昔の記憶

麻酔科研修の想い出④

 麻酔科は外科系の科から、
 麻酔の依頼があると、
 麻酔をかける科です。
 当たり前のようですが、
 これが大変なことなのです。
 患者さんを選んで…
 麻酔をかけるのではなく、
 依頼があれば引き受けるのが原則です。
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 中には、
 生死にかかわるような手術もあります。
 麻酔をかけただけでも、
 生命の危険を伴うこともあります。
 私も札幌医大形成外科に勤務していた時に、
 心臓の機能が低下していて、
 麻酔科と相談して、
 手術を一度は諦めた患者さんが
 いらっしゃいました。
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 私が北大形成外科で研修をしていた頃、
 北大病院手術部では、
 毎週金曜日のお昼に、
 手術場(しゅじゅつば)会議というのがありました。
 各科から出された、
 翌週の手術予定を調整する会議でした。
 手術室看護師の数や、
 麻酔科医の数には限りがあります。
 全ての科の手術や麻酔を引き受ける、
 人的な余裕がありませんでした。
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 今はどうかわかりませんが、
 看護師さんの数が足りないので…
 直接介助は無しでお願いします。
 【2名の看護師がつくところを1名にしてください】
 【看護師の代わりは研修医です】
 とか
 この手術は次週にまわしてください。
 という調整の会議でした。
 この会議に出るのが、
 形成外科ではチーフレジデントでした。
 私も半年間出席しました。
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 この会議で手術が(予定に)入らなくなると…
 患者さんに説明をして…
 『申し訳ございません。』
 『手術室の都合で来週の手術は延期になりました。』
 と謝るのも、
 チーフレジデントの仕事でした。
 幸い、私の時には断られて…
 中止になった例は無かったと思います。
 ただ、毎週気の重い会議でした。
 患者さんへの説明も、
 金曜日の手術部の会議の後で
 最終的な手術日程を説明していました。
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 麻酔科研修をした札幌医大では、
 手術部の人員の関係で、
 手術ができないとか…
 麻酔科医が足りないので、
 手術ができないとかいうことは…
 まったくありませんでした。
 手術が必要な患者さんを
 手術が必要な時に引き受けるのが、
 麻酔科と手術部の仕事でした。
 優秀な看護師や麻酔科医が、
 たくさんいたのでできたのだと思います。
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 現在の保険医療制度では…
 病棟の看護師を増やすと…
 病院に入る収入が
 増えるようになっています。
 ところが…
 手術室の看護師を増やしても、
 麻酔科医を増やしても、
 病院は経費がかかるばかりで、
 直接の収入増にはなりません。
 私たちが安心して医療を受けるためにも、
 国は麻酔科医や手術部の看護師にも、
 目を向けてほしいと思います。

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