医学講座
レディエッセによる失明2015
今年も残すところあと3日です。
年末まで院長日記を読んでいただきありがとうございます。
私の一番記憶に残る今年の院長日記は、
レディエッセによる失明事故です。
数年前に美容外科チェーン店で起きた事故です。
業界では有名にな事故でした。
レディエッセで事故を起こしたチェーン店は、
メニューからレディエッセを外しました。
何の謝罪広告もありません。
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今年明らかになったのは、
克誠堂出版の形成外科
2015年9月号VOL.58に掲載された衝撃的な論文でした。
特集 美容医療の合併症から学ぶ1-フィラー編-
企画にあたって…細川亙
特集目次
・フィラー注入療法により失明に至った1例…井内友美ほか(近畿大学形成外科)
・ハイドロキシアパタイトジェルフィラー注入後の動脈塞栓により視力低下・皮膚壊死を来たした1例…山下健ほか(札幌医大形成外科)
・ハイドロキシアパタイト注入剤による血管塞栓が疑われた1例…島倉康人ほか(北里大学形成外科)
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大阪大学の細川亙(ほそかわこう)先生は日本形成外科学会理事長です。
日本形成外科学会理事長として、
細川先生の強いお気持ちが伝わります。
細川先生のお言葉です。
美容医療の合併症から学ぶ②
―骨切り他編―
企画にあたって
学術雑誌に論文を投稿する目的の1つは、個人的に経験した極めてまれな事象を読者に知ってもらい、多くの人が共有する知識と経験にする、ということです。
いわゆるまれな病気の1例報告などはこれに当たり、学術雑誌の重要な使命です。
永い間形成外科の診療をしておりますと、美容医療などで生じたまれな合併症を目撃する経験が幾度かあります。患者さん個人にはお気の毒なことですが、そのような貴重な事例は発表されて衆知され、その後の予防などに活用されなくてはなりません。しかし、美容医療での合併症を目撃しても、前医での治療前や治療中の情報が不十分であることが多く、論文として雑誌に症例報告することを断念せざるを得ない場合がほとんどなのではないかと推測します。今回の特集では、通常の論文で要求するような術前・術中に関する詳細な記載は必ずしも求めず、論文作成のハードルを極力低くすることで、貴重でありながら日の目を見ずそのまま闇に葬られてしまいそうな事例を拾い上げて光を当てようとしました。
このような企画に対して、さまざまな美容医療合併症例の投稿がありました。
前号にはそのうちフィラーの注入(脂肪注入を合む)に関する合併症のみを掲載致しましたが、本号ではフィラー注入を除く各種の合併症をまとめました。顔面骨切りをはじめとする各種の美容医療の施術により、思いもよらないような合併症を生じている現実を知っていただき、重篤な合併症の回避に留意していただくための警鐘になればと思います。
大阪大学形成外科 細川 亙
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私は美容医療に従事する医師の一人として、
日本国民に広くこの事実を伝えたいと思っています。
若い女性が、
鼻を高くする注射で失明は、
あまりに悲惨な事故です。
事故を起こした医師が何の責任も問われず、
堂々と診療を続けていることに違和感を覚えます。
細川理事長が書かれているように、
美容外科で思いもよらないような合併症を生じている現実を知っていただき、
重篤な合併症の回避に留意していただくための警鐘になればと思います。
私自身も気持ちを引き締め、
事故のない安全な医療に努めます。