医療問題
荻野先生【控訴】
山形大学職員組合から、
【荻野先生の裁判を支援する会ニュースNo.14】が届きました。
発行日:2010年8月31日
山形大学職員組合
原告請求棄却!控訴決意!
<報告の後に、荻野先生と渡邉代表のご挨拶とお願いがあります。>
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【判決報告】世話人 品川敦紀
平成22年8月24日、午後1時15分より山形地裁において、荻野先生不当処分取り消し請求事件の判決が有りました。
残念ながら、原告の請求がいずれも棄却されました。
法廷では、主文のみの言い渡しのみでした。
後で渡された理由書がに従って佐藤弁護士から、裁判所前で、簡単な説明がありました。
主要な争点では,原告に報告義務があったかどうかについては,皮膚科に出来上がったコンパートメント症の患者がいるとの菊地医師の立ち話を、口頭報告と見なし、原告に、報告義務があったと認定しています。
また、本件にかかる他の医師の処分、就業規則上の懲戒指針、他の処分事案との比較で、不当に重い処分だったかどうかについては,隠蔽、報告義務違反との大学側主張に沿って、その重大性から、本処分が,大学の裁量の範囲を著しく逸脱するものではないとして追認しています。
今回の判決は,廊下での立ち話を口頭での報告と見なし、原告に報告義務があったと認定し,皮膚科での事故の責任を整形外科の教授だけに負わせていることを裁量権の範囲内と認定するなと,体制順応の不当判決(佐藤弁護士の評価)であり、佐藤弁護士から、絶対控訴すべきとの意見が出されました。
とりあえず、荻野先生ご本人もご承知の上で,控訴を決めました。
9月28日に佐藤弁護士事務所で弁護団会議を開き、控訴理由に付いて検討することになりました。
支援する会としても、一度、中間総括を行い,控訴支援の体制を整える必要があると思われます。
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ご支援ありがとうございます。
私の裁判のご支援では、日頃、大変ありがとうございます。皆様のご支援を大変心強く思っております。今回の裁判についての山形地裁の判決は、全面的にこちらの訴えは認められなかったという残念な結果でした。私が訴えた内容は、普通の医師であれば、当然同じ様にするのではないかと思われる内容です。
石栗正子裁判長は、これらの全てを否定しました。判決の理由は、大学の代弁者が語るような内容のもので、私には偏りがあるように見えます。この問題を早く終わりにしたいと思っていましたが、正しいと思うことを正しいと主張しなければいけないと思っております。弁護士さん、支援する会の世話人の高方と相談し、控訴することにしました。
今後ともご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
2010年8月26日
荻野利彦
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懲戒処分無効訴訟判決に思う
支援する会 世話人代表 渡邉誠一
今回の判決について、裁判所の姿勢が昔とほとんど変わらないことを改めて実感させられました。大学が決めた「処分」に対して構成員が異議申し立てをしても、裁判所はほとんど省みない、つまり、特別権力関係下での決定に裁判所は深入りを避けるという傾向が今なお残っているということです。今回の判決の根拠も、ほとんど被告=大学の主張を追認していることからも、そのことがよく解かります。
また、この裁判を通じて、山大医学部附属病院の診療体制が、時代遅れであり、また同時に無責任な体制であることが露呈されました。
今日、医学の「進歩」で専門分化したこともあって、診療が複数の科で組織的に協働して対応している、所謂「チーム医療」がよく行われている中で、山大病院は、個人的に他の科に応援依頼し、しかも、依頼と同時に責任も押し付けるという、チーム医療とはほど遠い状態にあることが明らかにされました。この裁判中、医学部にチーム医療高度化委員会なるものがつくられたようですが、それが本当に診療体制の改善になっているか見極めたいと思います。
今回、残念ながら、荻野先生の名誉が回復されるような判決が得られませんでしたが、これからこの間の運動を総括し、今後の運動の進め方を改めて検討していきたいと思っております。
今までのご支援・ご協力に感謝申し上げるとともに、また今後もご支援よろしくお願い申し上げます。
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判決文を弁護士の高橋智先生に読んでいただきました。
高橋先生のご意見は、
この事件は、
医療事故と労働事件の、
2つの面を持った興味深い裁判です。
山形地裁では、
原告の主張を退けています。
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判決文を読むと、
『…といって、平等性の原則に反するといえるものではない』
『…といって、合理性を欠くものといえるものではない』
というような表現を使っています。
裁判官も、
絶対に大学の処分が100%合理的とは言い切れていない
逆転勝訴の可能性が高い裁判であり、
控訴すべきですと
力強いお言葉をいただきました。
■ ■
私は医師として、
医師法に規定された、
患者さんの診療録(カルテ)を見ることもできない、
他科の荻野教授一人が、
極めて重い処分を受けたことの、
合理性を判決に見出せません。
■ ■
医療事故で被害を受けられた、
若い女性の患者さんには、
ほんとうに申し訳ないと思います。
形成外科を信じて手術を受けてくださったのに、
最悪の結果になったことは、
とても残念です。
同じ事故を起こさないためにも、
形成外科の診療体制を確立してください。