医学講座
ウイズ・エイジング
平成21年5月31日、朝日新聞朝刊の記事です。
私の視点
高齢化社会
ウイズ・エイジングを糧(かて)に
鳥羽 研二(とぱ けんじ)
医師、杏林大教授(高齢医学)
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確実に進む加齢をどう受け止め、上手に老いていくか。高齢化社会の難題を解くかぎのひとつとして、日本人の特質を生かして老化と素直に向き合う生き方「ウイズ・エイジング(With Aging)」を提唱したい。
米国で急速に台頭したアンチ・エイジング(Anti Aging)の概念がわが国へも広がったのは、今世紀に入った頃たった。抗加齢、すなわち、老化現象を悪と決めつけ、何とか逆らおうとする主張であり、いつまでも若々しくと願う中高年の人びとの心理を巧みにとらえた。
若々しくありたいのは自然の欲求だ。しかし、行き過ぎるとどうなるか。たとえば、顔のシワを消したいあまり、危険を冒してまでも胎盤注射の治療に踏み込んでしまう。ここは、円然した知性でシワを年齢に相応の魅力のひとつと受け止めたい。
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アンチ・エイジングではその人が社会に役立つか否か、という基準が強調されすぎていると思えてならない。不老長寿があたかも実現できるかのようないかがわしい宣伝すらある。ライフスタイルだけでなく化粧品、薬品、栄養食品など多様な産業が有望な市場ととらえて殺到している。
ウイズ・エイジングという概念に私が至ったのは、老年医学の現場で長く過ごす中で「老いることにも、光を当てるべき良い部分があるのではないか」と考えたからだ。
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加齢による変化は否定的に理解されがちである。しかし、本当にそうだろうか。
確かに記憶力は低下するが、判断力や推察能力、寛容さは向上することが少なくない。20代の大学生と比べて70歳の語彙(ごい)は2倍以上、また自然科学の学問のピークは40~50歳だが人文科学は70歳でもピークを保っているとの研究結果もある。「年の功」だ。
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どんな老化現象にもそっと寄り添い、生活上の不自由さはなるべく生じないよう知恵を絞る。たとえ認知症や寝たきりになっても、排泄や食事がなるべく自然に近い状態でできるよう配慮することで、その人らしさを保つ工夫をする。死の際に、額のシワに言葉にならない高齢者の人生を実感できる。単に精神論ではなく、価値あるものとして学問的に証明していきたい。
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わが国は長寿国で、介護保険や国民皆保険など誇るべき制度も多い。謙譲の美徳や協調の精神は今なお日本人の誇るべき長所でもある。この特質に、加齢を包括的に理解するウイズ・エイジングはうまく融合するのではないか。
老化現象をむやみに嫌ったり落胆したりせず、そうかといって目を背けもしない。その人なりの老化を個性の一部と見なすウイズ・エイジングを、アンチ・エイジングと対極の概念として成然した高齢社会の糧に育てたいと思う。
(以上、朝日新聞より引用)
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ウイズ・エイジングという言葉を…
はじめて聞きました。
確かに…
われわれ美容外科医・形成外科医は…
アンチ・エイジングを強調しすぎている…?
かもしれません。
年齢とともに刻まれた、
額(ひたい)の深いシワ…
それはそれで…
意味深いものがあります。
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私は…
商売柄…
額のシワを見ると…
すぐに眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)を
思い浮かべます。
上の方が見にくいとか…
重症の肩こりがあるとか…
アゴを上げてものを見ているとか…
マッサージや整体に…
通っていらっしゃるのかなぁ~
などと思ってしまいます。
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ウイズ・エイジングも…
確かに大切なことだと思います。
札幌美容形成外科では、
胎盤注射の治療はしておりません。
ただ、プラセンタを注射しても…
顔のシワは消せません。
ボトックスはシワを目立たなくできますが、
私は危険だとは思っていません。
その人その人の考え方の問題だと思います。
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上手に年齢を重ねることは…
とても大切なことです。
私も今年55歳になります。
昔だったら定年の年です。
額の深いシワが、
年齢のためだけでしたら…
何の問題もありません。
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ただ、ものが見にくかったら…
眼瞼下垂症手術を受けるとよいと思います。
70歳以上で1割負担の方でしたら…
定額給付金の2万円でおつりがきます。
生命保険の手術給付金もいただけると…
黒字になります。
上手なウイズ・エイジングだと思います。
まぶたが下がってものが見えません
手術前です
皮膚も切除したので
腫れが残っています
手術一ヵ月後です
手術3年後です