医学講座
京都アニメ死者34人に
京都アニメーション放火事件
残念なニュースです。
京都アニメーションで放火された事件で、
死者が34人になりました。
私の記憶にある放火殺人事件で、
34人の死者はありません。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。
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大やけどで死ぬ原因は、
やけど直後に亡くなる患者さんと、
受傷後1ヵ月近く経過してから亡くなる患者さんでは、
死因が違います。
皮膚が焼けただけの大やけどは、
受傷後もしばらくは意識があります。
自分の焼けた皮膚がわかります。
深いやけどは神経も焼けてしまうので、
ぴりぴりとした痛みはありません。
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やけど直後に亡くなる原因は、
やけどの組織に体の水分が取られてしまい、
循環不全になることが原因です。
専門的な言葉で、
ハイポボレミックショックと言います。
日本語になおすと、
循環血液量減少性ショックです。
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大やけどの患者さんが搬入されると、
点滴を何本もします。
おしっこの管を入れて、
おしっこの量を測定しながら、
点滴の量を調整します。
昔は形成外科医がこれをやっていました。
おしっこが出なくなると大変です。
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今は多くの高度救命救急センターで、
重症熱傷の初期治療を担当するのは、
救急の先生や看護師さんです。
形成外科医で、
救急専門医も持った先生がたまにいらっしゃいます。
形成外科専門医と、
救急専門医、
熱傷専門医の3つを持った先生もいます。
熱傷のプロです。
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大やけどのことを、
私たちは広範囲熱傷と呼びます。
京都の患者さんたちの多くは、
広範囲熱傷の患者さんだと思います。
関西には、
3つの専門医を持った熱傷のプロがいらっしゃいます。
これ以上、死者が増えないように、
札幌から祈っています。