代や水道代といった光熱費に加えて、医療資材の高騰も続いており、支出増が収入増に追いつかない状況です。
 このままでは病院がなくなるのでは……
 このように、人件費をはじめとした支出増や補助金の終了などによる収入減によって自治体病院は過去最悪の赤字率を叩き出しています。ただ、自治体病院の赤字体質そのものは何も今に始まったものではありません。2019年度(コロナ前)でも約63%の公立病院が経常赤字でした。多くの公立病院が慢性的に赤字経営を続けてきたことからも、構造的な問題といわざるを得ません。今回の86%という数字は、この長年の赤字体質にコロナ補助金の終了と物価高騰が重なった結果といえます。
 「自治体病院」と聞くと多くの人は地方にある病院のことを想像するかと思いますが、実際には地方部にも大都市にもあります。赤字幅にしても地方ばかりが厳しいかと思いきや、2024年の都立病院の医業赤字は680億円に上っています。
 地域にかかわらず赤字が常態化している背景にあるのは、自治体病院が不採算な分野を受け入れていることです。例えば、感染症指定医療機関、災害拠点病院、救命救急センターなどの多くは自治体病院が担っています。ただ、全国自治体病院機構の調査によると、これらの病院の経常損失による赤字割合は、感染症指定医療機関は94%、災害拠点病院は94%、救命救急センターは93%と極めて高い割合です。
 このような専門的な病院では設備費用などの支出もかさみますが患者さんはいつでもいるわけではない。民間病院であれば不採算分野を持ち続けていれば倒産してしまうため維持は難しい。不採算だけどいざというときに無いと困る、という分野を自治体病院が担っていることが赤字体質の原因の1つといえます。
 首都圏郊外のある自治体病院の関係者によれば、今年度の決算見込みでも赤字は数億円規模に達する見通しで、職員のあいだでは「このままでは病院がなくなるのでは」と不安の声が上がっているそうです。
 統廃合のあおりを受けるのは地方よりも都市部? 
 自治体病院を減らすという議論になると地方の地域医療が崩壊するという視点で見られがちです。しかし、地方以上に自治体病院の統廃合のあおりを受けるのは大都市やその近郊だと考えています。
 例えば、小児科や産婦人科です。小児科は成人医療に比べてケアする項目が多く、産科は分娩などに際して対応が長時間にわたることもあり、医師の負担が大きい割に収入が低い採算性の悪い分野と言われます。それゆえに小児科専門病院や周産期母子医療センターなどは民間病院ではなく自治体病院が担うケースが多い。
 ここで各都道府県における小児科や産婦人科医の数を見てみましょう。厚労省発表「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(2022)」によると、15歳未満10万人当たりの小児科専門医の数は、鳥取県が148.5人と最も多く、千葉県が66.1人と最も少ない。また、15歳〜49歳女性10万人当たりの産婦人科専門医の数は、徳島県が66.7人と最も多く、埼玉県が32.4人と最も少ない。データから、千葉県や埼玉県などの大都市近郊における小児科医や産婦人科医の少なさが分かります。これらの地域は高度成長期以降、急速にベッドタウン化が進み、若い世代が流入しましたが、大学の医学部をはじめ、医療インフラの整備が人口増に追いつかなかったのです。
 つまり、小児科や産婦人科などの不採算になりがちな分野を支えている自治体病院が赤字拡大によって無くなれば、そもそもこうした部門を担う医師の少ない大都市近郊こそ今後危機的な状況に陥りかねないということです。
 これは新型コロナや災害などの突発的な事例にも当てはまります。先ほど述べた通り、感染症指定医療機関や災害拠点病院は、その多くを自治体病院が担っていますが、東京都などの大都市ほど自治体病院率が低く、民間病院率が高い。例えば、2021年時点で、各都道府県内の全病床数における公立病院の病床数の割合は、山形県などでは40%を超える一方、東京都では8.3%になっています。
 今後、災害やパンデミックで大量の病床が必要になった際、感染症医療や災害医療の中心となる自治体病院が縮小して困るのは地方よりも東京都などの大都市だといえます。
 自治体病院の赤字問題はどうしても医療関係者たちの中での議論になりがちです。しかし、赤字化した自治体病院が潰れないように支えるのは紛れもなく公金です。本質的に自治体病院の経営状況や赤字問題は、医療関係者のみならず医療費を捻出する国民全員が議論に参加して合意形成をしていくべきことなのではないでしょうか。
 デイリー新潮編集部
 (以上、Yahoo!ニュース、デイリー新潮より引用)

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 北海道の民間病院が8月25日のお給料日に、
 職員給与を2ヵ月連続で払えなかったことがニュースになっています。
 大変なことです。
 デイリー新潮に書いてあるように、
 2024年の診療報酬改定で増額されたのは2.5%程度
 これでは物価上昇や人件費増に追いつけません。
 国立病院も大変です。
 小児科や産婦人科が無くなると困ります。
 無くなる前に何とかしていただきたいです。

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