医学講座
京都アニメーション放火事件
京都アニメーションで、
建物にガソリンをまいて放火した火災が報道されています。
41歳男性の犯人も受傷しています。
33人の死亡が確認されています。
ほんとうに残念な事件です。
心からご冥福をお祈りいたします。
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病院に搬送されて治療を受けている方が、
たくさんいらっしゃいます。
大やけどの治療は、
これからが大変です。
一度に33人が亡くなった事件も、
一度に何十人もの人が重症熱傷を負う例も、
きわめてまれなことです。
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現在の治療状況はわかりませんが、
報道されている被害者の負傷状況から、
京都の病院だけで治療をするのは、
大変だと想像します。
日本熱傷学会で、
大規模災害が起きて、
多数の重症熱傷患者が発生した場合の対策を検討したことがありました。
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北海道で、
重症熱傷の治療ができる医療機関は限られています。
私がJA帯広厚生病院に勤務していた時に、
何人の患者さんを引き受けられるか調査を受けました。
スタッフの数にもよりますが、
形成外科専門医2人と、
形成外科医1人の3人体制では、
3人が限度と回答した記憶があります。
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重症熱傷の患者さんが入院されると、
私たちは家に帰れなくなりました。
全身状態の管理からはじまり、
焼けてしまった皮膚を除去して、
皮膚移植の手術が何回も必要になります。
とても大変な手術です。
一日にできる手術は限られています。
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一度に30人以上の患者さんが、
重症熱傷になった例は、
昔の三菱大夕張炭鉱の爆発事故がありました。
私は当時中学生でした。
東京では新宿バス放火事件がありました。
活躍されたのが、
東京女子医大形成外科の先生たちです。
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この新宿西口バス放火事件では、
死者6人、
重軽傷者14人でした。
今回の京都の事件が、
いかに大きな被害かわかります。
救命救急センターや、
形成外科の先生たちにがんばっていただきたいです。
亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。