医学講座
第35回日本熱傷学会②
今日から日本熱傷学会がはじまりました。
『やけど』は一番身近な外傷(けが)です。
私自身も小さなやけどをしたことがあります。
今日の発表で参考になったこと…
湯たんぽによるやけどです。
経済不況になり、
部屋が寒いので、
寝る前に湯たんぽを使う方が増えたそうです。
■ ■
北海道から九州の先生まで、
最近、湯たんぽによるやけどが増えたと…
発表されていました。
湯たんぽは、
古くからある便利な道具ですが、
使用方法を誤ると…
やけどをします。
最近…
女性と
小さな子どもさんの、
湯たんぽによる、
低温やけどが増えています。
■ ■
『低温やけど』をネットで検索すると、
いろいろなサイトが出てきます。
やけどは高温の液体とか物体に、
人の皮膚が触れて起こります。
天ぷら油がはねた…
髪を整えるアイロンが触れた…
ハワイで日焼けして赤くなった…なんてのもヤケドです。
天ぷら油も、
アイロンのコテも、
ヤケドをした瞬間に痛みがあります。
熱い!⇒痛い!でわかります。
■ ■
ところが…
低温ヤケドが厄介(やっかい)なのは…
この熱い!⇒痛い!が無いのです。
寒い夜に…
一人で冷たい布団に入って、
足が冷たいのは辛いものです。
あたたかい湯たんぽは、
とても気持ちがよいものです。
ついつい湯たんぽに
ぴったりと足をくっつけてしまいます。
疲れていると…
そのまま爆睡してしまうこともあります。
■ ■
そうすると…
温かくて気持ちがよかった湯たんぽが
凶器に変わります。
人間の皮膚も蛋白質でできています。
蛋白質は熱に弱く、
皮膚も卵のように焼くと白く固まります。
ゆで卵を作る時に、
沸騰したお湯に短時間入れると、
半熟卵になりますが、
少し低温で時間を長くすると、
黄身まで固い完熟卵になります。
■ ■
気持ちがよいと思っていた
湯たんぽの温度でも、
長時間当たっていると、
皮膚が損傷されてしまいます。
これを‘低温やけど’と言います。
湯たんぽの他に、
ホカロン、
暖房便座、
床暖房、
ホットカーペットなど、
あらゆる温かいもので
低温やけどをする可能性があります。
■ ■
注意していただきたいのは、
‘低温やけど’をしても、
すぐには気づかないこともあります。
痛みがないこともあります。
夜勤明けの看護師さん、
睡眠薬で爆睡してしまう方、
お酒に酔って意識が薄い方、
下肢の知覚障害がある方。
低温やけどになりやすい方は、
意外と多くいらっしゃいます。
子どもさんにも注意が必要です。
安全な湯たんぽは
添い寝をしてくれる…
温かい親の脚です。