医学講座

豊かさを追って_ニトリの挑戦②

 昨日からはじまった北海道新聞朝刊の連載、
 ニトリの挑戦です
 今朝は早起きをして読みました。
 日経にも書いてなかったことが、
 道新に書いてあります。
 いい記事です。
 若い人にもぜひ読んでいただきたいです
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 豊かさを追って ニトリの挑戦>2 
 商品開発力、苦境で培う 為替読み損失抑える
 食器、クッション、カーペット…。家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)が国内で展開する約370の店舗には、家具だけでなく、家庭で使うほとんどの商品が並ぶ。

 商品の箱やタグ(付け札)を見ると、「ニトリ」の社名に加え「MADE(メード) IN(イン) CHINA(チャイナ)」(中国製)と書かれたものが多い。同社が企画・開発し、中国の工場に生産を委託した商品だ。

 手ごろな値段で商品を売るにはどうすればよいか―。似鳥昭雄社長が1980年代に出した結論は「アジアでの調達」だった。当時、アジアには人件費が日本の100分の1ほどの地域が多かった。同じ製品をつくるなら日本国内より圧倒的に有利だったのだ。

 1985年。ニトリHDの針路を決定づける出来事が起きた。日米を含む先進5カ国が、過度なドル高の是正で一致した プラザ合意 だ。歴史的合意を受けた各国のドル安誘導政策により、同年前半に1ドル=250円台だった円相場は翌年に160円を突破するほど急激に円高が進んだ。

 円高で円の価値が他国のお金より高まると、輸入品は安くなる。これを生かさない手はない。似鳥社長は1986年、欧米向け家具の生産が盛んだった台湾へ乗り込む。まだ道内に12店があるだけで、現在4500億円規模の売上高が78億円ほどにすぎなかったころだ。電話帳を頼りにメーカーを探し、農村地帯にある家具工場を、家畜の強烈な臭いで目まいがするのをこらえながら一軒ずつ訪ね歩いた。

 何とか輸入にこぎつけ、店で売り始めたはよいが「壊れやすい」などの苦情が相次ぎ、返品の山ができた。座ったいすがバラバラに壊れ頭をぶつけた顧客もいた。「社の評判が落ちます」。輸入をやめるよう懇願する社員が大多数だったが、社長は諦めなかった。

 いすを調べると、台湾より湿度が低い道内では、木材から水分が抜けて脚が細くなり、部品が外れやすくなっていた。乾燥させた木材を使えば問題ないが、取引先の工場には乾燥機がない。コスト上昇は覚悟の上で、数カ月かけて天日干しするよう工場に頼んだ。

 不具合の原因を分析し、改善を図るうちに、後の多彩な商品開発につながる企画力が培われていった。生産委託先の企業は現在、中国やベトナム、 マレーシア などに約700社ある。

 イオンや衣料品量販のしまむらといった日本を代表する流通企業も、手ごろで売れ筋のプライベートブランド(PB=自主企画)商品をアジアで委託生産している。もはやアジア生産抜きに流通業は成り立たないと言っても過言ではない。

 企業にとって、生産の拡大は「不良品との闘い」でもある。ニトリHDも生産委託先が増えるにつれ、品質や安全性をどう管理するかが大きな課題となる。

 2007年には販売する中国製の土鍋から鉛が溶け出していたことが発覚、1万個以上を自主回収した。「抜本策が必要だ」と判断した同社は自動車大手ホンダから複数のOBを技術スタッフとして招き、品質管理体制を強化した。

 ドスン、ドスン、ドスン。専用の機械を使い、いすの上に90キロの重りを5万回落とす。ニトリHD東京本部にある技術開発室では、いすを含む多くの商品を対象に、こんな耐久試験が繰り返されている。名付けて「意地悪テスト」。合格しない商品は発売できない。

 現在は担当者が製造段階からアジアの工場へ行き、ホンダ仕込みのノウハウを教え込む。ホンダOBで「品質管理の神様」の異名を取った杉山清・ニトリHD特別技術顧問(73)は「家具にも溶接があり組み立てがある。基本は自動車と変わらない」と話す。

 品質管理を強化した結果、経営の質も高まった。ニトリHDの商品で苦情が発生する率は、かつて3%以上だったが現在は0.7%台まで改善。苦情による返品・回収が減ってコストダウンが一段と進んだのだ。

 「お、ねだん以上。ニトリ」。値段を超える品質を実現したいというキャッチフレーズの裏で、こうした努力が続いている。


 1985年のプラザ合意以降、円高が長く続いた。それを追い風に、家具インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)は海外生産した家具を安く輸入して成長してきた。だが、為替変動は味方にも脅威にもなる。

 大きく円安に振れた今もニトリHDは利益を伸ばし続けている。それは為替予約に成功しているからだ。為替予約とは、円を貿易決済用のドルに両替する相場をあらかじめ金融機関と取り決めておく手法である。

 円相場は2011年に1ドル=75円32銭の戦後最高値まで円高が進んだが、2012年末の安倍政権発足に伴い流れが一変。現在は1ドル=120円台で推移する。この結果、海外で商品を調達する多くの企業が仕入れコスト増という苦境に陥った。

 衣料品店「ユニクロ」などを世界に約3千店展開し、年商1兆6800億円を誇る ファーストリテイリング でさえ2014、15年と2年連続で商品を値上げして急場をしのいでいる。為替予約はしていたが、円安は同社の想定を超えて進んだ。スーパーなどの加工食品が軒並み値上がりしているのも円安が大きな要因だ。

 ニトリHDも何もしなければ円安が1円進むごとに利益が15億円押し下げられる。ところがこの4年間、値上げは一切していない。その秘密が徹底したコスト削減に加え、的確な為替予約だ。同社は今期(2016年2月期)、1ドル=約102円ですべての為替取引を予約済み。実勢より1ドル当たり20円ほども有利な相場だ。この4年で免れた為替差損は計1千億円にも上る。

 輸入企業は軒並み為替予約をしているのに、なぜニトリHDが飛び抜けて成功しているのか。同社の為替予約は似鳥昭雄社長自身が決めている。「アナリストや金融機関も予想を間違うことがあるので、話は聞かない。先入観を捨て、欧米やアジアの経済情勢をみて判断する」と似鳥社長。経営者としての独自の嗅覚が成長を後押ししているというべきか。

相場利用、商品より安く みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストの話

 輸出入を手がける企業は大なり小なり為替予約をしていますが、ニトリHDのように現状の相場と大きく離れた(自社に有利な)水準で100%予約している企業は珍しい。

 相場変動を利用して稼ぐのではなく、(ニトリHDのように)良い商品をより安く顧客に提供するのは、適切な経営戦略です。ニトリHDなど輸入企業にとって、コスト増になる円安が進んでいるうちは予約を固めることにメリットがあります。

 ただ、もし予約した後に相場がコスト減になる円高に転じると、コストを高く固定してしまう危険性もありますね。
(以上、北海道新聞より引用)

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ニトリの店頭に並ぶ座いす。箱には社名と「MADE IN CHINA」(中国製)の文字が見える=東京都北区のニトリ赤羽店

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(以上、北海道新聞より引用)

      ■         ■
 私が以前から不思議に思っていたことです。
 安倍政権になってから、
 円安が進みました。
 海外にものを売る企業には朗報ですが、
 海外からものを仕入れて売る、
 ニトリさんは、
 どうやっているのだろう?
 …と考えていました。
      ■         ■
 医療関連メーカーも輸入する業者が多く、
 私が知っている多くの社長さんは、
 円安で困っています。
 今日の道新を読んでわかりました。
 ニトリHDも何もしなければ円安が1円進むごとに利益が15億円押し下げられる。
 ところがこの4年間、値上げは一切していない。
 その秘密が徹底したコスト削減に加え、的確な為替予約だ。
 同社は今期(2016年2月期)、 
 1ドル=約102円ですべての為替取引を予約済み。
 実勢より1ドル当たり20円ほども有利な相場だ。
 この4年で免れた為替差損は計1千億円にも上る。

      ■         ■
 わかりました、
 しかも、
 為替予約は似鳥昭雄社長自身が決めている。
 「アナリストや金融機関も予想を間違うことがあるので、話は聞かない。
 先入観を捨て、欧米やアジアの経済情勢をみて判断する」と似鳥社長。
 経営者としての独自の嗅覚が成長を後押ししているというべきか。

 ニトリの似鳥昭雄社長の鼻です。
 すごい嗅覚です。
 やっぱり札幌が生んだ世界のニトリです。

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