医療問題

医療事故を防ぐには⑥

 新車をぶつけて壊しました。
 昨日、交通違反で捕まりました。
 …なんてことは言いたくありません。
 インシデントレポートなんて横文字を使うと…
 何となく聞こえがいいですが、
 事故報告書です。
 私も、医療事故報告書を書いたことがあります。
 自分が手術した患者さんの、
 入院中に起きた事故です。
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 幸い、大事には至りませんでしたが、
 医療者側の過失でした。
 患者さんにお詫びして、
 傷が治るまで責任を持って治療しました。
 医療に事故つきものです。
 同じような事故が繰り返されます。
 どんなに優秀な先生でも、
 どんなに頭が良い先生でも、
 事故を起こします。
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 麻酔科研修の想い出⑥に書いたように、
 偉大な教育者とは、
 自分がした失敗を、
 いかに繰り返さないか…?
 ということを正確に教える人のように思います。
 たくさんの麻酔科教授を輩出した、
 札幌医大麻酔科学教室には、
 ケースカンファレンスという、
 症例検討会がありました。
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 私が研修していた当時は、
 医局長の本間英司先生が、
 閻魔帳(えんまちょう)と呼ばれたノートを持って、
 各手術室を歩いて見ていました。
 何かトラブルが発生すると…
 ケースカンファレンスで発表が、
 命じられました。
 毎週行なわれるケースカンファレンスでは、
 どうしてトラブルが起きたのか?
 トラブルを未然に防ぐにはどうしたら良いのか?
 などを詳細に調べて発表しました。
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 一人が起こしたトラブルは、
 他の先生が起こす危険性があるからです。
 熱心に討論が繰り返され、
 容赦ない質問が上の先生からも
 下の先生からもありました。
 こうした
 失敗から学ぶ
 失敗を共有する
 ということが、
 医学の発展には必須だと思います。
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 私が研修医だった頃の北大形成外科では、
 スライドカンファレンスがありました。
 形成外科で手術した、
 すべての症例のスライドを出して、
 大浦武彦教授以下の全員で討論しました。
 結果が悪い症例もありました。
 どこが悪かったのか?を、
 とことん討論しました。
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 私が形成外科医としてやっていけるのも、
 すばらしい先輩に、
 しっかりと教育されたからです。
 私は札幌医大を卒業しましたが、
 北大形成外科の大浦武彦先生の門下に入りました。
 北大形成外科には、
 素晴らしい先輩がたくさんいらっしゃいました。
 今日で56歳になり、
 少々くたびれていますが、
 これかも人様のお役に立てる間は、
 形成外科を続けようと思っています。

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