医学講座

第35回日本熱傷学会④

 昨日まで、日本熱傷学会に参加し、
 今朝7:00発のANAで帰ってきました。
 学会に参加すると、
 専門分野以外の講演も聴けます。
 昨日は、
 日本大学医学部法医学教授、
 押田茂實先生の、
 『救急医療とリスクマネジメント』という、
 教育講演がありました。
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 とても有意義な講演で、
 一時間があっという間に過ぎました。
 押田教授は有名な法医学者で、
 「足利事件」のDNA鑑定で、
 釈放された菅家利和さんのTV放送があったので、
 朝のテレビ朝日に生出演した後で、
 講演にいらしてくださいました。
 押田先生のご専門は、
 医療事故です。
 私たちが起こしてはいけない医療事故。
 押田先生の講演はとても勉強になりました。
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 講演の内容です。
 医療行為を合法的に行うには、
①免許を有する資格者が治療を目的に行うこと。
②患者がその医療行為を承諾していること。
③医療行為が現在の医療水準に達していること。
 の3条件が必要です。
 ところが、
 救急で搬送される患者さんには、
 意識がなく医療行為を承諾できない人がいます。
 救急の場合には、
 病歴が明らかではなく、
 専門外の特殊な診断困難な場合もあります。
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 医療というのは、
 病気を持った人に、
 場合によると大きな手術をしたり、
 危険性のある薬をつかうこともある
 専門的な行為です。
 つまり、
 もともと病気を持っている人に手を加えるので、
 結果的には
 病気のために具合が悪くなる患者さんもいますし、
 予想外の結果が生じる場合もあります。
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 詳しい内容は
 医療事故知っておきたい実情と問題点
 祥伝社、2005年発行_本体760円
 ISBN4-396-11006-5
 に書かれています。
 押田茂實先生は、
 医療事故を防ぐために、
 学生の教育はもちろん、
 全国の大学病院などを回っていらっしゃいます。
 病院職員と一緒に劇までして、
 いかに医療事故を防ぐかを、
 精力的に講演していらっしゃいます。
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 医学に関係する人には、
 是非一度聴いていただきたい講演です。
 祥伝社新書の本もとても参考になります。
 全国の病院で押田先生の講演を…
 お聞きになると…
 医療事故が減ると思いました。
 素晴らしい学会を開催してくださった、
 日本大学医学部形成外科の
 佐々木健司先生、
 東京女子医大形成外科の皆さん、
 ありがとうございました。

“第35回日本熱傷学会④”へのコメント

  1. 函館の看護師 より:

    押田先生がテレビに出ている番組を見たことがあります。

    実際に私たち医療従事者が気がつかない部分で医療事故になる可能性がたくさんあることを知りました。

    そのことで思いだしたのは輸液ポンプや人工呼吸器のコンセントの配線一つで医療事故につながる可能性があることや、医療事故は私たち医療従事者の手で起きてしまうという単純なことが日常常に潜んでいますよね。

    実際に押田先生の講演は聴講したことはありませんが、この機会に上記にある本を読んでみたいと感じました。

    働いていたときは事故対策委員だったので、今後の参考にこの機会がチャンスですね。

  2. さくらんぼ より:

    朝の飛行機で帰られ診療されほんとにご苦労様でした。
    足利事件のDNA鑑定で、 現在のDNA鑑定は あの当時と比べて 画期的に進歩し 犯人の体液などで 白か黒か 高い確率でわかりました。その 解説に出演された 先生の講演を聴かれて 有意義な学会でしたね。 私たち 患者は 執刀してくださる先生と十分話し合い どんなリスクがあるのかも説明を受け 納得して ハンコを押して 手術をお願いしています。(急患で 身寄りがないとか、身元不明は別ですが) 2005年起きた山大の医療事故は、主治医である皮膚科の先生から十分説明をうけ納得されて手術しましたが、今の山大の体制が 確立していないから起きた事で 荻野先生は 悪くありません。山大病院は
    大きな事業で マスコミなどに騒がれても 、内部の体制をしっかりして、違った科が関わる手術は連絡がミツにできるようにすべきです。形成外科は奥が深く 私は 皮膚科 に近い気がしますが、山形県にも 形成外科医の専門的な治療を受けたい人がたくさんいるので山大病院にもぜひ形成外科を 単独の科として作ってください。本間先生からも山形大学の事件として昨年六月 末 数回ブログに書いていただきました。荻野先生!どうなるんですか?
    山形の患者は 形成外科医の眼瞼下垂症やわきがなど保険適用になる手術。昨日のやけどの特効薬 の話など聴いた事もないと思うので、 ぜひ 一度 山形に本間先生が 講演に来て教えていただきたいですね。
    荻野先生よろしくお願いします!

  3. まみ子 より:

     先生お疲れさまでした。私も押田先生の講演は大変勉強になりました。
     4年ぶりの熱傷学会でしたが・・・虐待による熱傷・自殺企図による広範囲熱傷など社会的背景が関与している事例の発表はあいかわらずありました。

     皮膚科でもフィブラスト・スプレーは使っています。でもほとんどは褥瘡に使用しています。

     理事長にお話をして熱傷にも使用する事を進めてみようと思っています。
     今回の学会は久しぶりだったので、部屋には戻らずなるべく会場で発表を聞いていました。

     本間先生にお会い出来たのも3〜4年ぶりでした。
     9月には大阪で褥瘡学会があるみたいなので・・・参加しようかと考えています。

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