医学講座

豊かさを追って_ニトリの挑戦③

 この連載が楽しみです。
 早起きして新聞を取りに行き、
 まだ暗いのに電気を点けて読みます。
 日経の私の履歴書は、
 たまに読む程度でした。
 北海道新聞東京報道センターの幸坂浩さんの連載記事は、
 今までに書かれていない視点から、
 ニトリ成功の秘訣を書かれています。
 若い人にもよく読んでいただきたいです。
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豊かさを追って ニトリの挑戦>3
 効率生産、海外で極める
 大勢の従業員が色とりどりの帽子をかぶり、整然と働いている。ピンクは班長、水色は作業員、赤は品質検査係の目印だ。工場内で責任と権限を明確にして、仕事の無駄やむらを排している。

 ここは家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)がベトナムに構える基幹工場だ。家具製造子会社のニトリファニチャー(東京)が運営する。

 二人乗りや三人乗りのスクーターでごった返す首都ハノイから車で約50分。工業団地にある札幌ドーム3個分、約16万平方メートルの敷地に巨大な建屋が2棟並ぶ。生産品目はベッドやタンス、ソファなど。

 2004年に建設を始め、2005年に稼働した。赤字を出したのはその2年間だけ。3年目には黒字転換し、当初の損失もすぐに埋めた。その秘訣(ひけつ)は、綿密な従業員教育に裏打ちされた効率的な生産体制にある。働く約3500人の9割以上は女性だ。「勤勉な人物を採用した結果」(ニトリファニチャー)だという。

 こうした運営手法はトヨタ自動車グループの目にもとまる。トヨタと言えば、効率的な自動車生産方式を編み出し、世界の製造業のお手本となっている存在だ。トヨタの現地法人ベトナムトヨタは近年、幹部をニトリファニチャーへ視察に送り込んでいる。「お互いが工程を改善するヒントに」との狙いがあるという。

 傘下に大規模工場まで有するニトリHDは、大手流通企業の中でも特異な存在だ。家具世界大手のイケアでさえグループ内に工場は持たず、生産はすべて外部委託している。

 アジア製の家具はもともと、欧米向けの仕様・サイズで作られたものが多く、そのままでは日本市場になじまない。精巧なタンスといった日本独自の家具をニトリHDが調達するには、アジアの企業に生産委託するだけでなく自前の工場を持つ必要があった。

 ベトナムの工場とインドネシアにある1号工場とを合わせ、ニトリHDは販売する家具の1割強をグループ内で作っている計算だ。

 順調に見える海外生産事業も当初は苦労の連続だった。インドネシア西部のメダンに1号工場を建設したのは1994年。思った以上に労務管理にてこずった上、治安も悪い。何度も泥棒が入るので工場の壁を高くすると、今度はトンネルを掘って侵入された。雇っていたガードマンが窃盗団とつながっていたことまで判明する始末だった。

 だがリスクが高い分、競合他社は進出してこない。しかも人件費をはじめとするコストは安い。「だったらリスクをとろう」(ニトリファニチャーの松倉重仁(しげひと)社長)。この決断がその後の躍進につながる。「いち早く問題点を把握し対処する」といったインドネシアの教訓が糧になった。

 「外部の血」が果たした役割も大きい。ニトリHDは、多くの技術者をさまざまな業種から招いて現在の生産体制を築き上げた。自動車大手ホンダに長く勤めた杉山清氏(73)は、その代表格である。

 杉山氏は2015年春までニトリHD専務を務め、その間、いずれも発展途上国での勤務経験がある複数のホンダOBを呼び寄せた。そして「怒らず、慌てず、あてにせず」という自身のモットーをニトリ社内に行き渡らせた。「根気よく向き合わなければ、アジア事業はうまくいかない」(杉山氏)との信念が根底にある。

 電機大手ソニーや衛生陶器最大手TOTOなども表彰されたことがある経済産業省の製品安全対策優良企業表彰。ニトリHDは2014年度、「製造・輸入」部門で最高賞に次ぐ審議官賞を受けた。アジアで質の高い製品を作る体制が評価されてのことだ。同社は「小売り販売」部門で既に表彰を3度受けており、製造と小売りの両方で表彰された初の例となった。

 製造から販売まで一貫して手がけるニトリHDの事業は、いずれも日本屈指の水準に達している。

無駄なくし低価格守る
 日本と比べれば安いアジアの人件費も、年々上昇している。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた「アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較」。それによると、工場などで働く一般工の月額賃金は、2014年度までの10年間でおおむね倍増した。現在、ベトナム(ハノイ)の人件費は月2万円ほど。社会主義国という事情もあり、毎年、国主導で確実に引き上げられていく。

 家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)の家具製造子会社ニトリファニチャーによると、同社がベトナムに構える工場では、新設された工業団地に進出した10年前と比べて賃金がざっと4倍になったという。前年比で28%の 賃上げ を求められた年もある。

 人件費が上がり続ける中でメーカーが利益を上げ続けるには、生産性を絶え間なく向上させるとともに、販売拡大で売り上げを増やすことが欠かせない。

 一般に、家具メーカーが材料の木材を製品に活用できる比率は7割ほどとされる。残り3割は捨ててしまうわけだ。ニトリファニチャーは加工に工夫することで無駄をなくし、活用比率を9割まで高めた。

 部品調達も商社まかせにしない。ベッドのマットレスやソファのばねといった原料を自前で仕入れて一から自社生産するなど努力を重ねている。

 今後は韓国などニトリHDが店舗展開していない国でも、現地の家具店などへの卸販売を広げる考え。また、2017年にはベトナム南部のホーチミン郊外にも、敷地面積40万平方メートルの新たな大規模工場を建設する計画だ。

 稼働後は家具だけでなく、繊維製品といった「ホームファッション商品」と呼ぶ製品も手がける基幹工場にしていく予定だ。

 いずれも「ニトリらしい手頃な価格を守るための努力」(ニトリファニチャーの松倉重仁(しげひと)社長)である。

ホンダOB招へい奏功 製品安全対策優良企業表彰の審査員を務める高杉和徳(かずのり)・製品安全コンサルタントの話

 ニトリHDが製造業としても評価されているのは、似鳥昭雄社長がホンダOBの杉山清さんを招き商品の質を高めたからだと思います。

 一般に製品安全対策は成果が見えにくく、担当者が社内で冷遇される場合もある。ニトリHDの場合、杉山さんを専務に据えるなど安全対策に力を入れたことが成功につながりました。

 杉山さんは似鳥社長の第一印象を「(ホンダ創業者の)本田宗一郎(そういちろう)のようだった」と言っていました。気さくな性格。壮大な経営目標を掲げる姿。経営者にそうした魅力があるからこそニトリHDは成長しているのでしょう。
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ニトリのハノイ工場で家具を作るベトナム人女性。例えば「赤は品質検査係」のように、帽子の色で担当を分けている

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(以上、北海道新聞より引用)


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 私はニトリ寄附講座で、
 杉山清さんの講義をお聞きしました。
 今考えてみると、
 ニトリ成功の秘訣の原因となった、
 たくさんの方の講義を聴くことができました。
 私の人生にとって、
 北海学園大学経営学部のニトリ講座
 実に重要なものでした。
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 北海道新聞に掲載されている、
 杉山さんのお言葉、
 杉山さんは似鳥社長の第一印象を
 「(ホンダ創業者の)本田宗一郎(そういちろう)のようだった」
 と言っていました。
 気さくな性格
 壮大な経営目標を掲げる姿。
 経営者にそうした魅力があるからこそニトリHDは成長しているのでしょう。

 病院経営で実行できないこともありますが、
 似鳥昭雄社長の実行力はすごいです。

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