医療問題
医療事故を防ぐには⑥
新車をぶつけて壊しました。
昨日、交通違反で捕まりました。
…なんてことは言いたくありません。
インシデントレポートなんて横文字を使うと…
何となく聞こえがいいですが、
事故報告書です。
私も、医療事故報告書を書いたことがあります。
自分が手術した患者さんの、
入院中に起きた事故です。
■ ■
幸い、大事には至りませんでしたが、
医療者側の過失でした。
患者さんにお詫びして、
傷が治るまで責任を持って治療しました。
医療に事故はつきものです。
同じような事故が繰り返されます。
どんなに優秀な先生でも、
どんなに頭が良い先生でも、
事故を起こします。
■ ■
麻酔科研修の想い出⑥に書いたように、
偉大な教育者とは、
自分がした失敗を、
いかに繰り返さないか…?
ということを正確に教える人のように思います。
たくさんの麻酔科教授を輩出した、
札幌医大麻酔科学教室には、
ケースカンファレンスという、
症例検討会がありました。
■ ■
私が研修していた当時は、
医局長の本間英司先生が、
閻魔帳(えんまちょう)と呼ばれたノートを持って、
各手術室を歩いて見ていました。
何かトラブルが発生すると…
ケースカンファレンスで発表が、
命じられました。
毎週行なわれるケースカンファレンスでは、
どうしてトラブルが起きたのか?
トラブルを未然に防ぐにはどうしたら良いのか?
などを詳細に調べて発表しました。
■ ■
一人が起こしたトラブルは、
他の先生が起こす危険性があるからです。
熱心に討論が繰り返され、
容赦ない質問が上の先生からも
下の先生からもありました。
こうした
失敗から学ぶ
失敗を共有する
ということが、
医学の発展には必須だと思います。
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私が研修医だった頃の北大形成外科では、
スライドカンファレンスがありました。
形成外科で手術した、
すべての症例のスライドを出して、
大浦武彦教授以下の全員で討論しました。
結果が悪い症例もありました。
どこが悪かったのか?を、
とことん討論しました。
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私が形成外科医としてやっていけるのも、
すばらしい先輩に、
しっかりと教育されたからです。
私は札幌医大を卒業しましたが、
北大形成外科の大浦武彦先生の門下に入りました。
北大形成外科には、
素晴らしい先輩がたくさんいらっしゃいました。
今日で56歳になり、
少々くたびれていますが、
これかも人様のお役に立てる間は、
形成外科を続けようと思っています。