昔の記憶
高橋長雄(たけお)先生の死を悼(いた)む
札幌医科大学名誉教授(麻酔学)、
高橋長雄(たかはしたけお)先生が
6月3日(水)午前7:55、
87歳でお亡くなりになりました。
こころからご冥福をお祈りいたします。
高橋先生は、
大正11年3月4日小樽市に生まれ、
北大医学部を
昭和20年(1945年)にご卒業なさいました。
■ ■
1957年から1987年まで、
30年間にわたり、
札幌医大麻酔科の教授をなさいました。
私は学生の時に高橋先生に麻酔学を習い、
医師免許を取得後、3年目に、
札幌医大麻酔学教室の研究生として、
麻酔学をご指導していただきました。
高橋先生は、
地方の公立大学である、
札幌医大が誇る素晴らしい先生です。
■ ■
若くして米国へ留学され、
当時は日本に普及していなかった、
全身麻酔を米国から導入されました。
札幌医大麻酔科からは、
日本全国に多数の麻酔科医を出されました。
高橋先生が育てられた麻酔科医の数は、
世界でもトップクラスで、
日本全国で多数の先生が、
ご活躍なさっていらっしゃいます。
■ ■
今日は高橋先生の告別式に参列して参りました。
遺影を拝見して、
先生の優しい声を想い出しました。
私たちが医学部の6年生だった時です。
臨床実習で麻酔科を回りました。
高橋先生は、
学生全員に、
『君たちは、来年から医師として活躍します。』
『全身麻酔とはどういうものか…』
『体験しておくとよいです。』
と…
教授自らマスクを持って、
一人ひとりの学生に
笑気と酸素で麻酔をかけてくださいました。
■ ■
自分が医師や指導医となって思ったことは、
たとえ数分の麻酔でも、
教授自らが学生に全身麻酔をかけてくださるのは、
とてもすごいことです。
北大や他大学を卒業した先生に聞いても…
高橋先生のように、
麻酔科の教授が自ら、
マスクを持って一人ひとり麻酔をかけてくれるのは、
あまり聞いたことがありませんでした。
私は笑気麻酔でとても気持ちがよくなり、
見えていた天井の蛍光灯が…
次第に見えなくなったのを覚えています。
■ ■
高橋先生のご自宅は、
札幌西高校の近くにあり、
私が高校生の頃に、
確か?
西高のPTA会長をなさっていらっしゃいました。
札幌医大を退職後も、
西野学園で校長をなさっていらしたそうです。
人を育てるのがお好きで、
とても上手な先生でした。
頣神院博仁大雄禅居士
勲三等旭日中綬章
高橋長雄先生ありがとうございました。