医学講座
臓器移植法
臓器移植法が衆議院を通過しました。
河野洋平衆議院議長は、
ご子息の河野太郎衆院議員から
肝臓移植を受けられました。
万感の思いで、
採決を行なわれたことと思います。
私のように、
組織すべてを提供しますという人もいれば、
臓器は提供しませんという人もいます。
個人の考え方の問題です。
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2009年4月8日に書いた、
死後の願いという日記には、
たくさんのコメントをいただきました。
何度も繰り返しているように、
私自身も、
医師免許を取得してから数年間は、
臓器提供には否定的でした。
現在の医学教育では、
医師、看護師ともに、
脳死になった患者さんを長期間にわたって、
ケアーしたり観察する実習はありません。
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私の死生観が変わったのは、
市立札幌病院救急部で、
連日のように…
脳死となった患者さんを診てからでした。
私の遠縁にあたる人は、
ご主人が…
急性心筋梗塞で救命救急センターへ搬送され、
亡くなるまでの、
約1年以上を、
毎日、病院へ通いました。
とうとう意識が戻ることなく
帰らぬ人となりました。
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その人は、
ご主人が亡くなった後で、
尊厳死協会へ入り、
自分には、
『人工呼吸器はつけないでください。』
『延命治療もしないでください。』
と署名され…
ご自分が亡くなる時は、
安らかに眠りについたそうです。
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臓器移植は医学の進歩によって可能となりました。
また、
脳死になった人も、
医学の進歩によって生きることができるようになりました。
私が医学生だった…
30年前には、
人工呼吸器が今ほど普及していませんでした。
ですから、
在宅で人工呼吸器をつけることなど、
考えも及びませんでした。
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医学が進歩したことにより、
今までは救えなかった命が救えるようになりました。
ロシアから来たヤケドの、
コンスタンチンちゃんを手術したのは、
旭川赤十字病院形成外科の
阿部清秀先生です。
阿部先生が東京から、
亡くなった方の皮膚の提供を受けて、
コンスタンチンちゃんは救命されました。
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皮膚は心臓停止後にも採取できます。
ドナーカードに皮膚はありませんが、
その他に
その他(すべて)と書いてあれば、
皮膚も提供できます。
私の保険証の裏です