医療問題
医療事故を防ぐには①
誰でも、医療事故にはあいたくありません。
医療者側も…
医療事故を起こしたくはありません。
以前にも書いたことがあります。
医療は車の運転と同じです。
条件が悪い道路を走ると
必ず事故に遭う危険性が伴います。
悪路で、視界が悪い山道でも、
必要に迫られて走る必要はあります。
■ ■
どんなに慎重に運転しても、
がけ崩れや…
橋の崩落にあってはたまりません。
そういう‘医療’もあります。
自動車事故にには、
自賠責という強制保険があります。
残念なことに医療事故には、
任意保険しかありません。
■ ■
医療事故が社会問題になって、
国も積極的に政策を練っています。
リスクマネージャーとか
サブリスクマネージャーとか、
インシデントレポートなど、
横文字の単語ばかりが目立ちます。
いくらリスクマネージャーをつくっても、
インシデントレポートを書いても、
事故は減りません。
■ ■
医療事故を防ぐ一番のポイントは、
教育と
訓練だと思います。
今の医学教育では、
医師になるにも、
看護師になるにも、
ペーパーテストに合格すればOKです。
国家試験前には、
徹夜で勉強しています。
■ ■
晴れて…
医師免許証を手にしても…
看護師免許証を手にしても…
何もできないところからスタートします。
旧帝大とか有名私大とか、
大学の難易度とは関係ありません。
無名の私大の方が…
よい医学教育をしていることもあります。
■ ■
医師が医療事故を起こさないためには、
良き師について、
たくさん失敗を重ねることです。
他人の失敗をたくさん見ることです。
誰でも医療事故を起こすリスクはあります。
大切なのは、
事故が起こりそうになった時に、
横に座っていて、
補助ブレーキを踏んでくれる、
教官につくことです。
■ ■
医師免許取得時は、
自動車でいうと、
仮免許運転中と同じです。
良き師匠について、
運転が上手になるまでは、
しっかりと教育してもらう必要があります。
私は、
北大形成外科という素晴らしい教習所で、
大浦武彦先生という、
素晴らしい師匠=教官についていただき、
事故を起こさずに運転ができるようになりました。
“医療事故を防ぐには①”へのコメント
コメントをどうぞ
先生が札医大にいらした頃、講義を受けた者です。大変お世話になりました。
先生のおっしゃる通り、横に教官がいてブレーキを踏むものだ、と私は学生時代思っておりました。
しかし私の入門した科は人手不足で、2年目に関連病院に修業に出てからは、誰にも相談さえできないまま1人で働き、瞬間の判断を求められる機会が激増しました。
そして私は診断を誤り、患者さんは緊急手術をする羽目になりました。命は落とさずに済みましたが、いくらお詫びしてもご家族のお許しは得られず「ぶっ殺してやる!」とだけ言われました。指導医の方々は誰も一緒に謝って下さいませんでした。
その後私は体調を崩し、今はほとんど働いていませんが、患者さんとご家族に大きな不安と苦痛を与えたことは今でも悔やまれます。また、何とか防げなかったものか、といまだに考えます。
そんな思いをする患者さんとご家族がいなくなり、私のような医者がいなくなるような教育が行われるよう強く望みます。私自身はその役に立たないのが情けないですが。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございました。心中お察し申し上げます。残念な事故ですが、先生を頼っていらした患者さんもたくさんいらっしゃると思いますし、先生に感謝している方も大勢いらっしゃいます。
誤りや失敗は誰にでもあるものです。今の日本の医療制度では、過ちを犯した者だけが責められて、誤りを犯すようなシステムは不問にされます。
せっかく苦労して手にされた医師免許です。先生が元気になって、社会に貢献することが、患者さんへの償いになると思います。元気をだしてください。
いつも前の席で熱心に講義を聴いてくださった方だと思います。