医学講座

豊かさを追って_ニトリの挑戦⑤

 今日で北海道新聞朝刊のニトリシリーズの最後です。
 今朝も一番先にニトリさんの記事を探して読みました。
 消費税率の記事が一面に大きく出ていて、
 2面の下のほうで目立ちませんでした。
 ちょっと残念でした。
 道新の連載は、
 日経の履歴書よりずっと内容が充実していました。
 記事を書いてくださった、
 北海道新聞東京報道センターの幸坂浩さんに感謝します。
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 豊かさを追って_ニトリの挑戦>5
 変わる最前線 夢の原点 欧米で飛躍へ
 「ほかの店より安いし、日本の品質だから安心できますね」。家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)が、中国・上海のオフィス街に今年開いた「NITORI(ニトリ)上海中山公園兆豊広場店」。家具を見に来た仕事帰りの30代夫婦が声をはずませた。

 同社は2014年から中国で店舗展開を始めた。人口13億を超すとはいえ、中国では流通が近代化されておらず、本格的なチェーン店はない。このため、低コスト運営で手頃な価格を実現しているニトリは優位に立てるとの読みがある。これまでに7店を出し、当面は年に5店のペースで増やしていく考え。目標は「中国全土で千店」だ。

 ニトリHDが初めて海外に店を出したのは2007年の台湾・高雄。だが、欧米式の大型家具が好まれる台湾では、日本と同じ商品を持ち込んでも売れない。店を宣伝したくても宅配新聞が見当たらず、チラシも簡単には配れない。

 台湾1号店は3年後に撤退の憂き目を見た。似鳥昭雄社長は「明らかに準備不足だった」と振り返る。日本で好調だからといって、そのまま海外に乗り込んでも太刀打ちできないことを思い知らされたという。

 その後、大型家具を増やすなど、顧客の好みに合わせて品ぞろえを改めた。高雄の1号店は、日本国内と同じ売り場面積約5千平方メートルの郊外型店舗だった。だが自家用車が普及途上にある台湾では、都心の百貨店など公共交通機関で行ける店の人気が高い。同社も千平方メートル前後の都心型店舗に力を入れることにした。

 こうした工夫が奏功し、台湾事業は2012年に黒字化した。現在は、海外最多となる24店を構えている。

 「人材」ではなく「人財」。ニトリHDは社員をこう呼んでいる。毎年たくさんの店を出し続けるには、有能な社員を次々育てる必要がある。成長に欠かせない財産なのだ。

 とりわけ海外事業では、人材育成の巧拙が成否を分けるとニトリHDは考えている。例えば中国。まだサービス業の経験者が少ないため、即戦力を採用するのは難しい。接客の基礎から教えなければ、ソファを求める客が来店しても「はい、あちらにあります」で終わってしまう。

 客の好みを自然に聞き出し、商品の特長をよどみなく説明し、できるだけ多く売る。日本では当たり前の、こうした基本動作を浸透させる努力が続く。最近は現地社員の士気も高まってきた。冒頭の上海中山公園兆豊広場店で今春から働く郁明さん(31)は「ニトリと一緒に自分も成長していきたい」と目を輝かせる。

 同店の従業員は約40人。このうち店長を含む2人が日本人で、残りは現地社員だ。今後、入社5~6年の人材が育ってきた段階で、店長も中国人に任せる考え。台湾では既に全店長が現地採用社員となった。台湾事業を担う約500人のうち日本人は10人ほどしかいない。現地に溶け込むほど商売はうまくいく。そんな「哲学」が背景にある。

 アジアで成長を続けるかたわら、ニトリHDの視線は別の巨大市場にも向く。北米と欧州だ。米国には既に5店を構えており、ある程度店が増えたところで、北米に近く物流効率が良い南米で商品生産を始める予定だ。欧州への出店時期は決まっていないが、南米製に加えアフリカ製の商品も販売する構想がある。

 2032年に世界で3千店、売上高は3兆円―。あと20年弱で、いまの10倍近い規模へ成長するという壮大な目標は、地球儀を見渡した上で掲げられている。

 札幌の小さな家具店にすぎず、倒産の危機に追い込まれていた約40年前。わらにもすがる思いで似鳥社長が渡米し、家具・インテリア店に並ぶ安くて質の良い商品に感動したことがニトリの原点だった。

 似鳥社長は言う。「日本は欧米より50年遅れていた。いまでも20年は遅れている。日本に本当の豊かさを提供したい。それがニトリのロマンなのです」

 同社の商品が欧米で通用すれば、それは日本が欧米に追いついた一つの証しとなる。夢に向かって挑戦は続く。

爆発的な購買力 魅力に
 安い人件費を背景に、ものづくりの場として注目されてきたアジア。ここへきて急速に豊かになり、商品を販売する「市場」としての魅力も高まっている。

 国際通貨基金(IMF)によると、中国の2014年の経済成長率は7.3%。最近は減速が目立つとはいえ、中国政府は今後も7%程度の成長を目標に掲げる。マイナス成長も珍しくない日本との違いは際立つ。成長を支える人口は13億7600万人。日本の約11倍だ。

 巨大市場を狙い、「ユニクロ」の ファーストリテイリング や「無印良品」の良品計画など、日本を代表する流通各社も中国で積極的な店舗展開を続けている。

  東南アジア諸国連合 (ASEAN、全10カ国)にも日本の5倍に当たる6億2200万人が暮らす。このうち タイ やベトナムといった主要5カ国では、2014年の成長率が4.6%だった。

 各国の購買力が高まったことで、商品の売れ行きも爆発的に伸びている。例えば中国では自動車の保有台数が2000年の1608万台から、2013年には1億2670万台へと8倍近くに増えた。

 「2032年に世界で3千店」の目標を掲げる家具・インテリア製造販売日本最大手ニトリホールディングス(HD、札幌)にとっても、アジアは重要な市場だ。現在の店舗数は台湾24、中国7にすぎないが、これを20年弱で台湾100、中国千まで増やす計画。特に中国は、700店を目指している日本を抜き、国別で世界最多となる見通しだ。

 今後の中国での大展開をにらみ、ニトリHDは2016年6月に販売子会社の似鳥(中国)有限公司(上海)を設立する。これとは別に、中国の物流を担う子会社も2015年中に発足させることにしている。
=おわり=(東京報道の幸坂浩が担当しました)
数値目標社内に活気
 流通アナリストの鈴木孝之・プリモリサーチジャパン代表の話
 経営者は社員にビジョン(目標、未来像)を示さなければなりません。似鳥昭雄社長が掲げる「2032年に世界で3千店」という目標は、それに向かって挑戦するエネルギーを社内に生み出していると思います。

 ただ、ニトリHDの事業には、まだ改善の余地があります。商品の安さには目を見張るものがありますが、デザイン性や陳列方法はもっと洗練させられるはずです。

 商品を見ているだけで楽しくなるような店づくりができれば、さらなる成長が可能になるでしょう。
20151213

(以上、北海道新聞より引用)

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 今日の記事の中で、
 「人材」ではなく「人財」。
 ニトリHDは社員をこう呼んでいる。
 毎年たくさんの店を出し続けるには、
 有能な社員を次々育てる必要がある。
 成長に欠かせない財産なのだ。

 この言葉が印象的でした。
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 医療にも通じることです。
 有能な人は財産です。
 人財を育てるのが大変です。
 似鳥昭雄社長が言われた、
 「日本は欧米より50年遅れていた。
 いまでも20年は遅れている。
 日本に本当の豊かさを提供したい。
 それがニトリのロマンなのです」

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 医療技術を見ると、
 日本が欧米より遅れていることはありません。
 残念なことですが、
 医薬品の許認可や、
 新製品の開発・認可は、
 欧米よりずっと遅れています。
 優秀な人財を育てるというニトリの方針は、
 医療経営にも役立ちます。
 北海道新聞の連載に感謝します。
 若い人にも道新を読んでいただきたいです。

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