医学講座
心臓ペースメーカー装着者の手術2018
今日は2018年12月29日(土)です。
今年もあと3日で終わりです。
移転問題がありましたが、
おかげ様でたくさんの患者さんにいらしていただきました。
ほんとうにありがとうございました。
患者さんが増えると、
解決しなければならない問題が増えます。
■ ■
心臓ペースメーカーを装着した患者さんが来院されることがあります。
ペースメーカー
2009年2月24日の院長日記です。
携帯びくびく命がけ優先席
…という投稿について、
日本心臓ペースメーカー友の会副会長様からの投稿です。
札幌の地下鉄では、
心臓ペースメーカーのために優先席付近は携帯禁止です。
■ ■
意外に思われるかもしれません。
形成外科では、
ペースメーカー装着者の手術をすることがあります。
主にペースメーカーを入れた部位のトラブル、
リードという電気の線に関するトラブルで、
皮膚に異常が起きた時に、
循環器の先生から依頼されます。
■ ■
最初に手術をしたのは、
今から20年以上前です。
心臓ペースメーカーを装着した方にとって、
携帯電話は不安だと思います。
私たち外科医にとっても、
心臓ペースメーカ装着者の方の手術は、
電気メスという医療機器の使用で問題があります。
心臓ペースメーカの埋込み手術や、
ペースメーカ埋込み後のトラブルで、
何度か循環器の先生から手術を依頼されました。
■ ■
電気メスは、
携帯電話以上にペースメーカーに影響を与えます。
電気を使って血を止めるのが
電気メスです。
体内に電流が流れます。
最初に手術を依頼された時は、
緊張して手術をしました。
ペースメーカーのすぐ上の皮膚の処置です。
電気がまともにペースメーカーへ届きます。
■ ■
最初はメーカーの技術者と一緒に
機器をつけて
異常がないか確認しながら手術をしました。
10年くらい前のペースメーカーでも、
異常を生じたことはありませんでした。
電気メスも影響を与えにくい、
バイポーラーというモードを使用しました。
■ ■
今はペースメーカーも進歩したので、
電気メスは大丈夫だと思っていました。
先日、心臓ペースメーカー装着した患者さんから、
札幌美容形成外科で手術をしてほしいと依頼されました。
慎重な私は、
ペースメーカーを装着してくださった、
循環器の先生に手紙を書きました。
循環器の先生からお返事をいただきました。
■ ■
ペースメーカー業者さんに連絡をしてください
…と指示があったので、
業者さんに連絡をしました。
患者さんが持っていらした、
ペースメーカー手帳に、
業者さんの連絡先が書いてありました。
平日の午後に電話をしました。
電話に出てくれたのは事務の女性職員でした。
■ ■
折り返し担当者から連絡をいたします
…と言われ、
電話があったのは12分後でした。
しかも北海道内の大学病院で、
手術に立ち会っているとのことでした。
担当者から言われたことは、
厚生労働省からの通達で、
札幌美容形成外科の手術に立ち会う場合は、
10,000円(税別)の料金がかかります。
■ ■
札幌美容形成外科に行って、
ペースメーカーの調子をみるだけだったら、
1,000円(税別)です。
私:来てくれるのは臨床工学士さんですか?
メーカーさん:いいえ、臨床工学士ではありません。
CDRという資格を持った社員です。
私:CDRは何の略ですか?
メーカーさん::CDRはCardiac Device R???。
Rは忘れました。
Cardiac Device Representative
電話を聞いていた私と患者さんはがっかりしました。
■ ■
夕方になってから、
担当者の上司という人から電話がありました。
担当者が言った、
厚生労働省からの通達で、
10,000円(税別)の料金は誤りで、
業界団体のルールだそうです。
ペースメーカー装着者の手術にメーカーが来るのに、
10,000円(税別)の料金がかかるのでしたら、
心臓ペースメーカー装着者手術加算が必要です。
皮膚腫瘍の手術などでも電気メスは使います。
せいぜい1万数千円の手術に、
10,000円(税別)の業者さんに来てもらうのは無理です。
せめて臨床工学士の資格を持った人に来てほしいです。