医学講座

第35回日本熱傷学会③

 昨日は‘低温やけど’についてご報告しました。
 今日はやけどの治療法です。
 2007年の日本熱傷学会からお知らせしている、
 フィブラストスプレーというお薬です。
 科研製薬㈱という会社が発売しています。
 一般名をトラフェルミンといいます。
 まだ、正式に保険で認可はされていませんが、
 このお薬がやけど治療の主役になりそうです。
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 このお薬のすごいところ…
 バイオ技術で作った…
 世界初の…
 線維芽細胞増殖因子
 (せんいがさいぼう_ぞうしょくいんし)。
 bFGF(べーしっく_えふ_じー_えふ)
 (basic fibroblast growth factor)
 を主成分とする薬です。
 主成分は小さな瓶に入っている、
 白い粉状の物質です。
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 この白い粉を
 溶解液で溶かして、
 付属品のスプレーをつけます。
 目薬の瓶より少し大きめになります。
 コロンをスプレーするような感じで…
 このお薬をやけどした部位へ噴霧します。
 噴霧したままだと痛いので、
 軟膏ガーゼや
 創傷被覆剤(そうしょうひふくざい)という
 通常のやけど治療に使う材料で覆います。
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 そうすると…
 軟膏ガーゼだけで治すより、
 早くキレイに治ります。
 私はこの製品を…
 大学に勤務していた10年前に、
 ネズミの実験に使わせていただきました。
 私の実験でも…
 このお薬はとても効果がありました。
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 日本熱傷学会の学会誌には、
 複数の先生が…
 このフィブラストスプレーが
 効果的であると発表しています。
 日本発の…
 画期的な…
 新しいやけど治療法です。
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 低温やけどは、
 キズが深くなってしまうために、
 治りにくいのが特徴です。
 治りにくいやけどでも、
 このお薬を使って
 上手な先生に治していただくと
 早くキレイに治ります。
 できるだけ早く…
 専門医にみせることが大切です。

“第35回日本熱傷学会③”へのコメント

  1. 函館の看護師 より:

    フィブラストスプレーの効果は絶大です。

    実は数年前(出始め)に使用しました。

    腹腔鏡の手術で傷口が潰瘍となりかなり大変なことになりました。
    その時勤務していた病院で使用してくれました。
    今の薬価はわかりませんがその時はかなり高価で先生が自腹で使用してくれました。
    当初、消毒とガーゼ保護だけで治療していましたが、症状の改善はなくフィブラストスプレーを使用しました。
    1本使用するまでもなく日に日に改善され、傷痕は残りましたが、かなり深い部分まで浸食していたのが思っていた以上にきれいな後になっています。

    開封後は冷所保存だったので私の名前を書いて、病院の冷蔵庫に保管しながら治療しました。電メスでやけど状態だったので本当に助けられました。

  2. さくらんぼ より:

    学会 お疲れ様でした。
    フィブラストスプレーが 一日も早く保険認可されて 低温やけどで苦しんでいる方を助けて欲しいですね。 最先端の学会情報を本間先生とお知り合いになれて 知る事ができて 1 患者として有り難く思います。 気を付けてお帰りください。

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