医学講座

形成外科の進歩⑦【わきが手術】

 わきが手術は進歩しました。
 日本はわきが手術先進国です。
 ワキガ手術を進歩させたのは、
 形成外科の先生ではありません。
 形成外科医ではない美容外科医が、
 わきが手術を進歩させました。
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 ワキガ手術は進歩しましたが、
 まだまだ問題が多いのも事実です。
 東京でクロスクリニックを開業していらっしゃる、
 石川浩一先生が、
 腋臭症の治療という本に書かれています。 
 治療効果は真皮内の汗腺組織をより完全に切除することにより得られるが,
 皮膚を薄くすればそれだけ術後合併症の危険性や瘢痕拘縮の可能性が増える。
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 どんなに手術法が進歩して、
 汗腺を上手に切除できるようになっても、
 回復させるのは…
 患者さん自身です。
 汗腺を広く…
 皮膚が薄くなるまで取れば…
 手術による効果は増しますが、
 治りが悪くなります
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 汗も臭いも完璧に取りたい!
 だけど…
 休みは2日しかない
 …という患者さんの要望を満たす手術法はありません。
 私が手術をしても、
 手術後の安静を守らなければ…
 禁煙を守らなければ…
 キズが大きく残ることがあります。
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 30年前のわきが手術は、
 スクーグ法という方法でした。
 スウェーデンの、
 TORD SKOOG先生という、
 有名な先生が本を書きました。
 その中に腋窩多汗症の手術として書かれています。
 英語でAxillary Hyperhydrosisと言います。
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 私も先輩に指導していただき、
 何例かこのスクーグ法で手術をしました。
 正直に申し上げて…
 大変申し訳ないことをいたしました
 おそらく、
 現在、スクーグ法で手術をする医師は、
 日本にはいないと思います。
 キズが残る手術でした。
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 ワキガは、
 大きな病院の形成外科にはかかりにくい疾患です。
 市中の美容外科でワキガ手術が進歩したのは、
 それだけ患者さんが多いからです。
 札幌美容形成外科を開業して7年になります。
 それまで20年以上、
 形成外科医としてワキガ手術をした件数より、
 この7年間の数がずっと多いです。
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 ワキガ手術には、
 さまざまな方法があります。
 …ということは、
 どの方法にも問題があるということです。
 どんなに完璧に手術をしても、
 手術後の安静とケアーがなければ、
 決してきれいには治りません。
 時間がある時に、
 信頼できる先生に手術を受けてください。
 手術後は指示をしっかり守ってください。

“形成外科の進歩⑦【わきが手術】”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    わきが 手術後の安静は大事な事はなんどもblogでわかりましたが、今の私には 時間が取れないので無理です。
    時間が取れる比較的若い時期に受けるとよいのでしたよね。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。わきが手術は18歳~20歳くらいでするのが、よいと思います。自由な時間が取りやすい年齢だと思います。
    北海道は外国人観光客が激減して、どの業種も大変です。早く原発を何とかして、世界に安全な国であると認めてもらわなくては、観光産業は壊滅的になります。

  2. らずべりー より:

    切開部位とその周囲ついてですが、削ったり吸引したりした後、脂肪を左右から持ってきて(真皮をごっそり吸引してしまうと傷に影響することが有り得る)癒着、引き攣れ瘢痕を予防する必要があるのではないかと思います。
    手術後ですが、脇はテンションがかかりやすい、汗をかきやすく汚れがたまりやすい部位で色素沈着の要因になることがあると思われます。
    手術中は腕をあげての治療になるかと思いますが縫合後は、1:挙上制限2:色素沈着予防に清潔ケア(汗垢がたまる)
    ※1:挙上制限というのは離開予防(傷)、引き攣れ予防に関係します。※2:一日、寝てる間にもかなり汗をかいたり垢も出ます。
    どうすれば清潔が保持出来るか消毒やシャワーはいつからかは医師に相談する必要があると思います。
    圧迫固定の目的は止血だと思います。また傷の治りに影響するため動かさないように固定がされている為、手術後一日目の診察、消毒などの際に濡れたコットンで脇を清拭(切開部位ではない)があると経過が違うのではないでしょうか。

    色素沈着に関係する要因に汗、垢、摩擦が思い浮かびます。脇の場合は汗をかきやすい為、油分の含む軟膏は長期間使用しないほうが良いのではないかと思います。(或は使わないほうが良い結果はよいかもしれません)汗腺が少なく風通しが良い部位は良い気がします。
    瘢痕拘縮の予防、軽減にはヘパリン類似物質が配合されているヒルドイドソフトも良いのではないと思います。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございました。
    腋臭症は汗腺を除去する手術なので、削っても吸引しても脂肪を左右から異動することはありません。
    引きつれや拘縮は、革のブーツを濡らして放置した時に縮むのと同じ原理です。人間の皮膚も皮(革)なので、削って薄くした後で、ブーツに新聞紙や型を入れて型崩れしないようにするのと同じことをしなくてはいけません。
    軟膏を塗るのも、革にクリームを塗るのと同じ理由です。
    圧迫固定の目的は止血と皮膚を適度な圧で密着させるためです。
    皮弁ですので、圧迫しすぎてもいけません(過圧迫と言います)。
    腋臭症手術の手術器具は美容外科医が開発しましたが、創の管理は形成外科医が上手です。
    通院1~2回だけのところはダメです。

  3. らずべりー より:

    先生起きてらっしゃったのですね。コメントありがとうございます。圧迫し過ぎても駄目なんですね。

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