昔の記憶
麻酔科研修の想い出①
私は医師になって3年目の、
昭和57年5月から、
札幌医大麻酔学教室で、
研究生として麻酔学を研修をさせていただきました。
当時は、
北大⇔札幌医大の間で、
研修医が行き来して、
研修をするというのはマレでした。
私のわがままを…
大浦武彦教授が聞いてくださり、
札幌医大麻酔科の
高橋長雄教授にお願いしてくださり、
特例として認められました。
■ ■
当時、北大形成外科医局長であられた、
現、市立札幌病院院長の吉田哲憲先生には、
研修先の変更で大変ご迷惑をおかけしました。
今でも大変申し訳ないことをしたと…
反省しております。
しかし、私の人生にとって、
札幌医大麻酔科での研修は、
何ものにも代えがたい…
貴重な財産となっています。
■ ■
よき指導者の下で勉強することが、
いかに大切かがよくわかりました。
私は卒後3年目でしたが、
新卒の先生と一緒に研修を受けました。
まず最初に、
同門の偉い先生が、
交代で講義をしてくださいました。
講義の合間には、
こんなことで苦労したというような…
教科書には書いていない、
苦労話や体験談を聞かせていただきました。
■ ■
麻酔科研修医の朝は、
病院内で最も早いと言われていました。
私は当時、
北区新琴似の公団住宅に住んでいました。
(まだ新婚でした…)
麻生発6:00頃の
地下鉄の始発で通いました。
つまり…
5:00過ぎには起きて、
顔を洗って、
朝食を食べて、
車で麻生まで送ってもらい、
始発の地下鉄に乗りました。
■ ■
学生時代を含めて、
始発の地下鉄で通ったのは、
この麻酔科研修の時代だけでした。
朝の地下鉄には、
早朝から働く、
清掃関係の方など、
毎日、ほぼ決まった顔がありました。
この早朝からの‘研修’が
私の医師としての生涯で、
とても役に立ちました。
■ ■
大学病院に着くのは、
午前7:00前でした。
そこで、
早出の麻酔科の看護婦さんから、
器械や薬剤の準備を教わりました。
当日の予定に合わせて、
点滴や薬剤を準備します。
麻酔器のパイピングや、
モニターの準備などを、
看護婦さんに教えていただきながら、
(看護婦さんの仕事の邪魔になりながら…)
一つひとつ覚えました。
■ ■
医師免許を取得する前も、
取得した後も、
医師が
点滴の準備を自分ですることはマレです。
何本もの点滴を、
間違えずに素早く準備するのは大変です。
下手な自分がすると、
点滴の管に空気が入ります。
空気の抜き方も教えていただきました。
注射のバイアルも、
何本も失敗して壊しました。
■ ■
点滴も注射も、
バイアルから出してしまうと、
無色透明な液体です。
これを間違わないように…
一つひとつしっかりラベルを貼ることを、
教えていただきました。
私が医療事故を起こさないで、
30年近く医療を続けられるのは、
この麻酔科研修で、
一つひとつのことを確実にするという、
実に単純なことをしっかり教わったからでした。
親切に教えてくださった、
麻酔科の看護婦さんには、
今でも感謝しています。