医学講座

皮膚移植の方法②

 皮膚移植の方法①
 …のつづきです。
 植皮術
 2007年6月13日の院長日記です。
 植皮しょくひは形成外科の基本のです。
 誰でも植皮はできますが、
 きれいに仕上げるのが難しい手術です。
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 お尻の皮膚はめったに使いません。
 皮膚色の違い
 2007年6月14日の院長日記に書いてあります。
 お尻から皮膚を採ることもありますが、
 通常は選択しません。
 一番多いのは大腿部太ももの外側です。
 皮膚が比較的厚く採取しやすいのと、
 採皮後の管理がしやすいので選ばれます。
 お尻は、意外と目立つ場所で、
 採取後も軟膏ガーゼなどがずれやすく、
 座った時に当たって痛いなどの理由で第一選択にはしません。

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 やけどなどで、
 広範囲に大量の皮膚移植をする場合には、
 皮膚を薄くそいで、
 薄くした皮膚を移植します。
 これを分層植皮術ぶんそうしょくひと言います。
 りんごの皮をむくのとか、
 大根を薄くむいて、
 刺身のつまを作る方法に似ています。
 大根には専用のツマカッターがあるようです。
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 形成外科医としての最初の訓練に、
 採皮さいひがあります。
 私も北大形成外科で教わりました。
 ツマカッターほどではありませんが、
 採皮にも専用の道具があります。
 私が最初に教わったのは、
 フリーハンドナイフでした。
 使い捨ての刃を専用の器具に取り付けて、
 皮膚を薄くむく方法です。
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 上手な先生がすると、
 均一の厚さで、
 予定した通りの皮膚が採取できます。
 へたくそな新人がすると、
 穴があいたり、
 皮膚がちぎれたりします。
 失敗するなょ!という、
 先輩からの無言のプレッシャーを感じて、
 とっても緊張して採皮をした記憶があります。
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 私が形成外科専門医を取得した頃には、
 高性能の電動ダーマトームという、
 ドイツ製の機器を利用できるようになりました。
 りんごをナイフでむくかわりに、
 電動バリカンでむく感じです。
 いい機器ができましたが、
 逆に若い先生の中には、
 ナイフで皮をむくのが苦手な先生もいるそうです。
 きれいに皮をむく技術はなかなか難しいです。

“皮膚移植の方法②”へのコメント

  1. なっちゅん より:

    植皮術、とてもわかりやすい例えで
    理解出来ました。

    電動ダーマトームが登場し、
    便利になりましたね。

    でも手の器用さは
    形成外科ではいつも求められますね。

    本間先生は器用なので
    天職だと思います。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。私は丁寧に仕事はしますが、はっきり言って採皮は苦手でした。やけどの手術で上手になりました。ですから今でも日本熱傷学会に出ています。

  2. さくらんぼ より:

    やはりお尻は痛いですよ。皮をどれくらいまで剥けるのでしょうか?

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。お尻は座ると痛いです。皮膚の厚さはすごく薄いぎょうざの皮よりまだ薄いです。和菓子についている薄い紙くらいです。厚く採ると治りが悪くてあとが目立つのです。

  3. えりー より:

    母も湯たんぽで、やけどをした時に
    太もも近くの皮膚を移植したと
    言っていました。
    「電動ダーマトーム」という
    機器があるのですね。技術の進歩は
    すばらしいと思います。
    僻地など、そのような機器がないところは
    本間先生のように採皮をしっかり
    訓練なさったお医者さまが、
    ご活躍されるのでしょうね。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。電動ダーマトームは高価な医療機器です。大きな病院でなければありません。替刃も高価です。植皮術を行うのは形成外科学会認定施設や日本熱傷学会認定施設のような規模の大きな病院がいいと(私は)思います。開業してからは一例も植皮はしていません。外来通院では手術後の安静を保てないからです。

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